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夜行列車 D461 ブカレスト→イスタンブール ボスフォラス急行

夜行列車・ボスフォラス急行(Bosphorus Express/Bosfor)です。ブルガリアを貫通し、ブカレストからイスタンブール・ハルカル駅(Halkalı)まで走り抜けます。こちらはルーマニアからの車両には個室がなく、Liegewagenの4人コンパートメントのみの運行(途中で合流するソフィアから来る車両には個室がある)。なので、4人分のチケットを買い、一人で1コンパートメント占領しました。2023年8月31日10時50分ブカレスト北駅(Bucuresti Nord)発、翌日6時34分にイスタンブール・ハルカル駅着。走行時間19時間44分。4人分のLiegewagenのチケットで1091.51RON(およそ220ユーロ)。ルーマニア・ブルガリア・トルコとそれぞれで出入国検査があります。


【予約】

チケット自体はトルコ鉄道とルーマニア鉄道の両方から買うことができるようです。しかし、トルコ鉄道のサイトでは今のところ国際列車は予約することができないようです。現地の窓口で買うか、エージェントを通さなければなりません。ルーマニア鉄道はネットでの予約ができましたが、発券と受け取りはルーマニア国内の駅でしかできません。それか郵送。ということは、イスタンブール発の場合はルーマニア鉄道で買っても(放浪中とかで郵送受け取りができないと)どうしようもないことになります(それか予約した列車の前にルーマニアに寄らなければなりません)。居住地のドイツまで郵送なんてちゃんと着くか怖いし事前に予約しておきたかったのでブカレスト発にし、滞在地のブラショフで受け取りにしました。ルーマニア鉄道のサイトで予約すると予約番号の乗ったメールが来ますので、それで窓口に行って受取です。
前述のとおり、この路線はルーマニアからの車両には個室がありません。一人で楽しみたいので、ルーマニア鉄道に4人分のチケットを買って4人コンパートメントを独り占めしていいかきくと、ルーマニア側としては問題ないけれど車両を管理をするトルコ鉄道にもきけと。トルコ鉄道のカスタマーサービス(サイトを見るとなんとWhatsAppで連絡してねと。イスタンブールEパスもそうだし、トルコはWhatsAppでカスタマーサポートが多いんでしょうか)に問い合わせるとトルコ側としてもOKと。

【発券】

ルーマニアでのメインの滞在地ブラショフに着いてすぐに窓口へ。開いている窓口に直行しチケットの受け取りをしたいと伝える。がしかし、ここじゃできないNo Noとのみ言われる。機械で発券するのかと思い券売機をいじるも発券のメニューはなし。どうしよう、受け取り出来なかったら……。そんな恐怖が頭をよぎった瞬間、隣の券売機の整備をしていた駅員さんが声をかけてくれました。窓口同様あまり英語は通じませんでしたが、受け取りコードを見せると反対側の窓口を差し、国際列車はあっちというようなことを言いました。あ、国際列車専用の窓口があるのか。よく見るとinternational とか書いてありました。
ここで本当に発券できるのかと恐る恐る予約画面の印刷を出す。なんとすんなり発券。

これはCouchetteの予約票。切符は後ろの2枚目。

問題は、4つのベッドが2つ以上のコンパートメントに振り分けられていると意味がないので確認。こっちの窓口では英語が通じ、きちんと4ベッド一緒だとのこと。これで一安心。

【無補給で20時間】

ブカレストからイスタンブールまでマジで20時間です。ホテル1泊より滞在時間が長いです。もはや夜行列車という表現が合わないのではないか(寝台列車のほうが適切?)。夜行列車には食堂車はなくともサンドイッチやスナック、ドリンクが買える車内販売のキオスクがあることが多いのですが、ボスフォラス急行は一切なし(公式には)。シャワーもなし。20時間も走るのに無補給(公式には)。なぜ「公式には」と書いてあるのか、それは後ほど説明します。途中ブルガリアのОряховицаで外に散歩しに行けるくらい長時間停車するととある記事で見たけれど、ちょっとダイヤ変わってるっぽいし遅延が出れば停車が短くなるかもと考えると不確定。停車駅ホームに売り子さんがいるという情報もなし。
ということで、ドイツ出発前からスーツケースにボスフォラス急行用の食料を詰めていきました。チンとかしなくても食べれる缶詰のスパゲッティとスープです。ブカレスト駅でパンとか買い込んでもいいんですが、暑いと食中毒が心配なので……。

