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【初心者向け】資格も免許もいらない。DJIドローンの始め方

こんにちは、ドローンのユーザーがもっと増えて一般化すればいいなと思っているイナダです。

2022年12月からドローンの国家ライセンスに関する記事やニュースが増えてきて、ドローンに興味を持つ方が増えてきている一方で、間違った認識をされていることが多いなと感じています。
ドローンに興味持った方から、お問い合わせいただく内容のほとんどが「Webでドローンに関して調べてみたけど、どれが正しい情報かわからない。」ということです。

そこで、ドローンの知識ゼロの方に、どうすればドローンを始めることができるのか?飛ばすために必要な手続きは何なのか?の解説します。


そもそも誰?

私は、2015年1月に脱サラして、九州熊本でドローンで独立して、今もドローンを飛ばすことを仕事にしています。
一応実績もご紹介しておくと、
・TV番組だと、NHKにっぽん百名山、テレビ朝日アメトーーク、朝日放送ポツンと一軒家など
・書籍だと、ドローン空撮GUIDEBOOK(2016年版、2017年版、2019年版)、ビデオサロンで、ドローンに関する記事を数本書かせていただいたりしてます。
その他CMや実証実験のパイロットなど、ドローンに関することをいろいろしています。

▼VIDEOSALONでの執筆した記事

さきに結論

ドローンは、資格など取らず、余計なお金を使わずに、自分のペースで、気軽に始めることができます。

え、資格や免許必要ないの?と思ったと思います。

もちろん先々、必要な場面は、出てくるかもしれませんが、最初の1歩目としては、必要ありません。この内容を理解して、練習してから、必要だと思ったら検討してください。
まずは、第1歩目としては、「機体登録」を行って、「特定飛行」と言われる禁止事項に触れなければ、資格や免許がなくても、外で飛ばして、楽しんだり練習が可能です。

ざっくり言うと

空撮ができるDJIのドローンに関して言えば、
・最初の1歩目は、機体登録して、航空法の禁止事項(特定飛行と言われます)に触れずに飛ばす。(イメージとしては、道路での運転)
・2歩目は、上記である程度慣れたら、禁止事項をできるように、航空法の許可承認の手続きを行う。(イメージとしては、高速道路での運転)
・3歩目は、許可承認でも禁止されていること(物資搬送などの長距離飛行や第三者上空飛行)をしようと思ったら、国家資格の取得をする。(イメージとしては、トラックの運転)
の3段です。
この3つを一つずつ、必要に応じて進めていけば良いです。
そして1歩目で、十分であればそれだけでOKです。

実際に私は、2歩目の「航空法の許可承認の手続き」で業務を行っていますし、業務の内容によっては、1歩目の内容で済む場合もあります。

※100g未満のドローンに関しては、外での撮影に耐えられるものが、初心者の方にはハードル高いので内容的に除外します。
※この内容は、映像や写真での利用の方に向けた内容です。測量や散布、物資搬送などに関しては、記述しません。
※2023年5月現在の情報です。

DJIドローンの選び方

本解説の内容は、映像や写真を撮影したいと思っている初心者の方向けですので、まずはドローンの業界標準のDJIのドローンから選ぶのがおすすめです。
DJI以外にもAutelやParrotなどもありますが、困った時の情報の量が段違いに多いので、DJIの製品を選びましょう。

DJIドローンのシリーズについて

DJIのドローンは毎年新型が出ていますが、以下のシリーズがあります。(2023年5月現在販売されているもの)
・Miniシリーズ(現在Mini3、Mini3Pro、Mini4Pro)
・Airシリーズ(現在Air2s、Air3)
・MAVICシリーズ(現在MAVIC3 Classic、MAVIC3 Pro)
・INSPIREシリーズ(INSPIRE2、INSPIRE3)
です。
ドローンとしての性能の差もありますが、まずは、求めるカメラの性能と価格で、選ぶのがよいと思います。

以下カメラについての比較表です。

DJIのカメラ性能比較表

上記よりハイクオリティの映像性能が必要な場合は、MAVIC3 ProCine
、INSPIRE2、INSPIRE3をご検討ください。

ドローンの大きさと性能とカメラ性能は比例関係にあります。
いいカメラ=大きく重くなる=ドローンも大きくなる
と言うことになります。それに伴い価格も高くなる状態です。

▼より詳しい性能の比較ができるサイト

あると便利なオプション

1、機体破損の際の保険DJI CARE
スマホの修理の保険のようにドローンにも機体を壊してしまった場合の保険があります。DJI CAREというオプションがそれに当たります。1年版と2年版がありますので、お好きな方を選んでください。機体ごとに価格が違います。
ただし、適用は商品到着後に専用のサイト(https://www.dji.com/jp/support/service/djicare-refresh)から、個人情報と機体のシリアルナンバーを入れる必要があります。


