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IMPACT ONLINE SESSION〜第三回 IMM勉強会〜

先日、会員向けに「IMPACT ONLINE SESSION〜第三回 IMM勉強会〜」を実施しました。第1回ではIMMの基礎やコンセプト、第2回では、実務におけるIMMの実装について学びました。
今回は、”インパクト投資家の投資判断では、どのようにIMMが活用されているのか”についての学びをレポートでお届けします。


講師のご紹介

今回講師としてご登壇いただいたのは、協会の幹事を務めるKIBOW インベストメント・プロフェッショナル(以下KIBOW)の五十嵐 剛志さんと、GLIN Impact Capital(以下GLIN)のパートナーである秦雅弘さんです。
なお、モデレーターは、第1回、第2回と同様に協会の代表理事を務める星直人さんが担当しました。

IMMとは

IMMとは、Impact Measurement and Management(インパクト測定及びマネジメント)の略称です。
インパクトマネジメントとは「事業や取り組みがもたらす変化や価値に関する情報を各種の意思決定や改善に継続的に活用することにより、インパクトの向上を目指す体系的な活動」を意味し、その目的はインパクト拡大に向けた事業活動の改善です。
ではインパクト投資家の投資判断では、どのようにIMMが活用されているのか事例とともにご紹介いたします。

投資判断やタイミングとはーーKIBOW投資ファンドの五十嵐氏によるプレゼンテーション

KIBOWファンドについて

KIBOW社会投資ファンドは社会課題を解決し、希望を創る起業家に対して投資をしています。社会課題を解決し、希望を作るインパクトスタートアップ企業を率いる起業家に対してインパクト投資という形で支援をしており、具体的には、カネ、ヒト、チエ、この三つの流れを変えたいというミッションを持っています。

社会性はどう判断するのか

五十嵐氏からは投資のプロセスについて解説いただきました。投資を行うにあたり、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査するデューデリジェンスにおいて、経済性・社会性の両面から詳細を調査する中、どのように判断し、特に社会性についてどのように評価しているのかというところを中心にご説明いただきました。

KIBOWでは独自にY字モデルを使用し投資の意思決定判断をしています。このYとは、左側を社会を社会の構造的な変革いわゆるソーシャルイノベーションを果たすことができるか、右側を財務的なリターンとして表しているそうです。
意思決定では、Y字モデルで社会的な価値と収益性を両立するようなビジネスモデルを構築することができるかというところに着目していると言います。

IMMはいつ始めるべきなのか?

「時間がたてばたつほどIMMに取り組むのは難しくなってくるため、おすすめはできる限り早いタイミング、創業期である」と五十嵐氏は語ります。
また、インパクトモデルを見る際に、ビジョン・事業目標からの逆算で、長期、中期、初期のアウトカム、活動や資源がストーリーとして繋がっているかもポイントの一つだそうです。プレゼンテーションの最後に、「社会的インパクトは会議室で起こってるんじゃない、現場で起こっている」と熱いメッセージをいただきました。現場の受益者を第1に考えると、社会的インパクト評価をパワーポイントで作って終わりではなく、現場に行って実際に見ることが肝心である。そして、評価は査定ではなく引き出すという意味であり、IMMを課題解決のために活用するんだという視点を持っていただけるといいのではないかと参加者に問いかける形で幕を閉じました。

IMMの意義について考えるーーGLIN IMPACTファンドの秦氏によるプレゼンテーション

GLIN Impact Capitalについて

GLIN Impact Capitalは、経済成長とともに、社会課題が解決されるような社会を実現したいというミッションを持ち、マーケットレートのインパクト投資に取り組んでいます。持続可能な資本主義の実現に最も有効な手段の一つが 外部経済性の組込みです。現在は、主にミドル、レイターステージのスタートアップに投資をしているそうです。

GLIN Impact Capitalの特徴

GLIN Impact Capitalの最大の特徴は、投資後にImpact・ESG value-upといった、IMMやESG観点のところでコンサルのような働きをしながら投資先の会社のバリューを高めていく点です。
GLINの投資プロセスは、ファイナンシャル観点、ESG観点、インパクト観点の3つの観点から総合的に投資判断を行っているそうです。

DD開始時に、IMMはまだやっていなくても大丈夫

秦氏によると、GLINとして投資検討先に見ているポイントは、第1に”解決しようとしている課題が、何なのか”というところ。その他は、課題解決の意図や取り組みが社会課題に繋がっているのか、さらにネガティブインパクトが限定的で管理可能なものなのかという点です。
また、ポジティブインパクトが多い事業であるか、投資家による貢献ができそうか、という点も注目しているポイントだといいます。
複数の観点がありますが、まずはIMMやロジックモデルを運用していなくても、同社と一緒に進めながら確認ができたら良いと、安心できるお話もいただきました。

IMMは何のためにやるのか

秦氏はIMMをやる目的は大きく二点あると話します。

IMMを行う目的
①経済成長とインパクトの拡大を両立し、事業戦略策定に活かす
②インパクトが各ステークホルダーに対してわかりやすく説明するベースとして活用する

IMMは投資家のためにあるものではなく「事業がしっかり経済性も伴いながらインパクトを大きくしていけるということを実現するものである」と強調していました。

最後に

今回お話いただいたお二人とも、インパクト投資の重要性を強調し、投資先企業とともに社会的インパクトを最大化するためのサポートを行っていることが強く感じられるお話でした。
投資家としてIMMを行う価値として、経済成長と社会的インパクトを両立する事業戦略策定に生かすという点、各社の社会的インパクトをステークホルダーに対してわかりやすく説明するベースとして活用できるという点を挙げられていました。
また、IMMについて「IMMはまだ発展途上であり、正解がある領域ではないなかでも取り組む価値はあるため、やれることから始めていただければ」とお話もいただきました。

全3回に及ぶISAのIMM勉強会でしたが、会員企業の皆様がIMMに取り組むきっかけになればと考えております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後とも定期的に勉強会の様子をレポートしていきますのでご期待ください!

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