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地方中小企業において「採用で人が取れない」はほぼ全てが経営者の問題。

地方中小企業において「採用で人が取れない」という声はもうデフォルトに近いですが、ぼくはほぼ全てが経営者の問題だと思っています。経営課題として最高位のプライオリティのはずなのにそう思っていないし、そう取り組んでいない。現場の採用担当者がどれだけ自力でがんばっても、会社や社員の協力が得られない環境では限界があります。ひとりでサッカーをやるようなものです。そんなのそもそも競技として成立してないですよね。

「予算は減らすが採用目標数は減らすな」「なんで新卒が取れないんだ」「理系人材を取ってこい」「エントリーをもっと増やせ」「インターンは仕事の邪魔」「採用サイトに載りたくない」と一方的に採用担当者に注文をつけている企業があったとしたら、それは全て経営者の問題です。だって「採用は全てに勝る経営課題である。全社一丸となって採用活動に取り組むべし」と指令を出せるのは経営者しかいないからです。

今、地方中小企業が人を採れるようになるには「選ばれる良い会社になること」と「今いる人にずっと働いてもらえる良い会社になること」しかありません。それは採用担当者の領域を軽く超えて、経営課題の本丸であり、全社的に取り組まなければ太刀打ちできないテーマであり、企業の体質改善であり、何年も時間のかかる本質的な取り組みです。

多くの採用担当者は何年も前からとっくに気づいていることだと思います。でも一向に解決されない。なぜか。経営者に言えないからです。それはそうですよね。言えるような社風の会社だったらとっくに改善されている。だから「なぜ人が採れないのか?」と上司や経営者から採用担当者が詰問されたら、「そういう会社だから」というのが実質的に正しい返答だと思います。でも言えないんですよね。そういう会社だから。

それって採用サイトをピカピカにリニューアルしてどうにかなる問題ではありません。まず「選ばれる会社」になること。もう選ぶ側じゃないんです。そんなの知っているという経営者は多いと思いますが、知っているとやっているは100億光年くらい違います。もう頭を切り替えましょう。自分たちは選ばれる側なんだと全社員に思ってもらうところから始めましょう。めちゃくちゃ時間はかかりますが本質的にはそれしかないと思っています。それを決断できて実行できるのは経営者だけです。採用担当者じゃない。せめてサッカーをやりましょう。一人じゃできないんだから。


採用サイトは「面接直前」しか読まれない

WACULさんの調査資料

採用サイトは「面接直前」しか読まれない。採用サイトのあるべき姿を徹底調査』株式会社WACUL

WACULさんの調査資料にあるように、採用サイトに訪れる人はその前のフェイズで認知と発見が機能しているからなんですよね。

株式会社WACUL

「人が集まらないから採用サイトをリニューアルしたい」とご相談いただくことは多いですが、採用サイトを刷新したから集客できることはありません。積み木でいったら3段目なので。1段目と2段目がなかったらそもそも成立しません。

採用を強化するならもちろんWebサイトも重要ですが、その前段の認知と発見が重要です。地方中小企業ではあまり手がけていない印象です。特に認知フェイズでの活動や広報は皆無に等しい。

これを現場の担当者様に指摘すると皆さん「そうなんですよね…」と無念そうな顔をされます。わかっているけどできない。会社の体制や予算がそうなっていない。担当者がいない。経営陣がそこまで理解していない。これまでの社風にそぐわない。そういった、採用活動とは別の「その会社特有のボトルネック」が存在しています。これは採用サイトをリニューアルしてどうこうなる問題ではないので、「そうですよねえ…」と互いに空を見つめ合う時間が流れたりします。

地方中小企業において「人手不足による事業継続のリスク」は今後も跳ね上がっていくと思うのですが、どうにもこうにも動きが鈍い。自覚がないかもしれないけれど、心のどこかで「今までの自分たちを変えることなく対応できたら一番いい。素直でやる気満々な若者が積極的に我が社に入りたがって、自分たちはそこから一番良さそうな人を選べる役でありたい」と思っているんですよね。問題の本質はそこにある。無理な相談なのですが。

3年後になって「これはマジでやばい…自分たちは選ぶ側ではなく選ばれる側になったんだ…」とやっと社長たちが理解して、経営陣みずから陣頭きって汗水たらして採用活動を始めるんだろうなと思っています。妄想ですが。間に合うといいなと思います。本人たちが気づくまではもう知らん。


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