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茨城の不良少年から不良中年へ…板橋区強盗致傷事件

事件概要

 東京都板橋区で2月、卸売会社に4人組が押し入り、現金約970万円を奪った事件で、警視庁捜査1課は18日、強盗致傷容疑などで、いずれも職業不詳の赤沼翔哉(29)=水戸市川又町=、小田部拓斗(28)=同市末広町=、飯田政実(37)=茨城県つくば市=各容疑者を逮捕した。
 同課によると、小田部容疑者は「何のことか分からない」と容疑を否認し、赤沼、飯田両容疑者は黙秘しているという。警視庁は残る1人の行方を追っている。
 逮捕容疑は2月21日午後2時20分から約10分間にわたり、板橋区熊野町のビル1階にある化粧品や電器製品の卸売会社に侵入。20代の女性従業員に催涙スプレーを噴射して1週間の軽傷を負わせた上、粘着テープで手足を緊縛し、現金約970万円を奪った疑い。 
[時事通信社]

https://sp.m.jiji.com/amp/article/show/
2991414

罪名:建造物侵入、強盗致傷
被告:小田部拓斗、赤沼翔哉、飯田政実

※小田部の被告人質問は傍聴していないため赤沼の被告人質問から


・赤沼被告人質問

今回逮捕された被告3人と逃亡中のMの4人は「上の人(指示役)」の指示で運搬の仕事を頼まれた。その後それは運搬の仕事ではなく「形式的な強盗」だと聞かされた。「上の人」のことは声しか知らない。名前も知らなかった。
小田部は格闘技をやっていた。小田部と赤沼に上下関係はない。
連絡は「上の人」から小田部に連絡があり小田部→赤沼→飯田という形で連絡をとっていた。

検察
「逃亡中のMは20代前半で皆よりかなり年下、出所したばかりで執行猶予中だがなぜ参加した?」

赤沼
「分からない」

検察
「被告はなぜ参加した?」

赤沼
「小田部の個人情報を上の人が知っているから小田部を助けたかった」

検察
「犯行に使われた車、白のプリウスは上の人が用意したと供述している」

赤沼
「はい」

検察
「茨城の暴力団組織、東龍会(六代目山口組竹中組傘下)の桜井康次郎は知ってるか?」

赤沼
「地元の知人」

検察
「今回使われた車は盗難車で以前は桜井が使用していた。上の人とは桜井か?」

赤沼
「違う」

検察
「なぜわかる?」

赤沼
「声が違うから」

検察
「あなたの部屋から東龍会の祝袋が出てきた。あなたは東龍会と関係してる?」

赤沼
「地元で知り合った東龍会のKさんから以前出所した時祝い金をもらったことがある。金額は10万程。その時のもの」

赤沼被告は北関東訛りがあり朴訥とした話し方で黒髪にスーツ、髪もきちんとセットされていたが首から手の甲までタトゥーが入っていた。反省を述べるが今回裁判を受けるのは4回目。

ちなみに検察から名前の出た桜井康次郎は2023年10月に特殊詐欺の疑いで北海道警に逮捕されている。


・飯田被告人質問

小田部との関係
赤沼の紹介で2~3年前に知り合うが数回あった程度の知人であり上下関係はない
逮捕される1ヶ月ほど前にインスタを通じて連絡先を交換した
検察「なぜ?」
被告「お互いに格闘技をやっていたので」

赤沼との関係
6年ほど前、水戸にあるバーで知り合う
何でも話せる仲であり上下関係はない

逃亡中のMとの関係
被告の後輩の後輩
5~6年前から知人である

事件に関わった経緯
赤沼から運搬の仕事を受ける、報酬は2万円
その後実は「形式的な強盗」だと聞かされる
報酬は盗った金額の5%

検察
「形式的な強盗とはどういう認識だった?」

飯田
「上の方で話がついていて強盗のフリをするものだと思っていた。保険に入っていれば盗まれた金は返ってくるみたいな話を聞いたことがあるのでそういう感じかと。」

検察
「あなたは執行猶予中。その話を聞いて断らなかった?」

飯田
「何度も断ったが何度も誘われた。頼られると断りずらかった」

検察
「警察に相談しようと思わなかったか?」

飯田
「みんなと話したとき、赤沼から警察に相談しようと言う話は出た」

検察
「あなたは?」

飯田
「小田部の身分証が組織の人に渡っていると聞いてそんな事したら自分達まで危ないと思って反対した」

検察
「あなたは何度も断っていたのに警察に相談するのは反対した。では参加した理由は?」

被告
「小田部を助けたかった」

逮捕されるまで「形式的な強盗」だと信じていたと語る被告人だが犯行時着ていた服は自分で用意し犯行後処分した
犯行に使われた車(白のプリウス)とは別に被告は自分の車も出しているがその車は犯行後処分していた

