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「わかってるならやりなさいよ」

朝から川崎登戸の通り魔報道。救いのない話。
家族みんなでしんとした雰囲気でご飯を食べる。

痛ましい気分で皿を洗っていると、妻が「あなたは個人としてはダメ人間だけど、世の中には何かしたいと思ってるんでしょ。こういうのどうすればいいのよ」と皿を運びながら言ってきた。

急な質問に戸惑いながら、「いや…こういうのは、最終的には社会をよくしていくしかないと思います…。人間のからだと一緒だから、ウィルスを退治するんじゃなくて、いかに未病を防ぐかみたいな…」としどろもどろに答えると、「わかってるならやりなさいよ」と言って出勤していった。

呆然とした気分で皿を洗いながら、いま交わされた会話を振りかえる。

「わかってるならやりなさいよ」は乱暴ではあるが正論でもある。
八年前の東日本大震災で、「気になるなら行ってきなさいよ」と乱暴に言ってきたのと似ている。まだ、現地に行けるのか分からないような時期だったけれど、それが宮城県石巻にボランティアにいくきっかけになった。

八年経っても、妻はシンプルかつ率直な人物であることは変わらないんだなあと思いながら皿を洗い終えた。
痛ましい気分は残るが、何ができるのだろうかという考えがほんの少し芽生えている。

「わかってるならやりなさいよ」は乱暴ではあるが正論でもある。
数ミリでも前進して、次の子どもたちへパスできるように。

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