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皆もっと、「児島」の魅力に気づいた方が良い。【岡山県視察】

2024年3月2日、岡山県の児島で視察ツアーがあった。

ガイドをしてくれたのは、りょうちんさん。各所に調整いただいたおかげで濃い1日を過ごすことができた。

1日の流れは以下。

10:00-11:00 島田さん@DENIM HOSTEL float
11:00-12:30 ジーンズストリート
12:30-13:30 昼食@いづつや
13:30-14:15 正田さん@下津井シービレッジ事務所
14:15-15:30 福川さん&さくらさんと下津井散歩
16:00-17:30 belk
18:00- ITONAMI DENIM HOUSE BON 交流会

正直なところ、これまでの僕なら友人と旅行をする際にあえて「岡山県」を挙げることはあまりないと思う。岡山県を旅行をすることがあったとしても分かりやすく観光地となっている「美観地区」を選ぶ。だからこそ「児島」自体への期待値はそこまで高くなかった。

でも、そんな自分をぶち殴りたくなるくらいの最高な体験と素敵な人が「児島」にはあった。この魅力をどれだけ伝えられるか分からないが、児島への感謝の気持ちを込めてここに記したい。

DENIM HOSTEL float

floatは、アパレルブランド「ITONAMI(代表:島田さん)」が運営する「泊まれるデニム屋」。僕らはその float に前泊していた。まずはあれこれ話す前に写真を見てほしい。

瀬戸内海を一望できる宿
デニムのキーホルダー
前日の夕食セット
ラザニア
併設するショップ
カレンダーまでデニム
埋まる体験
瀬戸内海が一望できるサウナ
夜のサウナ

いち観光客として最高の景色の中で、ただただ楽しい時間を過ごせたのは言わずもがな。

全体を通して感じたのは、すべての物事や空間に、制作者の意志や愛情を感じたことだった。

前述したキーホルダーやカレンダーはもちろん、スリッパ、畳縁、壁の色や椅子含め、全体を通してデニム素材やデニムカラーで構築されている。

お土産エリアには、お茶やボディソープ、うどんの小麦など、これまでITONAMIさんが全国を回る中で出会ったこだわりの商品が置いてある。ショップの中にはITONAMIさんの「FUKKOKU(デニムを刻み、再び作るプロジェクト)」の紹介など、事業の意志を知る仕掛けがされている。

あらゆるものに意志があり、ストーリーがある。説明できないものは無い。その徹底した細かな表現がITONAMIのブランドを作っていた。

この日の夜は、ITONAMIさんのもう一つの「泊まれるデニム屋」であるBONに泊まった。ブランドに関して改めて感じたことがあったのでこれは後述したい。

「ジーンズの街」としての児島

国産ジーンズ発祥の地である児島は、思いっきりジーンズ・デニムに振り切った街のブランディングをしている。例えば駅。駅内の階段や改札も全てジーンズのモチーフがあしらわれている。

改札を出ると、ジーンズをモチーフにした「Gパンダ」くんがお出迎え。

キャラクターもロッカーもジーンズ

駅を出たロータリーにもジーンズが並べられている。(この日は風のせいかトリッキーな向きに)

そして様々なジーンズの店が並ぶ、児島ジーンズストリート。

街のあらゆる要素がジーンズやデニムをモチーフにしている。ここまで振り切ると流石に印象付くし、記憶に残る。街のブランディングは、いかに振り切れるか(変にバランスを取ろうとしないこと)なのだろう。

いづつや(回転寿司)

floatの後、僕らはデニムストリートをめぐり、その後「いづつや」という回転寿司へ。店の外観こそ普通だが、ここの寿司は正直、過去に訪れたどの回転寿司よりも圧倒的な満足感だった。

おいしさに気を取られて寿司を撮れていない

デカいマグロやウナギのお寿司、トゥルトゥルのたこのお寿司、シャリも最高に美味しいし、それでいて価格が安すぎる。寿司好きの私としては、これは正直毎日これる。(島田さんは最大1日4回行ったらしい)

ここは児島に来たら絶対に来た方がいい。

下津井シービレッジ事務所

クラシキ文華

次に伺ったのは下津井シービレッジ事務所(下津井は児島地域の中にある地区)。下津井シービレッジプロジェクトとは、かつて寄港地として栄えた商港だった下津井に、かつての活気を取り戻そうと立ち上がった地域おこしの団体のことである。

なんば建築工房の5代目社長をしながら下津井シービレッジプロジェクトの事務局長をされている正田さんに、プロジェクトのご紹介や地域との向き合い方について教えていただいた。(写真が撮れていないが、スライドを投影いただきながら丁寧にご説明いただいた。)

色々とお話をお伺いした中で印象に残ったのは、街おこしのプロジェクトを運営するための「しもついシービレッジ株式会社」を建てたことであった。街おこしにおける取り組みは、気を抜くとどうしてもボランティアのようになってしまうことも多い。でもそれだと持続可能では無い。
だからこそ下津井シービレッジプロジェクトでは、利益をちゃんと考えるために運営を株式会社という企業が行っている。株主となる会社を募り、合弁会社が作られた。

