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石岡瑛子の言葉に力付けられた

北九州市立美術館(本館)で開催中の「石岡瑛子 I デザイン」に行って来た。
北九州の空は今にも雨が降り出しそうな天気で、工場から立ち登る煙と、妙に似合っている。
北九州に来る時は、何故かいつも空は曇っていて、煤けた印象がさらに強くなるのだ。


北九州美術館より臨む

そんな街の美術館に、石岡瑛子がこだわった赤色が鮮烈に映える。

広告、出版、舞台、映像などざまざまなジャンルに囚われず、また世界的にも活躍したデザイナーであり、アーティスト。表現できうる世界ならどんな形でも表現してきた先駆者の1人だ。

一つは時代が彼女のパワフルな力を求めていた、というのもあるのかもしれないし、彼女自身がそのパワーを持って世界を切り拓いて来た。

作品も去ることながらその傍に寄せられる言葉に度々ハッとさせられた。

Q1いらないものは何ですか?

まるで現代人の断捨離を予見するかのようなコピーを、すでにおよそ34年前の1989年に東急デパートの広告に添えさせている。

もう一つ、情報バージョンもあった。

まさに、今、マスコミやネットで大量に垂れ流される情報社会に、過去の彼女から問いかけられているかのようだった。


「石岡瑛子 I デザイン」

成り行きでデザイナーみたいなことをして糊口をしのいできた私としては、改めて自分がデザイナーだと声高にいうつもりはないけれど、常にそう思って来たので、才能にあふれた彼女でさえも、やっぱりそう思っていたのか、と妙に腑に落ちた。


「石岡瑛子 I デザイン」

これも最近、めちゃくちゃ感じていたことなので、まるで自分の頭の中をさらされているような気がした。

作品そのものよりも、彼女の言葉が情熱的で、生々しい彼女の肉声にインスパイアされた展覧会だった。

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