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地元を離れた人観て!(『佐々木、イン、マイマイン』)

大人びて見えた国語の先生がよく洋服を買う店は、若者に人気のレイジブルーだった。

高校のときにクラスに配属されてきた、スーツを着ていた美人の教育実習の先生は、私服がおしゃれな人だった。

ジャケットをカチッと着こなしてしっかりめに見えた面接担当者は、一緒に働いてみると結構下世話で面白かった。

保育園入園から今に至るまで、いろんな人を見てきて、仲良くなると、初対面での印象や勝手な偏見とは違うところを垣間見て、「え?そんな一面持ってたの?」なんて思うことは多々ある。自分だって、「お前そんなやつだったの?」と思われているかもしれない。

映画『佐々木、イン、マイマイン』は、男子高校生・佐々木の笑顔と哀愁たっぷりの表情に、心動かされた。

以下は公式のイントロダクション。

俳優になるために上京したものの、鳴かず飛ばずの日々を送る27歳の悠二。
彼はある日、高校時代に圧倒的な存在感を放っていた同級生・佐々木と仲間たちとの日々を思い起こす。常に周りを巻き込みながら、爆発的な生命力で周囲を魅了していく佐々木。だが佐々木の身に降りかかる“ある出来事” をきっかけに、保たれていた友情がしだいに崩れていく——。佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!
佐々木コールが鳴り響く、涙と笑いに包まれる119分!(中略)

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佐々木とその仲間たちの過去と現在を通して、観る人すべての心の中にいる“ヒーロー”を甦らせ、青春時代特有のきらめきと、愛おしくも戻らない日々への哀愁をストレートに描き出します。

予告編からもう、佐々木の光と陰にやられてた。

学校では、佐々木コールが起こると所構わず全裸になり、男子の輪の中心で馬鹿騒ぎするお調子者。一方で生活は、さびれたアパートでカップラーメンとゲーム暮らし。西日に照らされ、焦点が定まらずぼーっとどこかを見ている佐々木は、まるで学校で囃し立てられる人気者とは別人の表情だし、「悠二、好きなことやれよ」という言葉からは、自分の人生への諦念も感じた。

でもこれ、ほんとうの佐々木は苦しんでいて、ただそんな面を同級生には見せたくないから頑張ってハッチャケている風にもみえた。

この映画で“ヒーロー”として描かれている佐々木は、集団を率いる赤レンジャーでもないし、悪者を成敗する力持ちなスーパーマンでもない。そっと背中を押して支えてくれるサポーター的な存在で、「俺にとっての、地元にいる家族と友達だな」と思った。特定の誰かというよりは、遠くで想ってくれている(といいな)あの人たち。

この映画、主人公は佐々木ではなく、佐々木の同級生で、役者志望だけど鳴かず飛ばずな工場勤務の悠二。地元・山梨から上京している設定。だから、観ていて地元にいる友人とか家族を思い出したんだと思う。なので、これは特に地元を離れて生きている人に観て欲しいです。

おわり

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