見出し画像

大企業の社長のオーラは、まるでラオウだ。サラリーマン社長のすごみ。秘書は思ってたのと違う。

1. 秘書室はTVのイメージとちょっと違う

手に汗握りながら秘書室のある取締役フロアに近づくと、天井にカメラが2台ある。フロアの入り口の人間の動きが逐一チェックされている。おそろしい。

電話をとり、「稲盛です」というとウィーンと重々しい自動ドアが開く。

秘書室は、取締役フロアの真ん中にある。取締役フロアにいる取締役は6人だ。人数が100人ほど入るフロアに、たった6人だ。その6人のために秘書室に10人が在籍する。

「おはようございます」というと、みなが立ち上がり「おはようございます」と返してくれる。みんな身なりがきれいだ。立ち方はキャビンアテンダント同じだ。

女性8名、男性2名。女性秘書はTVで見るような若く美しいイメージであったが若干違う。そのイメージ通りの会社もあるだろうが、老舗企業なのか趣が違う。

確かに美人である。ただ、みなさん40代。若いとは言えない。美人ではある。ただイメージとは少し違う。ぼくは30歳なので、その点は少し残念ではある。

男性は山田部長、木下課長の管理職2名だ。

山田部長は頭の毛が無く、バイきんぐ・小峠のイメージだ。木下課長はしゃくれてはいないが下の歯が出っ歯である。眼鏡は宮川大輔と同じものだ。

秘書室一同に挨拶をかわした。それから、山田部長から「それでは社長にご挨拶にいきましょう」となり、部屋を出る。

2. 七田社長と対面。すごい威圧感

秘書室から社長の執務室まではもう一つ自動ドアがある。見たことにない大きな自動ドアだ。特注だろう。セキュリティカードをかざすと、その大きな自動ドアが開く。先には、大きなスペースが広がっている。

100人程度が入るスペースに取締役6人がいる。スペースの使い方が贅沢だ。赤い絨毯をひかれた廊下があり、フリースペースはフットサルができるほどの広さがある。そして、経営書がずらりと並んでいる本棚がある。ウォーターサーバーには、バンホーテンのココア、リプトンがおいてある。見たことのないツボ、トロフィー、高そうな絵画も飾られている。情報量が多いので、消化しきれない。

角の部屋に七田社長がいる。いち平社員が七田社長に会うことは無い。社内報で見る程度だ。さすがに緊張する。

山田部長は、変に先入観を持たせるのを避けるために事前情報はくれない。「すごい人だ」とは言っていた。

山田部長がドアをノックする。すると「どーぞ」と声がする。

「失礼します」と入っていくと、ガラス張りの部屋で、都庁がよく見える。40階に位置するので、富士山もよく見える。

PCに向かって七田社長がいる。むくっと立ち上がる。

ノソノソと近づいてくる。すごい威圧感だ。180cm、体重80kgの大きな体格だ。65歳にしては大きい。クマのようだ。

「きみが稲盛さんか、よろしく」と手を出してくる。ぼくも手を出す。グッと握られる。強い。少し痛い。手はごつごつしている。

「きみは、サンボやってるらしいね。ボディガードよろしくね。ははは」とレスリングのポーズをとる。目は笑っていない。ポンポンと肩をたたかれる。押しつぶされそうだ。

忙しいためか、簡単に挨拶をしただけで、執務席に戻った。そして、「もう、かえってよし」という目線だけを送ってきたので、そさくさと退散した。

初対面でこんな印象を持つ事はない。圧倒的な強さを感じる。覇気がすごい。過去、サンボで有名な選手とスパーリングをしたことがある。ぼくは165㎝、相手は185㎝の体格差があった。対面したときに、圧倒された。その感覚に少し似ているが、それより重たい。

この人、ラオウだ。そう思った。

3. 七田社長のすごさを語る

山田部長が「七田社長、どうだった?」と聞いてくる。ぼくは素直に「ラオウでした」という。「ラオウ・・・・、なにそれ?」となる。ラオウを知らない人に、その印象を説明できないので「威圧感がすごかったです」と言い直す。

山田部長はこう言う。

「七田社長は私があった中で最も優秀な人だ。正直おどろくほど能力が高い。頭の切れ、プレゼン力、コミュニケーション力は、ほかの経営者と比較しても高い。なかなかだ。」

「また、酒豪だ。これから稲盛さんは、頻繁に一緒にいることになるが、夜は遅い。1時、2時は当たり前だ。行きつけの赤坂のクラブがある。週に3回は行く。残念ながら高級クラブではない。初老の韓国人ママが経営しているクラブだ。そのクラブのメンバーも40代以上だ。なぜ、ここにいくか不明だが、七田社長のお気に入りだ。」

「いずれにせよ。七田社長といることで経営の現場を知って、能力を盗むことができれば、成長する機会になるよ。無茶ぶりも多いが頑張ってくれ」

何かの本で、「サラリーマン社長は、政治や運でその地位を得るので能力は高くない」と書いてあった。ぼくは、その内容を鵜呑みにしていた。そのため七田社長も、部長・課長などと大差がないと考えていたが、そうでは無いようだ。2万人の会社でNo1のポジションだ。運もあるかも知れないが、生半可ではない、ということだろう。

秘書室に戻ると、山田部長が再びやってくる。

「じゃ、さっそく、明日、ICM主催の経営フォーラムがあって、そこに社長が登壇するから、その資料作成と準備よろしく!」

さっそくか。手に汗握る。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?