被告
「車を処分したのは事件とは関係ない」

犯行時、上の人の指示を電話で受けながら犯行に及んだ
電話で話していたのは主にMだった
被告の話ぶりではMが積極的役割を担っているように聞こえた
Mは1番年下で未だ逮捕されていない

事件後、赤沼に報酬の件で電話すると
「ニュースで騒ぎになってしまったからもう少し待ってくれと上の人が言っていた」と聞いた
小田部にはそのことで連絡していない
事件について主に赤沼を通して話を聞いていた
結局報酬はもらってない?

この日、被告3人それぞれの情状証人が出廷する予定だったが飯田の内縁の妻は体調不良で欠席している


・証人尋問
小田部の母親の場合

息子はまだ若く今後の人生もある
前回、特殊詐欺で逮捕されとても反省していたのになぜ?という気持ち
再犯してしまった原因は息子が少し落ち着いたと思い、自分が監督せず嫁任せにしてしまった
息子は少年の頃から自分が被ればいいという漢気ある性格、家族想い

検察
「今回は息子さんが周りを巻き込んでいるが」

息子が他人を巻き込んだことが意外だった
息子が犯行に及ぶのは交友関係だと思う
お人好しすぎる
息子の性格を知ってる前職場の人や地元の先輩も更生に協力すると言ってくれてる
自分の産んだ子供なので最後まで責任もって監督する覚悟がある

小田部母からは何があっても息子を庇う母の強い愛を感じた
そんな小田部母は若々しくスタイル良く髪の毛もよく手入れされた美しい女性
一方小田部は頭皮にまで色とりどりのタトゥーを入れ首やら手の先までタトゥーだらけだ



・証人尋問
赤沼の母親の場合

息子とは同居していて家族は祖母、証人、被告、妹の4人家族
息子は会話好きで祖母と仲が良い

検察
「被告の性格は?」

弱くて頼られると断れない優柔不断な性格
再犯のないようきちんと監督していく

検察
「前科もあるが具体的にどうやって?」

息子がきちんと仕事に就いて規則正しい生活を送っていれば罪を犯すことはないと思っていたが、それだけではなくこれからは他の家族(親戚?)などの手も借りて監督していきたい。

検察
「息子さんの交友関係、家に遊びに来る友人は反社会的勢力のような者はいなかったか?」

見た目では分からないというか…
自分はそういうのを感じたことはなかった。

赤沼母は小柄で控えめに言葉を選びながら証言していた。赤沼は仕事をしていたが家にお金を入れることは滅多になかった。母は仕事をして家計を支えていた
赤沼は裁判を受けるのは4回目だと検察が言っていたのでその度にこの母親が情状証人として呼び出されていたのだろう
体調を崩し少し疲れているようだった


判決

小田部、赤沼の順に入廷し少し間があって飯田が入廷してきた

3人の被告に対し弁護人は1人、検察官は4人いた

小田部は入廷時、肩で風を切るように歩いてきて傍聴席を見てニヤニヤしていた
友人や仲間でも来ていたのか前回の態度に比べ少し開き直っているようにも見えた

赤沼も入廷時傍聴席を見てはニヤッと笑った
飯田は入廷時傍聴席を見るが笑顔はなかった

裁判長
「3人とも証言台の前へ。すぐ終わるので立ったまま聞いていてください。」

小田部拓斗、懲役10年
赤沼翔哉・飯田政実、懲役8年
(拘留120日を刑に算入)

小田部は判決を聞いた瞬間、声を漏らしていたが聞き取れなかった

小田部は2人を巻き込んだ分、2年重い刑になった

裁判が終わり飯田はそそくさと退廷した
小田部は落ち着きのない様子だが傍聴席をチラチラ見ては笑顔を向けていた
赤沼は小田部の様子を伺っていた

小田部と赤沼はスーツを着用し身なりにもそれなりに気を使っていた
それに対し飯田はラフな格好で髪の毛も伸び少し清潔感に欠けていた

小田部と赤沼は28歳と29歳、彼らは30代のほとんどを刑務所で過ごすことになる
息子のため情状証人に幾度も立ち、心証を良くしようとしてくれる者もその分年老いる

飯田には内縁の妻がいて刑期を終えたら正式に籍を入れたいと語ったが飯田が出所する頃は45歳。果たして内縁の妻は8年も待っていてくれるだろうか
内縁の妻には3人の子供がいる

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