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インドでオンラインコースを受講してみた✍

インドで暮らし始めて3か月程度の時、インドでTESOLという、海外で英語を教えるための資格を得る140時間のオンラインコースに入学しました。
※学位ではないのであくまでもCertificate。

そこで学んだこと、感じたことがたくさんあったので書き留めておきたいと思います。ただの感想のようになってしまっていますが、また何か思い出したら追記していこうと思います。


概要


TESOLはTeaching English to Speakers of Other Languageの略で、外国で英語を教える際の英語教授法の1つです。カリキュラムは以下の通り。

1週間目:様々な教授法、理論、文法(followed byエッセイ)
2週間目:音声学、文法、クラスマネジメント、異文化理解、レッスンプランの作り方、音声学・文法の試験
3週間目:対象者・目的別のレッスンプランの実施(試験)

学んだ理論は大学時代に英語教授法や言語学等で学んだものも多く、懐かしい気持ちでした。ただ、卒業間近まで単位を取れなかった音声学を教えるための勉強をするとは思っていませんでした…
先生は厳しく(愛のある素敵な先生ですが最初はキッツ!と思っていました)毎日何かのエッセイ課題やレッスンの練習で追われていたので、学生時代に戻ったようで、自分の小さな容量を大分超えた(笑)時間を過ごすことができました(何回頭から火を吹いたかわかりません)。

今までどの言語を学習するにもゴリゴリに文法理解+文章の徹底暗記による音・リズムの習得+単語暗記という流れだったので、小さい子供向け等の教授法は新しいものも多く、色々な教授法を知って実践できるようにしておくことは大切だなと改めて。ここでは英語教授法として学んだこともありましたが、それよりも「インド国内各地の生徒と学ぶこと」において気付きや学びがとても大きかったので、忘れないように残しておこうと思います。

このコースではビジュアルな学習材料をたくさん使うので、家にプリンターがない私は近くのローカル文房具屋さんでクレヨン等を買って(値切ろうとして失敗)恐らく人生で一番イラストを描きました。(笑)

分厚いテキスト。インドの郵便は配達業者によっては紛失されることが多いので、これが無事に届くかとても不安でしたが届いて本当に良かったです…

インドの言語多様性

インドでは方言含め600言語以上の言語が話されており、公用語として認定されているのは22言語ほど。地域によっては文字の形も発音も全く異なり、同じインド人でもコミュニケーションが取れない、というのが沢山起きる国です。
今回は先生が西ベンガル州出身で、生徒がマハラシュトラ州、タミルナドゥ州、パンジャブ州、そしてハリヤーナ州の私という構成でした。

言語学習の一環としてみんなでヒンディー語の文章を作って暗記してみようというものがあり、私はヒンディー語が分からないため困惑しましたが、実は地域によってはヒンディー語は全く話さない人も多いので、「ヒンディー語わかんないよ!」とパニックになる生徒が半数でした。(このパニックも言語学習者の気持ちを理解するためには必要だったのでそれも目的に組み込まれていたことに後々気付きました。)

同じ英語でも地方によってはリズムやイントネーションが異なっていて、チームで作業する際には何度も聞き返したり、先生にも何回も確認しなければ内容が正確に分からない事態がかなり発生しました。この日本人何回聞き返すんや?と思われていたことでしょう…(私は仕事柄使う単語もアメリカ寄りですが、インドの単語チョイスはイギリス英語が多く、恥ずかしながら必死に調べながら受講していました。)
インドは想像を絶する格差社会で、地域間格差も大きい国です。それが直接的な原因かは知りませんが、生徒同士がお互いの発音を「あの子の発音変なの~~!」とか「これだから南のインド人は…」と揶揄し合う現場にもいくつか遭遇しました。(とにかく南と北は敵対することが多いのだな、というのも新たな発見でした。双方の愚痴を聞いていたので仲良くしてよ‥と思っていましたが。)この国の言語の多様性に改めて圧倒された3週間でした。