2、予備バッテリーなどのセット品
基本的には、本体、送信機、バッテリー1本が基本セットなのですが、それだと飛行時間が短いので、予備バッテリーや充電ハブのセットが、コンボセットとして用意されています。個別に買うよりお得な価格に設定されていますので、一緒に購入するのがおすすめです。

DJI Air 2S Worry-Free Fly More コンボ

3、ディスプレイ一体型送信機
基本的には、送信機(コントローラー)にスマートフォンを接続して利用するのが一般的でしたが、最近はディスプレイ一体型の送信機が出てきています。スマホ取り付けるタイプでも問題ありませんが、一体型は外で見やすいように液晶がかなり明るい作りになっています。
DJI RCとDJI RC PROの2種類あります。通常盤とProの違いは、液晶がより明るい、HDMIの出力ができる、アンテナが強化されて電波に強くなるです。

DJI RC

手元に届いたら

以下の作業が必要になります。
1、DJIアカウントを作成
こちらから作成できます。メールアドレスなどが必要です。

2、初期設定(アクティベーション)
起動して画面に出てくる内容を入れていきます。

3、国交省の機体登録サイトから機体登録およびリモートIDの設定
次の航空法についてで説明します。

4、対人対物の保険への加入手続き
DJIの製品には、無償で対人対物保険が申し込み可能です。(1年)
もっと保険を充実したものにしたい場合は、有料もあります。

5、機体破損の保険の加入手続き(購入時に申し込んでいれば)
オプションで書いたように、機体の破損時の保険(DJI CARE)に申し込んでいれば、商品到着後に機体のシリアルナンバーとともに以下のサイトから申し込みが必要です。

補足:旧型もしくは中古はどう?

基本的には、おすすめしません。
旧型(MAVIC2以前、Phantomシリーズなど)は、後ほどご説明する、リモートIDという電子的なナンバープレートの機能に対応していないものがあります。上記であれば対応しています。

中古は、メンテナンス状態がわからないので、初心者のかたには判断できないので、新品を購入しましょう。また、新品の万全な状態の飛行を知っておくと、先々異常にも気づきやすいと思います。

航空法の概要

概要の概要

経験ゼロの方が、ドローンを飛ばすには、
1、購入したドローンを国交省の機体登録サイトから登録
2、リモートIDの設定
3、航空法で禁止されている事項(特定飛行)をしないように飛行
すれば、飛行可能です。免許も、資格も必要ありません。
以下の図の赤枠が必要な手続きで、黄色枠は推奨です。
(塗り分けわかりにくすぎる資料どうにかしてくれ笑)
ソース:国交省 屋外で飛行させるための手続きについて(P5)(https://www.mlit.go.jp/common/001579420.pdf

出典:国土交通省

上記の図の真ん中のグレーの部分に、不要です。と国交省の資料に記載されています。
上部に「カテゴリーⅠ」と記載されていますが、これが、航空法で禁止されていること(特定飛行)をしない飛行のことを指します。
次に、「機体登録」と「航空法で禁止されていること」を解説します。

カテゴリーについて

初心者の方はカテゴリーⅠで練習をして、慣れたら、Ⅱの手続きを検討してください。一応、その内容について以下国交省の資料を添付します。

・カテゴリーⅠが、特定飛行をしない飛行
・カテゴリーⅡが、先の特定飛行をする飛行
・カテゴリーⅢが、特定飛行かつ第三者の上空を飛行する

言うなれば危険度が高くなるので、申請が必要というものです。
ちなみにカテゴリーⅡは、自身で国交省に申請が可能です。
カテゴリーⅢが、新たに創設された国家資格の1等に当たるものです。

国土交通省 無人航空機の飛行許可・承認手続

▼ソース 国土交通省 許可承認の手続きについて
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html#anc01

機体登録について

車で言うナンバープレートのようなものが、2022年6月20日から必要になりました。ただ、車と違って飛んでますし、小さく番号が見えないので、電波で番号出してよと言うのがリモートIDといいます。

なので、
1、購入したドローンを専用サイトで、機体登録をして、
2、ドローンのアプリの中で読み込みの設定をして
3、アプリおよびドローンに読み込まれて、リモートIDの設定がされ、電波で自分の機体の番号が射出されるようになる
ということです。

