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ジェンダー平等のため会計ができること

3月8日は国際女性デーです。

ジェンダー平等のために、会計ができることを考えます。

ここでは、ハーバードビジネススクールのインパクト加重会計における雇用インパクトフレームワークの中の「ダイバーシティ」を取り上げます。

同フレームワークでは、企業の性別や人種・民族の人口統計は、地域の人口統計と同等になるべきだと考えます。

そして、各グループの従業員数に賃金ペナルティを掛け、各グループのダイバーシティに与えるマイナスのインパクトを計算します。

具体的には以下のステップで計算を行います。
(一見難しそうに見えますが、とてもシンプルです。)

(E1)自社の総従業員を把握する

(E2)少数派グループに属する従業員数を把握する

(E3)地域の人口統計を調べ、少数派グループに属する従業員の「期待」割合を求める(例えば、地域の人口の15%がアジア系女性である場合、この企業における当該グループの期待割合は15%になる。)

(E4)少数派グループの従業員数の期待値を求める
期待少数派グループ従業員数 = 総従業員(E1) × 地域人口統計ベンチマーク(E3)

(E5)地域の人口統計と比較して、自社の不足する少数派グループの従業員数を求める
不足する少数派グループの従業員数=期待少数派グループ従業員数(E4)ー自社の実際の少数派グループ従業員数(E2)

(E6)少数派グループのダイバーシティーインパクトの貨幣換算価値を求める
少数派グループのダイバーシティーインパクト=不足する少数派グループの従業員数(E5)×平均給与*グループの加重平均

*平均給与グループは従業員インパクトの「機会(オポチュニティ)」で計算される

(E7)ステップE2からE6までをすべてのグループについて繰り返す

(E8)上記E7で求めたすべての少数グループの値を合計し、ダイバーシティーインパクトを算出する

例えば、地域における男女比が50%:50%であり、ある企業における従業員数が10,000人で男女比が70%:30%であった場合、女性(30%)が少数派グループになり、平均給与が400万円だったとすると、
ダイバーシティーインパクトは、
10,000×(50%-30%)×400万円=80億円(ペナルティ)
となります。

このように、地域の人口統計と比較してダイバーシティーが確保できていない企業にはペナルティが課され、その分が企業利益から減額されます。

これにより、ダイバーシティーインパクトを考慮したインパクト加重利益を計算することが可能であり、このインパクト加重利益に基づいて経営者や投資家が意思決定を行うことで、資本主義のメカニズム(利益最大化)を利用してダイバーシティー実現に貢献できます。

上記は、あくまで「ダイバーシティー」を取り上げましたが、そのほかにも「賃金の質」「キャリアップ」「機会」「健康とウェルビーイング」などさまざまな調整を行います。

以下は、インテル社の事例です。
(23億ドルのダイバーシティーインパクトペナルティを計上しています。)

出典:Accounting for Organizational Employment Impact, Harvard Business School, 2021

このように、会計の力を使って、ジェンダー平等の実現に貢献することができます。

より詳細を知りたい方は、以下のレポートをご参照ください。
https://www.hbs.edu/impact-weighted-accounts/Documents/Accounting-For-Organizational-Impact-Rev080521.pdf

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