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稲とアガベの“アガベ”として、支え続ける──岡住郁美さん

「稲とアガベ」という一風変わった社名。これは、岡住修兵代表の妻である郁美(いくみ)さんがテキーラ好きであったことから、結婚時に、二人が好きなお酒である日本酒とテキーラの原料を「稲とアガベ」として家紋にしたことが由来となっています。

そんな郁美さんが、最近、稲とアガベの一員として仲間入り。夫である岡住さんの夢、そして「アガベ」としての郁美さん自身の目標について、お話を聞きました。

なぜ、“テキーラ姉さん”と呼ばれるように?

──稲とアガベではいつごろから働いていてるんですか?

郁美:マヨネーズ製造のパートタイムとして、2023年4月の食品加工場の準備期間から入っています。妻として会社の立ち上げ時から見ていますが、楽しそうだったので、私も稲とアガベの輪の中に入りたいとずっと思っていたんです。

——郁美さんは、秋田のご出身なんですよね。

郁美:はい、秋田市の出身です。独身のころに東京で働いたこともありましたが、その後戻って、結婚してからもずっと秋田に住んでいます。

——東京にいらっしゃったこともあったんですね。

郁美:いつ帰るかも仕事も決めずに、思いつきで行きました。1カ月友達のところに居候して、部屋を借りるためにひとまずアルバイトをしつつ、その間に仕事を探せばいいやという感じで。無職で転々としていた時期もあるし、派遣社員として働いて、飽きては次のところでまた働いて……と、ふらふらと自由に生きてました。

──テキーラと出会ったのも東京にいたころなんでしょうか?

郁美:そうですね。当時からお酒全般が好きでしたが、特にこれというものがありませんでした。せっかくなので秋田ではできないことをしようと調べていると、テキーラ・マエストロという資格を見つけて、面白そうだからと取得しました。その講座で出てきた「ドンフリオ」というテキーラがものすごく美味しくて、そこから一気にハマってしまったんです。

──そして、“テキーラ姉さん”と呼ばれるようになったと(笑)

郁美:秋田に帰ってきて、お店やお家でテキーラを飲んでるうちに(岡住)修兵さんと知り合い、一緒に飲みに行くようになりました。飲み会に呼ばれたときは、頼まれてもいないのにいつもテキーラを持っていったんです。そしたらいつの間にか修兵さんから「テキーラ姉さん」と呼ばれるようになって、彼の友達に一気に広まってしまいました。

──持参していたんですか!(笑)テキーラの伝道師だったんですね。

「稲とアガベ」は結婚祝いで生まれた

岡住修兵・郁美夫妻の結婚式

──岡住さんとの出会いについてお聞きしてもいいですか?

郁美:修兵さんがまだ新政酒造で働いていた時ですね。修兵さんがイベントのスタッフ、私がお客さんという立場で出会いました。2週間のうちに3回も会ったので、「あれ?また会いましたね」「この前もいましたよね」と話すようになって、「この後飲みに行きませんか?」と私から誘いました。その日は向こうが打ち上げに参加しなければならなかったので、連絡先だけ交換して、後日飲みに行きました。

──お酒が二人を引き寄せたんですね。社名の「稲とアガベ」は、稲が日本酒の原料、アガベがテキーラの原料ということから、岡住さんと郁美さんのことを指しています。この社名もお二人で考えたんでしょうか?

郁美:「稲とアガベ」という言葉ができたのは起業よりもだいぶ前ですね。結婚パーティーの時、デザイナーさんからお祝いとして、「稲とアガベ」という言葉と家紋にできるようなマークを作ってもらったんです。

──それが、そのまま社名とロゴに?

郁美:そうなんです。他の社名も考えましたが、「稲とアガベ」より良いものが見つからなくて、そのまま採用することになりました。

──郁美さんとしては、ご自身が社名の一部になっていることに対してどう思っていますか?

郁美:アガベが妻に由来していると説明してくれるのは、純粋に嬉しいです。

まっすぐに突き進む修兵さんを支える

息子の縫くんと3人で

──稲とアガベ誕生前から今まで、いちばん近くで見てきた郁美さん。岡住さんのことをどう思っていますか?

郁美:修兵さんの、「これをやって生きる」と決めたらまっすぐブレずに取り組む姿勢を尊敬しています。自分にはとてもできないことだなと。だから私は、自分が何かするよりも、修兵さんを支える方が合っているんだと思いますね。

修兵さんが新政酒造を辞めて、私も結婚を機に退職したころ、夫婦そろって無職になった時期がありました。新政チームでのお酒造りも楽しいし、自分で酒蔵を作りたいしと、修兵さんが悩んでいたのは聞いていたので、「酒蔵を作るきっかけになって良かったじゃない」と伝えました。私自身がそうだったように、無職でもなんとかなるよと。支えるとは少し違うかもしれませんが、修兵さんのやりたいことを見守りたいなとは常に思い続けています。

──郁美さんがいなければ、稲とアガベはできなかったのではないかと思わせるエピソードです。ところで、普段の岡住さんって、お仕事の時と違うんですか?

郁美:オンオフがはっきりしていると思いますね。仕事の時は常に頭の中をフル回転させて、同時に複数のことを考えているように見えます。オフの時は、切り替えてすぐ寝ています。

──メディアなどでは、オンの岡住さんしか見ていないので少し想像しづらいですね。

郁美:もともと、仕事をせずにずっと漫画を読んでいたいタイプで、家に帰ったら、基本は床と同化しています(笑)

アガベとして会社に貢献していきたい

──これから稲とアガベで挑戦したいことはありますか?

郁美:化粧品メーカーで働いていたこともあるくらい化粧品が好きなので、酒粕などを利用した石鹸のように、醸造所ならではの商品を作れたらいいなとは思っています。

──稲とアガべの美容部門が新たにできそうなお話です。岡住さんにもそういう話をすることはありますか?

郁美:あります。多分、本気でやりたいと言えばさせてくれると思います。まだ働きはじめたばかりなので、まずはひと通り経験してみてからですかね。

──楽しみです。あとは、郁美さんらしくテキーラ寄りのお酒をプロデュースするのも面白そうですね。

郁美:そうですね。クラフトサケのように、テキーラのようなもの、いわゆるアガベスピリッツを作ってみたいですね。そうなったら、アガベを育てるところからやってみたいです。

──もうすぐ蒸溜所もできますし、テキーラ姉さんとしての可能性が広がりますね!

【岡住代表コメント】
いつもありがとう!可愛い妻に支えられて今があります。これからもどちらかが死ぬまでは何卒よろしくお願いいたします。

この記事の担当ライター

たろけん
沼にハマりすぎて、蔵人になってしまった日本酒好き。近年はクラフトサケを応援しており、特に稲とアガベは、土田酒造からプロトタイプが出ていたころからのファン。このメディアを通じて、表向きは稲とアガベの魅力を伝えつつ、裏テーマとしてはまだ訪れたことがない男鹿を疑似体験したいと思っている。
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