プロジェクトをボランティアに収まらせないために株式会社化する。この動きはきっとどの地方にもあるはずだし膨らんでいく気がする。

また「付加価値」の話もしていただいた。街づくりをするにしても、自分の本業の領域でやる方が良いと。本業に近い取り組みだからこそ真似しづらい価値(付加価値)を生み出せる。

(一方で悩ましいのは、僕は広告やクリエイティブ関係でキャリアを積んできたので、「デニム」や「空き家」のようなコアとなる物事として事業の中心として置きづらいことだった。広告は基本的に別の主役ありきで、その魅力を届ける役割。だからこそ僕が地域で事業をつくるとなった時にコアをどうするか悩んでいるところだ。)

福川さん&さくらさん

次にお話をお伺いしたのは「ダンジョデニム(デニムジャケットショップ)」をされている福川さんと、下津井で地域おこし協力隊をしているさくらさん。下津井の街を歩きながら色んなお話を聞かせてくれた。

さくらさん主催の下津井酒場(歌えるらしい)

共通して感じたのは、街とのつながりを活かしながら、好きなものや得意なことで新しい価値を作っていること。

何か大きな課題に対して「イノベーションを起こしてやろう」とかそんなんじゃなくて、手を広げて触れられる世界を、ちょっとだけ豊かにしていこうと。それが地方で追い求める豊かさのあり方なのかもしれない。

belk(ベルク)

夕方に向かったのは、belkというカフェ。正直、このカフェだけで街に住みたいと思えるほどの最高の空間だった。

穏やかな海を眺めながら、夕陽に照らされ、素敵な音楽と、美味しいお菓子とコーヒーで時間を過ごす。何度だって行きたくなる。

ひとつの空間、ひとときの時間だけで、人は街を好きになる。

DENIM HOUSE BON

最後は、もう一つの泊まれるデニム屋であるBONでITONAMIの島田さんたちと交流会をさせていただいた。

BONの中にもデニムショップや、ブランドを説明するエリアが設けられている。

徹底的にブランドに込められた想いが言葉になっていて、クオリティ高くクリエイティブに落ちている。

ただ、一番僕の心を打ったのは、島田さんがお話しされている姿だった。ブランドのストーリーを語る際に表現されているコピーが形だけじゃなくてちゃんと魂が入っている感じがした。「ああ、この人は本当にデニムが好きなんだ。」

ここにあるデニムは島田さんたちの哲学が込められているように感じて、買わずにはいられなかった。デニムを着ると、なんだかちょっと誇り高い気持ちになれる。これがブランドのあるべき姿なんだと思った。

最近、地域で「プロダクト(商品)」=「ブランド」と簡単に呼んでいることにかなり違和感を感じていた。高く売りたいからそれをブランドにしようなんて文脈には純度が無いから求心力も無い。

ブランドとは、認知の集合体だし、その強い認知を作るのは誰かの信じる世界や哲学なんだと思う。僕らはその世界や哲学に共感し、人に共感し、お金を払い、そしてその誇りを身に纏う。

ブランドのあるべき姿を改めて考えさせられた。

ちなみに島田さん、一見するとちょっと怖そうなんだけど、めちゃくちゃ気さくで良い方だった。

初めましてで最初は若干緊張していた僕らを気遣ってくれたり、なぜかお米をといでくれたり。お酒の場で盛り上げてくれたり。僕はもう島田さんのことめちゃくちゃ好き。

皆もっと、「児島」の魅力に気づいた方が良い。

めちゃくちゃ最高な岡山視察だった。ほとんどはひたすら楽しんでいたんだけど、僕はこの街の景色も人も大好きになった。今度は1週間くらい滞在したい。

僕はきっとこれから、地元の仲間と、この日のような体験を作っていくべきなんだと思う。「街を好きになれるひとときの時間づくり」「街の景色と人を好きになれるツアー」「揺るがない愛と哲学のブランドづくり」。それをちゃんと利益に変えて、続けていけるように。

最後に

今回一緒に岡山を巡ってくれた #POOLOLOCAL のメンバーがめちゃくちゃ最高な人たちで本当に良かった。

一緒に全力で楽しんで、学び、悩み、そして楽しみまくる。この岡山ツアーが楽しかったのは皆が居たからなんだと思う。(あとみんなやたら写真が上手い。写真使わせていただきました。)

同じような年代で、これからの地域への関わり方に悩み、同じ熱量で動ける仲間は貴重だと思う。エリアを超えたこんな素敵なつながりは他では得られない。

オンラインでは面白い人たちかもしれない、くらいにしか思えていなかったが、直接会ったことで僕はメンバーが好きになった。また会いたいし、なんだかすぐ会えそうな気が勝手にしている。

みなさん、
素敵な時間をありがとうございました。

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