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富山県立山町で体験したサイクルジャーニーから学んだこと

ずいぶんと時間が経ってしまいましたが、10/5に参加してきた富山県立山町でのサイクルジャーニーについて記録しておきたいと思います。


1.参加のきっかけ

私は地元の篠山で仕掛けた夏の企画が上手くいかず凹んでおり、しばらく行動よりも学ぶことに重点を置いていました。

そんなとき、木下さんのメンバーシップ掲示板で富山でのサイクルジャーニーの参加者を募集しているのを知りました。

募集日程はちょうど本業で福井県へ出張予定だった日の翌日。出張翌日に有休を取れば福井県までの片道分の交通費が浮いてちょうどいいし、これも何かの縁と思って参加することにしました。
個人的にロードバイクが趣味であることと、篠山でのサイクルツーリズムの可能性をアイデアとして浮かべていたこともあり、一度体験して勉強しようという思いもありました。
ちなみに、この申し込みを一人ですることすら昔の私なら絶対にやっていないことです笑。長くサラリーマン生活を続けて同質化した集団の中にいると、そのヤバさに気付かない限り外の世界に目を向けることの意識はかなり低くなるのです。

2.サイクルジャーニーの自転車

使うのはe-MTBという電動マウンテンバイク。

e-MTBの電動マウンテンバイク

電動なのでどんな激坂でも楽々と登ることができます。そのため、普段からロードバイクで鍛えています!みたいな人でしか行けないような山の中まで気軽に自転車で行くことができます。
しかもマウンテンバイクですので道なき道を進むことができてかなりの冒険感が出ます。自転車は電動とはいえ自分で漕ぐ必要がありますが、これが逆に良い点です。
私は過去に10年ほどバイクに乗っていた時期があり、大型バイクも含めて4台乗り継ぐほどはまっていたのでバイクの良さも勿論分かるのですが、自転車はバイクと違い、移動中は静かですし景色や空気を味わいながらゆっくりと進むことができ、何より自力感を感じられるのがいい点です。

3.自転車は効率的な乗り物

話はそれますが、自転車という乗り物は凄く効率的な乗り物なのです。多くの方がその事実を知らないのが残念。もっと評価されていい乗り物です。エネルギー効率は徒歩の5倍。50kmを自転車で走ったときの疲労感は10kmの徒歩と同じということですが、ロードバイクだと体感的にはもっと良いです。

読みましたがなかなか科学していて面白いですよ。

4.サイクルジャーニーの主催者

佐藤さんという方で、東日本大震災を機に価値観に変化が出たことがきっかけで神戸市から富山県立山町に移住してきた方です。

主催者の佐藤さん

たった一人で小さな鎌一つで(!)半年かけて荒れていた登山道を整備したり、クラウドファンディングで資金を集めてe-MTBを購入しサイクルツアーを独自でやり始めたり、とにかくすごい行動力をお持ちです。
「人生は一度きりなのでやりたいことをやる」とか「サラリーマンをやっているだけでは絶対に味わうことができない達成感を得たい」とか、まさに岡本太郎の著書「自分の中に毒を持て」の一節に紹介されているような、自分がやりたいことを全力でやる生き方を体現されているような方だと思いました。

私と年齢が一つしか違わなかったりサラリーマンの経験があったり価値観が似ていたり、恐縮ながらとてもシンパシーを感じました。

5.走行ルート

車では行きたくないような山の中の細く少し荒れ気味の道路を電動パワーでぐいぐいと進みます。

ガイド中の様子

荒れているといってもきっちり舗装はされていますし、道幅も狭いですが自転車で通るには問題ありません。交通量もゼロなので文明社会から離れていくような感覚があり、かなりの冒険感が出ます。
走行距離は20kmほどでアップダウンも相当あり、本当に走りきれるのかと不安に思いますが全く問題ありません。

