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【詩】パーツボックス

 新品のパーツボックス。
 傷の無いパーツボックス。
 ベルトコンベアで流れる、
 オレンジ色のパーツボックス。

 僕はそこにパーツを入れて、
 遥か遠くに流していく。
 ネジ、
 ワッシャー、
 ボルト、
 ケーブル、
 板金、
 歯車
 ワイヤー、
 パイプ、
 センサー、
 コントローラ、
 そして基盤。

 これ等で何を作るのか?
 図面を持たない僕は想う。

 それはロボットか?
 小さなお助けロボットでも作るのか?
 それとも武器か?
 この世界を壊す強力な武器か?

 無機質な愛か、
 強固なる暴力か。
 一従業員である僕は、
 ただ在り来りな妄想をするだけだった。

 新品のパーツボックス。
 傷の無いパーツボックス。
 何も知らない僕は、
 己の意思だけは入れなかった。

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