この手続きについては、国交省 無人航空機登録ポータルサイトに詳しく記載されています。

補足をいくつか
▼DJIの機体については、ここ最近の機体(MAVIC3シリーズ、DJI FPV、Air2以降、Mini2以降)であれば、リモートIDに対応しています。ただ古い機体は、対応していませんので、外付けのリモートID機器を取り付けるひつようがあります。ただ色々と面倒なので、初心者の方は、リモートIDに対応しているDJIのドローンを利用するのがおすすめです。

▼登録システムの詳しい解説については、こちらもDJIが手順について解説しているページがありますのでそちらを参考にしてください。

航空法で禁止されている事項(特定飛行)について

先に説明したとおり、機体登録およびリモートIDに対応したドローンは、これから解説する禁止事項(特定飛行)を行わなかれば、航空法上、資格や免許なく飛行が可能です。
では、具体的に禁止されている事項(特定飛行)を解説します。「場所」と「条件」の2つに分かれます。

参考:「国交省の無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法」に詳しく記載してあります。

飛行禁止空域(飛ばす場所)について

以下の図のA-Dが飛行を禁止されている空域です。
逆を言うと、A-Dでなければ飛行可能です。図の右側に「A-D以外の空域:許可不要」と記載されていることをご確認ください。

出典:国土交通省

それぞれ解説します。
(A)空港等の周辺の上空の空域
これは、記載の通りです。空港周辺は飛行機が飛びますので、禁止されています。
(B)緊急用務空域
これは、災害時や大規模火災などが起こった際に設定される空域です。その際は、自衛隊やメディアなどのヘリ等が飛ぶことになるので、禁止されています。ただ、不特定の場所になるので、都度国交省のHPなどで確認する必要があります。
(C)150m以上の高さの空域
これは、そのままでドローンは149mまで飛行可能です。ただし、何を基準とした高さかというと、ドローンの真下の地面が、149m以内である必要があります。なので、上記の図の山の分高さ上がっています。逆に山の上から横に飛んだら、地面が下がりますので、149m以上飛んでしまうことになるので注意が必要です。
(D)人工集中地区の上空
これは、人が多く住んでいる住所が該当します。その線引きは、アプリや、Webサイトなど地図で確認できます。

▼アプリは、ドローンフライトナビ 

▼Webサイトは、SORAPASS

SORAPASSで見てみると、赤いエリアが空港関連と人工集中地区です。基本的には都市部が赤くなっていることがわかります。なので、慣れないうちは、赤くない場所での飛行を考える必要があります。

SORAPASS

飛行の方法(飛ばす条件)について

以下の図に書かれている内容が、禁止されている飛行の方法です。
先に説明した飛行可能な場所で、以下の内容に触れないように飛行させるこ
とができます。

以下の①ー⑩に触れないようにすれば、飛行可能です。
ざっくり言うと、日中に人やものから30m離れて、機体を見える範囲で飛行しましょうという感じです。
具体的に説明していきます。

出典:国土交通省

①アルコール等を摂取した状態では飛行させないこと
②飛行に必要な準備が整っていることを確認した後に飛行させること
③航空機や他の無人航空機と衝突しそうな場合には、地上に降下等させること
④不必要に騒音を発するなど他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこ と
⑤昼間(日中) (日出から日没まで)に飛行させること
⑥目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行 させること(目視外飛行の例:FPV(First Person's View)、モニター監視)
⑦第三者又は第三者の建物、第三者の車両などの物件との間に距離(30m)を保って飛行させること
⑧祭礼、縁日など多数の人が集まる催し場所の上空で飛行させないこと
⑨爆発物など危険物を輸送しないこと
⑩無人航空機から物を投下しないこと

です。国公省のこちらの資料の9Pに記載されています。

https://www.mlit.go.jp/common/001303818.pdf

航空法以外の法律について

小型無人機等飛行禁止法(警察庁)というものがあります。
対象施設(国の重要な施設など)の敷地、または区域およびその周囲の概ね300mの地域「対象施設周辺地域」の上空に置いては、小型無人機等の飛行を禁止されています。

警察庁

ドローンを飛ばす土地について

先の航空法と小型無人機等飛行禁止法でOKであればあとはどこで飛ばすか?です。その場所については、森や、田んぼ、川など公的な場所もしくは私有地など、所有・管理している人が様々です。

それについては、市区町村の条例で禁止されていたり、個人の所有者が嫌がったりと場所に応じてケースバイケースです。

基本的な考え方としては、土地の所有者が嫌がるならやめよう。モラルとマナーです。

最後に記載している弁護士事務所の方の書籍に詳しく記載されていますので、読んでみてください。

まとめ

最後にまとめ

以上で、ドローンを飛ばすための基本的な内容終わりです。
以下補足を書いていますが、ドローンを飛ばすための内容ではなく、ドローン業界として、情報が伝わりにくい理由を書いておきます。興味ない方は、飛ばして、最後の書籍とリンクの紹介だけご覧ください。

