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鉛筆の話をしよう ~ep.final 決行~

真庭市余野(よの)地域に住んでいます。
ここには、カバー写真のような大きな鉛筆の看板があります。
3月21日、地元を盛り上げたい中高生のグループ、「余野盛り上げ隊」を中心に、この看板の塗り直しを実行しました。

断片的にfacebookやtwitterで投稿していたため、どんな取組だったか伝わっていないと思いますが、
この一連の取組には、ど〜しても伝えたいバックグランドがあるので、
久々に書き綴ってみました。

なんだかんだとまとめていったら、
長くなったので、いくつかに分けました。
少しずつ読んでいただけると嬉しいです。

理屈じゃない。何がなんでも。

で、迎えた当日。
雨。。。
おい。。。orz

数日前から天気予報を細かくチェックしていたので、
もしかしたら、という不安はあったけど、まさかの的中。

何度も「中止」が脳裏をよぎった。
延期にするか、時間をずらすか、、、どうするか、、、

この決裁権は僕にしかないわけで、
僕が決めなければ、、、
と考えると、それはなかなかの重圧だった。

相談も含めて、IさんとLINEでやりとりしていた。
刻一刻と変わる天候を見ながら、時間を遅らせて実行しようか、
と決めかけた時、
「雨雲を見ると8時過ぎには落ち着きそうですけどね!」
という返事をもらった。

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これがその時のやりとり。
はっきり決断したようですぐに覆す優柔不断っぷり(泣

結局、午後から子どもたちを呼んで一緒に作業する、
午前中はその下準備、ということで決定した。


8時半、現地。

小雨がぱらつく中、どうやって進めていくか思案する。
大人メンバーはIさんの他、Tさんも来てくれた。
雨が止まない中、鉛筆上部にある木の枝を見ながら発した言葉は、

「鉛筆の上にブルーシートかけて屋根作ろうか」

だった。

雨という自然にされるがままの僕、
一方、その自然になんとしても抗おうとする地元の民。
この力強さに感動した。
何がなんでも、どんな方法でも、今日塗ってやろう!
という気概のようなものを感じた。
これが現場力ってやつなのだ。

6畳のブルーシートの四隅にビニール紐を通し、高車で鉛筆上部まで持ち上げる。
所々に張り巡らされた木の枝にひっかけながら、なんと高さ6メートルある鉛筆の上部に、見事に屋根が完成した。

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次は鉛筆に書かれている文字を復刻させるため、マスキング作業。

少しでも当日の作業時間を短縮させようと思って、事前に脚立を使って大方のマスキングを施していた。
(これは、なんというか命懸けの作業だった。)

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新しい文字を筆文字体でプリントアウトして、カットしておいて、
それをペタッと貼ってマスキングにすれば、もっと楽に綺麗になったはずだ。
ところが、「この同じ文字を復刻したい」ということで、あえて手間のかかる作業をすることにした。
文字を書いたのは、おじいちゃんの友達で、そのかたはもうすでに亡くなってしまっているからだ。

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午前中は本当にひどい天気だった。。。
服がどんどん雨を吸って、休憩をとる頃にはずっしり重たくなっていた。


午後の作業はスムーズに進んだ。

短く大雑把な事前打ち合わせにもかかわらず、
始まりの挨拶や鉛筆製作者の思いをインタビューしたり、
盛り上げ隊の子たちは役割をしっかりと遂行してくれた。

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大人たちも、僕らのやりたいことを伝えるとそのために必要なことを自主的に考えてくれて子どもたちを伴いながら実行してくれた。

子供達用の作業として、鉛筆の足元に芝桜を植えたいと伝えると、
足元の土の部分を耕してくれた。

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ここには笹の根っこがたくさん蔓延っていたので、ミニショベルを持ち出してくれて、
ごっそり根っこを掘り返し、しっかり土の状態にしてくれたのにはびっくりした。。。

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鉛筆の塗りは主に盛り上げ隊が行い、
足元の植栽は大人と子どもが行った。

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僕は、というと、

鉛筆がしっかり見えるように、周囲の薮や枯れ木、雑木を斬りまくっていった。
太めの木は手ノコで、笹はカマで。
バッさバッさと無心で斬りまくった。
時々、離れた場所から鉛筆を見て、その見栄えをチェックしながら、気になる箇所の伐採を繰り返していった。

午後から雨は降らなかった。


約2時間が経ち、足元の植栽が落ち着いたので、ひとまずは記念写真を撮って子供たちは解散することにした。

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最後も、盛り上げ隊にお任せ。
締めの挨拶の後、小分けにしたお菓子を参加してくれた子供達に配った。

ニコニコしながら、植栽で泥だらけになった手を差し出し、
お菓子の袋を受け取っていた子供たちの表情が印象的だった。

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実行に移してよかったなぁと心底思った。


15時半。


少し休憩をとって作業を再開。
ここからは盛り上げ隊メインの総仕上げになる。
マスキングを剥がして、そこに色を入れて文字を復元させる作業。

2本の鉛筆それぞれに分かれて、黙々と文字を復活させていった。

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僕は、、、
相変わらずカマをブンブン振り回していた。
笹がサクサク切れる快感に取り憑かれたわけではなく、
あくまでも鉛筆が映えるように、である。


途中、何人か地元の年配の方が様子を見に来た。

「綺麗にしょうるなぁ。ええなぁ」

みんな、そう感心してくださった。

その言葉を聞いて、盛り上げ隊は恥ずかしそうにしていたが、
表情からは嬉しさがのぞいていた。


ようやく最後の文字を書き終えて、
鉛筆上部の肌色部分も塗り終えたらあたりはすっかり薄暗くなっていた。
時刻は18時を過ぎていた。

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暗がりの中、スマホを向けて完成を撮る盛り上げ隊の姿は、
安堵感と達成感に満ちていて、勇敢に見えた。


この地域の未来はきっと明るい!

そう思った。

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