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【三題噺 お題】 境界 調査 滅びの

 ある日の某新聞アプリにこんな記事が載っていた。「コンピューターの進化と人類滅びの境界についての調査結果 ◯✕大学教授」という、私には興味深いタイトルの記事を見つけた。「滅びの境界」とは、一体何を指しているのだろうかととても気になった。そんな目に見えない境界とやらをどうやって調査したというのかも不思議ではあったが、大学の教授というのは、面白いところに目をつけるものだなぁ、と、改めて関心させられた。
 面白そうなので読み進めてゆくと、「人類滅びの境界」とは読書量が減っていると言われる最近の世の中の風潮を指しているようであった。教授によれば、長い目で見るとコンピューターの進化と、読書量が減ること、精神の退化の関連性がとても深いとのことであった。読書量が減るということは、間接的に感覚の鈍麻も引き起こし、その国の文化の消失にまで繋がっていくとの内容で締めくくられていた。
 大げさなタイトルだなぁと最初のうちは笑って読み進めていたが、読み終える頃には、納得する点が多々あって焦りすらおぼえたのだった。
 それに、手にしているこのデバイスも、当の開発者は自身の子供にはつかわせなかったという話はあまりにも有名だった。
 デバイスの開発者の意図がなんとなくわかった気がした私は、手にしていたデバイスを投げ捨てたくなったその時、SNSアプリから音がした。SNSアプリを見てみると、隣で寝ている妻からだった。「眩しい。早く寝ろ!」
この関係性も精神の退化なのかと思いながら、本当にデバイスを投げ捨てたくなった。

おやすみなさい……。


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