【いざ、乗車】

ブカレスト駅のスーパーで水を買い込み、発着案内の掲示板の前で待機。ブカレスト駅はパン屋、キオスク、マクドナルド、KFC、スーパーと何でもありました。
治安面で評判がよくありませんが、明るい時間帯はいたって普通の駅でした。正面出口にはタクシーがいて声掛けしてきますが、無視すれば平気です。

電車番号461、10時50分ルセ行き。ルセは経由地。

夜行あるある、出発国が担当する最後の中途駅が行先に表示。4番ホームに行くと、事前情報通りトルコ鉄道の車両のイスタンブール行きがいました。

三日月と星に翼のトルコ鉄道のシンボル、好きです。

ホームの車掌さんに確認すると、これがイスタンブール行きであっているとのこと。どうやらルーマニア鉄道の車掌さんのようで、乗ったらトルコ鉄道の車掌さんにチケット見せてねと。乗車すると別の車掌さんが。切符と予約票を見せるとWhere are you fromの質問。Germanyに住んでるがJapanと答えると満面の笑みに。こぶしを突き合わせて挨拶。その後来たGermanyさんには塩対応。こういう場面からトルコは親日ツイートが生まれるのか、と。

座席モードのコンパートメント内。窓にはay yıldız(三日月と星)。
中からはロック可能
エアコン

エアコンらしきものを発見。しかし冷たい風が吹いている感じはなし。もしかして暖房オンリーなのか?窓を開ければ涼しいしまあいっかと思っていると、ブルガリア国境を越えたところで車掌さん登場からのエアコンオン。電化区間に入ったとかそういう関係なのかな。

【公式には無補給】

乗車・発車後割とすぐ、車掌さんがおやつや水、ジュースが入ったでっかいバッグを持ちながら車内販売に来ました。あれ、無補給という事前情報だけど変わったのかな?トルコリラはあまり持っていなかったので、ユーロやルーマイアレウ、カードで払えるのかきく。大丈夫大丈夫との反応。ウェルカムサービスなのかな。念のため値段を聞くとコーヒー3つで10ユーロ。ドイツ鉄道並みの値段設定だな。しかしコーヒーは嬉しい!ということで注文。コーヒーを飲むワシをみた乗客が「え、コーヒー?!英語話せる?どこで手に入れたんだ!そんなものこの列車にあるのか!教えてくれ!!」「車掌さんだよー」なぜかおやつをプレゼントしてくれる車掌さん。
結論から言いますと、車掌さんが非公式にやっているお小遣い稼ぎだと思います。なんともトルコらしい。車内販売のメニューなんかもなかったし、空いてるコンパートメント(車掌さん用にとってあって売りに出ていないのかも)の電源使って普通にポットでお湯沸かして準備してました。コーヒー一杯とお茶一杯で5ユーロでした。価格も「これくらいでいいかな」的な言いよう。ちょっと押し売りっぽいところがあるので、いらない人はきっぱりと断りましょう。個人的にはお茶とコーヒーで旅に味がついたし、長く停車する駅だと何分停車するから外の空気でも吸ってきたらと教えてくれたり、道中ずっととても親切な車掌さんだったのでチップと考えれば妥当な額かと。

【ルーマニア・ブルガリア国境】


南ルーマニアの景色を眺めながらぼーっとしていると、割とすぐルーマニア側最後の駅Giurgiu Nordに到着しました。

シビウやブラショフのあるトランシルバニアは山がちだけど、カルパチア山脈の南は穀倉地帯の平原。

国境警察が登場しパスポートを回収。回収されるとちょっと心配になりますがよくあることなので大丈夫です。ちゃんと返ってきます。長い停車とパスポート返却後、列車はドナウ川を越えてブルガリア側最初の駅ルセに停車。

ドナウ川。ブダペストでも見たあの子はここも流れているのか。

再びパスポートを回収され、スタンプとともに返却されました。通過ですがちゃんと押されます。前述のとおりここでエアコンが入り、車内は天国に。別の車列と合体した後、列車はブルガリアを南下します。

