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アクセサリーを着ける訳 −HASUNAのこと

10代20代の間、私はアクセサリーを着けることが苦手だった。

お洒落をするのは人に良くみられたいと思っているから。
お洒落をするのは外見ばかりを気にしているから。

常にそんな風に自分に言い聞かせていて、流されることのない自分は人よりも賢いのだと思いたかったし、誰かに浅はかな人間だと思われることは耐えがたいと思っていた。

服を着るのは社会生活のために必ず必要なことだから好きな服を選ぶのはOK、でもアクセサリーは着けなくても社会生活を営むことができるのだから、時間をかけてそれを選んだり身につけたりするのは馬鹿げたこと。
屈折した自意識のせいで、若い私はネックレスも指輪もブレスレットも着けることができなかった。

 *

30代も半ばを過ぎて、今では私はほとんど毎日アクセサリーを着けている。

別に人によく見られたいとか外見を飾り立てたいとかそういうことではなくて、自分の気に入ったものを身につけて気持ちよく過ごしたいと思っているからだ。

30歳になる直前に手痛い失恋をした。
何故彼はこんなにも私の好きなものを全て持ち合わせているのだろうと時々いぶかしくなるほどの人で、彼を失うことは世界の半分を引きちぎられるほどの痛みを伴った。
私がオモチャではないジュエリーを自分で買ったのはこの時が初めてのことで、気分を変えたくて銀座のデパートの一階に駆け込んで馬蹄形のモチーフのついた小さなプラチナのネックレスをエイヤと手に入れた。
馬蹄はラッキーを呼ぶモチーフだから。きちんと綺麗にしていれば惨めな気持ちにならないし前向きになれるから。
アクセサリーを着けていると気持ちが良いなと思えるようになったのはこの時からだ。
アクセサリーを着けることの理由を私はようやく理解したのだ。それは純粋に自分のためのことなのだ。

自然に気持ちを上向きにしてくれたり、着けていると自信をくれたりするアクセサリーを選んでいる。
私はこんなものが好きです。私はこんな人間です。そんな自己紹介のつもりでもある。

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今の私が一番に選ぶアクセサリーはHASUNAのものだ。

HASUNAは背景のストーリーまでもが一点の曇りもないジュエリーを作る。
HASUNAのジュエリーに使われる金や宝石は、不当な児童労働や搾取のない現場で採掘されたものに限られる。
選ばれた材料は、その国に住む女性達や元ストリートチルドレンの青年達の手で磨き上げられ、加工され、公正な取引を経て私たちの手元へと届く。
私たちの生活を豊かにしてくれるそのジュエリーの背景には誰の涙も血も流されていない。

そして何よりHASUNAのジュエリーは美しいのだ。媚びない凜としたたたずまいだけれど、気負わずにさっと身につけられる。
例えば、チェーンと三角形のバーをリズミカルに組み合わせたネックレス。
例えば、深い青色のトパーズをすっきりと繋いだネックレス。
(この色はロンドンの空の色と同じなのでロンドンブルートパーズと言うんです、そう言われてすぐにノックアウトされた)
どんな服に合わせるかで印象が変わるし、週末につけても平日につけても同じように嬉しい気持ちになれる。

私にとってHASUNAのジュエリーを選ぶのは自分がどのようにありたいかという意思の表明でもある。
それは誰かの意見に流されずに自分が「正しい」と信じる選択をするということの象徴であるし、どんな世界に住みたいかという主張でもある。

HASUNAの創業者の白木夏子さんは私と同年代の女性で、自ら世界中の鉱山に足を運ぶという軽やかなフットワークと活躍に憧れる。HASUNAのジュエリーの裏にはグローバルに働く白木さんの姿が見えるし、女性が背筋を伸ばして働くことを後押ししてくれる存在だ。
私は海外出張をする時にはHASUNAのジュエリーを携えていく。
「君は素敵なネックレスをしているね」
誰かにそう褒められたら、嬉々としてHASUNAの話をする。
これは日本の女性の作った会社のプロダクトなのだ。採掘から流通まですべてが美しいジュエリーなのだ。
まるで自分の手柄であるかのように、ものすごく胸をはる。

 *

HASUNAは昨年で創業10周年を迎え、変わらぬ姿勢で美しいジュエリーを作り続けている。
私は伴走しているような/伴走してもらっているような気持ちで、HASUNAのジュエリーを身につける。
いつまでも自分の意思で自分の好きなものを選び続けたいし、いつまでもHASUNAが似合う姿勢の女性でありたい。

HASUNA
https://hasuna.com/



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