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はじめての代表質問(その2)

多文化共生の社会を作るために

多文化共生は、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」(総務省:多文化共生の推進に関する研究会報告書より)です。新宿区は外国人人口が約4万人。多文化共生の政策は欠かせません。

質問をした時は、入管法改正について国の議論が進んでいたところでした。どの外国人に対して、在留資格を与えるかどうかは国の政策によって決まることになります。しかし、地域での取り組みは日々の暮らしのことにかかわることです。
例えば、日本に長く滞在し、日本語もできるけれども就労できない、学校に通うことができない、食べる物も困ってしまう。そうした人たちに、手を差し伸べることが難しいのが現状です。国が対策をすべき問題、となってしまうからです。
例えば、マイスモールランドという映画では、クルド人の女子高生が滞在許可がなく大学に通う夢も難しい、父親も入管に収容されてしまい苦しい日々を過ごすところが描かれます。
新宿区の取り組みとしては、文化交流事業のほか、まずは来日間もない人たちに日本語を教えること、日々の生活について慣れてもらうための手続きの説明なども行われます。個人的には、来日間もない人たちだけでなく、様々なサポートを必要とする人たちへ、支援する機会が増やせないのかともどかしい思いがありますが、今回の代表質問には入れることができませんでした。

いま、140か国もの人たちが新宿に住んでいます。人数が多い国の人たちは、コミュニティを作っているところもあります。また、地域住民との交流も増えているところもあるそうです。
しかしまだまだ、つながることが難しい人たちも多くいます。交流を持つことで、日々のトラブルをうまく解決することができることや、新しい文化にふれるよい機会になります。
勉強会や説明会(例えば交通ルールや、ごみ出しのことなど)を開いてほしい、区の担当者が来ることでしっかり話を聞く人たちもいるという声があり、そうした機会の確保について質問をしました。
区長の答弁は以下の通りです。

「つながりのない外国人コミュニティについては、今後、連絡会へ参加していただけるよう、区ホームページ等で連絡会を周知するとともに、今年度実施する多文化共生実態調査において、外国人コミュニティに関する調査項目を設けることで把握に努めていきます。
また、日本での生活に関する説明会・勉強会については、区職員が地域に伺って説明を行う「ふれあいトーク宅配便」をはじめ、ご要望に応じて担当課へつなぎ、対応しているところです。
今後も、外国人コミュニティに情報が行き届くよう、取り組んでまいります。」
この、多文化共生実態調査、というのは、総務区民委員会で質問もしました。地域ごとに外国人人口も異なるので偏りが出ないようにという指摘をしたところ、無作為抽出で行ってきたがこれまで偏りが見られなかったとのこと。今回もその方法で行うそうです。

また、今回は入管法違反の事件についても質問しました。
子ども家庭部保育課からの注意喚起として、保護者宛てにメールが出されたのですが、「4月28日、午前11時50分ころ、新宿区四谷4丁目付近において、出入国管理及び難民認定法違反被疑者が逃走しているとの情報が入りました。〈中略〉保護者の皆様方におかれましては、送迎等の際には児童から手と目を離さぬようにし、降園後の行動についても十分注意をしてください。ご理解とご協力をお願いします。」
というものでした。

声かけ事案と言われるように、公園で子どもが車に乗らないかと声をかけられる事件があったりしますが、そういった情報もメールで流れることになります。
ここで問題提起したのは、偏見・差別のことです。入管法違反の場合はその人の滞在許可の問題ですので、他の刑法犯とは異なり、他者に危害を加えるおそれは考えられません。区民の方から、外国籍の子ども、親も新宿区に多く暮らしているので、こういったメール(外国人が逃走していて、児童へ危害を加えるおそれがあると読み取ることができる)が流れることによって、差別を助長するのではというご意見を頂戴しました。
また、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)というものもあります。差別とまで言い難いとしても、外国人は何かするというような偏見を作っていくことも考えられます。
区長の答弁は、「国籍に関わらず、こうした地域住民の生命・身体に危害が加えられる可能性がある事案について情報提供を行う際には、区民の安全の確保を第一に、警察と連携を図りながら、必要な情報を配信するなどしております。
今後も、偏見と捉えられないように十分に配慮しつつ、可及的速やかに情報提供を行い、区民の安全と平穏を確保してまいります。」というものでした。

なお、今回の情報共有の流れは以下の通りです。
①名古屋出入国管理局→②新宿区
③四谷警察署(情報発信の要請)→④新宿区→⑤しんじゅく安全・安心情報ネット、教育委員会
⑥教育委員会→⑦各小・中学校、幼稚園と、保育園、子ども園等を所管する子ども家庭部
⑧学校等→保護者

今回の代表質問は、3つのテーマで質問をしました。
それぞれ、新たな取り組みや抜本的な解決は難しいものでした。しかし、問題提起をして、区民のみなさんがこうした点に関心を持っているということを伝え、さらに改善の要望を伝えることは大事なことだと思っています。
みなさんからの声をまた、反映させていきたいと思います。

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