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アラサー社会人、車の免許を取る②(第2段階)

第1段階はこちら。


さて、無事仮免許を取得し、路上教習が始まる、わけなのだが。
初めての路上を前に、私は運転への恐怖を募らせていた。

というのも、第1段階では基本的なルールの説明が主だった学科教習が、第2段階に入ると、ほぼ「事故、マジで怖いよ、気をつけて」というテーマになる。
仮免取得後、スケジュールの関係で路上教習前に学科教習をゴリゴリ進めていた私は、受講時間が増えるとともに、「人間、これだけ危険なのに重さ1トンの鉄の塊を乗り回してるって正気か?」と思うようになっていた。
(今でもこれは思っている)

路上にて

修了検定に受かってから一週間後、路上教習がスタート。

車に乗って、初めて教習所の外に出る。
最初の信号機付き横断歩道を越えようとした瞬間、隣に座る教官が言った。

「あっ、気をつけてくださいね、この辺みんな信号守らないんで」

こっっっわ!! 
確かにそもそも路上に人も自転車も多いけど!!


そもそも運転への適性の低い私。
スピードを大きくコントロールしつつ安全確認をするなんていう離れ業が容易くできるわけもなく、すぐにめちゃめちゃ教官に口出しされるようになる。
「スピード落として!」「左折離れすぎ」「今歩行者来てたの気づいた?」

そして運転の難しいところが「タイミングよく」と言われるところで。早めに行動しようとすると、「合図早すぎるね、一本前で曲がると思われちゃうよ」となる。

え、難しすぎでは???

第1段階と同じように、感覚が掴めないまま、教習時間が過ぎていく。
指導員が呆れ混じりの口調で時間の終了を告げることばかりだったのに、一度も追加教習に引っかからなくて、逆に不安になっていった。

高速教習なんて酷いものだった。
私の通っていた教習所は近くに高速道路がなくて、シュミレーターでの実習だったのだけど、ハンドルのコントロールが全然できない。ぶつけまくった。実車だったらたぶん死んでた。

しかしやっぱり慣れである。
教習時間の残りが少くなるとともに、「卒検くらいならなんとかなるのでは? ぎりぎり合格ラインに乗るのでは!?」レベルになってきた。

結局、感覚を掴めたという実感のないまま迎えた卒検、どうにかこうにか一発合格。
年末、免許センターでの試験を経て、無事に免許取得と相成りました。
教習所に通ったのは2ヶ月ほど。それで私もうひとりで車に乗れるらしい。怖すぎる。

おかしいな、起承転結のある成功体験を披露したかったはずなのに。
さほど山もオチもなく、低空飛行でどうにかラインに乗りました。

感想

「え、私に免許あげていいの? マジで言ってる?」

正直言うとこれが一番大きいのだが、
もう少し真面目に。

社会人になると、めちゃくちゃ苦手なことに取り組まざるを得ない状況って意外とない。職場や人付き合いも選べば苦手なものってある程度避けて通れるし、代わりに得意なことをなんとなくこなせばまあそれなりに生きていける。

そんな中で、めちゃくちゃ苦手なことに諦めずに一生懸命取り組むっていう経験が久々で、なんだかものすごく新鮮だった。
教習所というごりごりにカリキュラムが組まれて、余程のことがない限り卒業できる仕組みが整えられている場所でそれができたのが大きいのだとは思うけれど、やりがいも楽しさもあったなあと思う。

そして、苦手なことを乗り越えるって、やっぱり多少は自信につながる。
自己肯定感の低さが少し消えて、私もやればできるじゃんという気持ちがほんのり生まれるようになった。

30万円と2ヶ月で、私は免許と自信を手に入れた。
なかなか悪くないお買い物だったんじゃないかと思う。

社会人として免許を取得する

そして、「今」で良かったなと思う。
今よりずっとお豆腐メンタルの大学生時代に、周りが行くからという理由だけで、親のお金で教習所に通っていたら、私は多分簡単に挫折していた。
挫折しなくても、ものすごく嫌々通って、とりあえず免許は取ったものの、一生車なんて乗らねえよ、と思っていただろう。

働き始めて、「無理でもとりあえずやってみる」「無理ならできる方法を考える」という思考が身についたこと、
自分にとって今これが必要だ、と思って教習所の扉を叩いたこと、
そして自分のお給料から決して少なくはない(月収は軽く超える)お金を出したことで、
ちゃんと自分のものにしてやる、という気合いが入った。

もちろん時間は学生時代より取りづらいし、仕事や生活との両立は結構大変だったけど、やっぱり今で良かったなと思います。

「なんとなく」で取ろうとしている人、社会人で免許なんて取れるのかなって不安になっている人の、考えの一助になれば嬉しいです。

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