インド人女性として生きることのハードさ

今回は全員がインド人女性で、教材を通して自分の生活等について話す場面がいくつかありました。そこで(地域、個別差は大きくあるので一概には言えませんが)やはりインド人女性として生きることは相当にハードなのだと思い知らされました。
基本的に結婚したら夫の家庭に入り夫と夫の家族のために尽くす、というのがデフォルト(もちろん例外はあります)のため、こうやって勉強できることは貴重なことであり、女性の地位をこの国で上げていかないといけないよね、と先生が何度も言っていました。実際に生徒の中でも子育てをしながら受講されている方は、家事育児夫の世話が全て自分(中流階級以上はメイドがいる)なので、課題をこなせないほど毎日疲れていると言う方もおられました。加えて期間中にヒンドゥー教のお祭りがいくつもあり、お母さんたちはそのためにスペシャルご飯を用意し準備する必要があるので、本当に忙しそうでした。
知り合いのインド人男性からは「インドはジェンダー平等の国になっていくから日本より進んでいるよ!」と言われてきましたが、(決して人のことは言えませんが)全員がこの国の女性の人生はハードなのだと口を揃えるということ、ヒンディー教の影響も強くあり女性の地位向上には時間がかかるのだな…と感じざるを得ませんでした。(そしてちなみにインドのジェンダー指数は127位、日本は125位
https://jp.weforum.org/press/2023/06/jenda-gyappu-repo-to-2023-surujenda-made131/

競争社会のインド

授業の中で授業についていけず色々連絡をくれる生徒さんがいました。幸いなことに私は言語学等の多少の知識が少しあったために彼女と一緒に色々取り組みながら進めていきましたが、彼女が「Can you help me?」と他の生徒さんに聞いた際に「I don't help you.」と返されたと聞きなんてストレートなの!と驚きました。
また、はじめクラスの雰囲気があたたかいものでは全くなく、今までに感じたことのない緊張感に包まれていたため、それはなぜ?と生徒の1人に聞いたところ、ここは競争の国なんだよ、と言われて今までどれだけぬくぬく生きてきたのだろう…と思ったのでした。
競争社会の裏側で、メンタルヘルスの問題も「消されて」いるという話がありました。生徒の1人が今まで抱えていたメンタルへルスの問題をカミングアウトすると実は私も‥という人が続き、成長を続ける国の闇を少し見た気がしました。男性も男性で、成功しなければいけないプレッシャーは半端なものではなく、自殺者も増えている国インド‥
競争社会だからこそ、皆のやる気は凄まじく、1日1日の授業を全力で消化し、練習等も人の数倍やって完璧にしようという意識が強かったです。

私は3名の生徒さんと仲良くさせてもらったのですが、3週間目は毎日夜遅くまで一緒にレッスンの練習をしていました。遅くなって私がもう眠いからそろそろ寝るよ、というと「お金を払っているのだからベストを出さなくちゃだめ!あなたはまだできるはず!」といつもそれはそれは修造ばりに強く鼓舞してくれました。
そのハードワークさには目を見張るものがあり、怠けがちな私にとっては見習うところしかありません…これから長い付き合いになるであろう仲間と出会えたことは、大きな宝でした。

安定したインフラで学べるありがたさ

私の住む地域は停電が1日に1度(数分で回復しますが)は必ず起き、天候が悪い時には回数が多くなったりします。ここは首都に近いのでまだ電気は安定している方ですが、他の地域の生徒さんは接続が途切れクラスを退室することが頻繁にありました。雨が降ると接続が安定しないからと隣の家や友達の家から授業を受けたり、退室したらその分の説明を先生に求めたりが毎日起きる日々でした。
日本でオンラインの研修等受けていましたが、今まで停電を恐れたことはありませんでした。3週間目はすべて試験だったため、自分の時に停電になったらどうしよう…といくつかの媒体と通信機器で入室したりしていました。
改めて何の心配もなくzoomでクラスを受けられるのは当たり前ではないのだ、と痛感しました…

レッスン用に対象に描いていたイラストの一部。

感想をつらつら書いていたらとっても長くなってしまいました…
インドに来てインド人女性に話を聞くことも、ともに学び合うこともとても得難い経験だったので、頭から火を吹いていた私を鼓舞してくれた夫とタフな仲間たちに感謝です…
また思い出したら色々追記していこうと思います。
長文お読みいただき、ありがとうございました!







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