山頂で並ぶ自転車
こんな所まで自転車で行けるのがe-MTBの魅力
精進料理
遅めのランチは精進料理を堪能

ただ走るだけではなく、たまに観光的に歩きます。飽きないようによくルートが考えられているなと思いました。

渓谷での記念写真
滝行をしている二人
滝に打たれる筆者(左)

滝行をしました。10月の富山で小雨が降るなかの肌寒いコンディションでしたが、この機会ぐらいしかやるときはないだろうと意を決して体験。
冷たすぎて冗談抜きに心臓がぎゅーっとなり、心が洗われるどころか死ぬかと思いました笑

6.ガイドの大切さ

最近町中に増えてきたサイクルステーション。観光地にもあったりしますが、あれではただの移動手段にしかならず高い付加価値は望めません。しかしそこに地元愛あふれるガイドがつくとがらりと変わります。今回のツアーも一般的な料金と比べると割高ではありますが、外国人からは安いと言われるぐらい高い付加価値を実現されています。

山の頂上でポーズを取る三人

自転車を貸し出すだけではなく、きちんとガイドをする。ガイドが自ら郷土資料を読んで活用されていない観光資源を探し出して観光ルート化する。ネットにはないようなその土地独自のマニアックな話を聞くこともできます。

例えばルート上に石切場跡を見学するのですが、ガイドがなければ全く気付かず素通りする景色です。

洞窟の中にいる三人
入り口は素通りしそうだが入ると凄かった
洞窟の入り口に立つ二人
誰も知らないとはもったいない

立ち止まって説明を聞き、歴史に思いを馳せながら見学するとずいぶん見え方が変わります。ご当地妖怪の話もあるそうですが、山道でそんな話をすると雰囲気も出て面白いですよね。

山の上で法螺を吹いている人
寺に向かって法螺を吹く佐藤さん
その住職との逸話は落語のようで必聴です!笑

それと、ガイドの佐藤さんが誰よりも一番楽しそうなので参加者もそれに影響されてどんどん楽しくなってきます笑。これ、大切だと思います。やらされ感が出ていると参加者も敏感に感じ取って冷めてしまうものですよね。

7.自らやることの大切さ

途中に私有地に立ち入らせてもらったりあぜ道を通ったりしましたが、地権者への説明が必要だったそうでその辺の調整は相当大変だったんだろうなと思いました。
さらにはルート選定からガイドするネタ集め含めて全部自前。この手間をかけられるかどうかが大切なのだと思います。

コーヒーとクッキー
地元の喫茶店での休憩

佐藤さんは「オワコンをゾッコンに」ということを仰っていました。まさに活用されていない観光資源を自ら発掘し、電動マウンテンバイクを手段として用いて地元愛あふれるガイドをすることで、何も無かった山道の自転車走行を高付加価値なサイクルジャーニーに変えて提供されています。他に誰もやっていないので完全に差別化されています。

8.学んだことをパクって活かす!

最高に楽しいサイクルジャーニーで、佐藤さんから多くの刺激と学びも得ることができました。
今回の体験は、普遍的な要素を学べば日本の田舎ならどこでも同じ事ができるのではないかという可能性を感じました。
佐藤さんも「どんどんパクって下さい」と仰っておられ、実際に参加された方で地元で同じ事を実践されている方もいらっしゃるそうです。
所謂TTPですね、徹底的にパクるという笑。
パクるにも全く同じモノをそのまま持ってくるのではなく、普遍的な要素を抽出する必要があります。今回では

・非日常空間に自力で楽に行くことで冒険感を出す
・ガイドをして景色に付加価値をつける
・ガイドのネタやルートも自ら考えることで、
 差別化された唯一無二の体験にする

といったところですかね。ここをTTPして自分の地元の取り組みに活かしたい。単純に感想だけで終わらせることないよう、自分自身の行動にも落とし込んでいきたいと思います。

なお、今回の体験参加の声かけをしてくれた対馬さんのnoteの記事もぜひ合わせてどうぞ!

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