【キリル文字登場、Оряховицаで長時間停車】

ブルガリアに入って以降、キリル文字が登場しました。なんだかとっても旅をしている気分になりますね。

途中の駅にて。

事前情報通り、Оряховица(Orjahovica)駅では長時間停車しました。車掌さんが出発時刻を教えてくれ、1時間弱あったかと思います。ビールが飲みたい気分だったので駅の売店に意気込んでいくものの、空いているのは1つのみで、そこではビールはありませんでした。ビア?ピヴォ?など頑張るも売り子さんの首は横に振られるだけ。ないとなると余計飲みたくなります。駅を出て買いに行けばあるのでしょうけど、そこまで遠出するのもちょっと怖いので諦めて車掌さんからチャイを頂きました(おいしい)。

【ブルガリア・トルコ国境】

その後は昼寝。目が覚めると外は薄暗くなっており、缶詰を食べもう一回寝落ちすると車掌さんがコンパートメントをノックして歩く音が聞こえ目が覚めました。ブルガリア側最後の駅が近づいているようです。夜中の国境越えでイスタンブール到着も朝早いので、昼寝しておくことをお勧めします。
ここでもパスポートを預け、スタンプを貰い、ソフィアからの車列と合流し、少し進んでトルコ側最初の駅に向かいます。
事前情報および車掌さんの乗車時案内とも合致する通り、トルコ側最初の駅Kapıkuleでは一旦乗客全員荷物を持って下車、荷物検査がありました。税関と車掌さんは言っていましたが、どちらかというと危険物検査の意味合いのほうが大きそうでした。イスタンブールでも観光地や駅の入り口で金属探知機などを使ったセキュリティチェックはよくあります。リュック、スーツケースともにスキャンに通して終了。開けて中身を見せろとは言われませんでした(スキャンで分かるのかな?)。もちろん人間の検査もありパスポートコントロールで入国スタンプ。
白い紙を貰っている人もいたのできいてみたところ、パスポートではなくIDカードで入国した人には出入国スタンプ用に配られるようでした。トルコはEUのIDカードとかでも出入国できるのです。パスポートの場合は査証欄にスタンプで事足りるので、配られなくても心配ないようです。
Kapıkule駅はネオン輝く免税店や売店もあり、商魂たくましいというか、これまでの国境駅とは違い人の営みを感じました。そしてホームにはネコ!ネコ!ネコ!さすがトルコです。確認できただけでも5ニャンいました。

賄賂ヨシ。リュックからキャットフード出して他の乗客に軽く引かれました。

【遅延、噂のシャトルバスはなく】

早朝のイスタンブール到着までもうひと眠りします。到着少し前にセットした目覚ましで起きるも、現在地を確認するとまだまだイスタンブールからは遠くにいました。はい、遅延していました。
1時間と少しの遅延の後Halkalı駅に到着。車掌さんにお茶とコーヒーの代金を支払いお別れとお礼を言い(すっかり仲良くなってしまった)、事前情報にあったシルケジ駅へのシャトルバスを探します。案内とか一切なかったので駅構内できいて歩くも、地下鉄マルマライを案内されるのみ。なくなってしまったのか、見つけれなかっただけなのかはわかりません。少々残念。ちなみにボスフォラス急行は以前はシルケジ駅まで乗り入れていたそうです。
カード払いができる券売機に行列をなす他の乗客を尻目に、前回のイスタンブール滞在でゲット済みのイスタンブールカード(スイカやパスモみたいなもの)にこれまた前回の残りのリラ札をチャージし、華麗にマルマライ線に乗り込みいざシルケジ駅。
Halkalıからシルケジまではそこそこ時間がかかります。もうお腹ペコペコ。シルケジ駅を出てすぐ朝ご飯の看板が見えたので入店。

トルコ風朝食

トルコ風の朝ご飯を食べ、旅の最終目的地イスタンブールまで来たのだと実感。これにてボスフォラス急行の旅は終了。

車掌さんの非公式商売といい、トルコ入った途端のネコさん登場といい、今回もとても楽しい旅でした。パスポートにはすっかりスタンプが集まってしまいました。

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