補足:ドローンの情報がなぜわかりにくいのか。

1、一部のドローンスクールが間違った情報を出している
ドローンスクールを開校するためのスクールに(たった数日)行って、ドローンスクールを開校している場合があります。
現場の経験は問わずに開校できますので、カリキュラムだけ伝言ゲーム的な感じで、都合よく省略され、講師が正しく、理解せずに教えてしまっている場合があります。
カリキュラムだけ教えるのと、国交省の航空法に関する原文を読んで理解してカリキュラムを教えるのでは、全然違います。
講師である以上原文を理解する必要があると思っていますが、現状そうではないことが起こっています。

また、受託のドローン業務を行わずスクール事業だけ行っている場合、生徒数=売上だけですので、さも資格などが必要なように誇大広告して生徒を募集しているのを目にします。
もちろん正しく理解していれば、間違ったこと書いているとわかるのですが、受講を考えている人は、ドローンについてわからないから受講しようとしているので、判断するために知識が必要という難しい状況になっています。

2、情報は、省略されがち
ドローンに関する質問を受けた際に、回答を一言で言い表しにくい場合が多いです。とはいえ、口頭だったりすると、省略して回答してしまう場合があると思います。

映像で例えると
質問「動画の設定って何で撮影したらいい?」
回答「慣れないうちはオートでいいよ」
これは、初心者の方にとってみれば最適な回答である場合もあります。ただ、詳しく知りたい人にとってみれば説明不足な部分もあります。教える方がめんどくさいから省略していうこともあるし、相手を詳しく知っているから省略している場合もあります。ドローンの情報のやり取りでもあると思います。

また、私自身メディアから取材(https://kumanichi.com/articles/1015549)をしてもらうこともあるのですが、文字数や時間の制限があるので、結構省略されたりします。それゆえに誤認されることもあります。

3、Webの記事は目的がある(こともある)
ドローンに限ったことでは無いですが、「〇〇を解説」というWebの検索結果は、アフィリエイトや、企業のPRや、それこそドローンスクールへの誘導だったりします。ある意味「ドローン難しい、免許って必要なんだ、スクールへ行かなければならないんだ」と思ってもらったら勝ちみたいなところがあります。

4、ドローンにおける必要というワードの広さ
ドローンを飛ばすには、「○○が必要」というワードをよく目にします。しかしその必要な理由を解説するには、長くなってしまいます。
必要というワードは、
・刑事罰があるから必要なのか
・安全対策として必要なのか
・民法上必要なのか
・ドローンの性質上必要なのか
・モラル、マナーとして必要なのか
と種類があります。全部が全部常に、というわけでなないので、根拠を知って対応する必要があります。

まとめ
誰かを介することによって、情報は、意図的に曲げられてたり、意図せず曲がっていたりします。
それを見分けるには、、、Webの記事やドローンやっている知り合いの口頭ではなく、書籍と国交省のホームページの原文をみて学ぶのが良いです。

書籍であれば、出版後修正できないかつ、編集の担当の方など一部のWebの情報よりも精査されてから出ていますし、一部のドローンスクールの情報の伝言ゲーム的なことも起こりません。
そして、それを元に国交省の原文をチェックしてみましょう。本記事では、都度国交省の資料を添付しています。

じゃあこの記事はなんやねんということになるのですが、書籍を読む前にイメージとして入れてから最後に参考する書籍を読んでいただければ、理解しやすいと思います。

そしてそれでも人から習いたいと思った場合に、ドローンスクールや国家資格などを検討していたければと思います。

参考書籍やリンク

▼DJI CAMP技能認定専用テキスト: 第5版
DJI技能認定研修の資料ですが、Amazonで販売されています。DJI公式なので、DJIドローンのアプリやシステムについてなどもしっかりと記載されています。不定期に内容がアップデートされており、本書は第5版です。


▼第2版 ドローン・ビジネスと法規制
航空法と小型無人機等飛行禁止法、以外の法律に関しては、ドローンが明記されていないので、解釈によっていろいろ判断や手続きが必要になる場面がありますが、ちゃんとした法律事務所が解説してくれています。2022年に内容のアップデートされており、国家ライセンス制度についても解説されてます。


▼国土交通省が、ペラ1で、航空法と小型無人機等飛行禁止法をまとめたPDF

https://www.mlit.go.jp/common/001303822.pdf

▼国交省のドローンに関するメインページ
不明点があったらここから探すと大体の情報があります。


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