カタルシス 16-17

ゲリーは言う

・・・

まだ死ぬ予定じゃなかったんだ。

このことは、君の計画してきた人生の予定になかった。

外で身体を動かすことが大好きで、いつも男の子に混じって遊んでいたね。太陽みたいに明るくて、すごく元気で。

君はそのまま大人になって、弁護士になって・・・

祖父母が事業を興した家で、家族のメンバーそれぞれが、会社のために担う役割を持っていたんだね。君の場合は、それが弁護士。従兄弟や兄弟と一緒に、今もそこにいるはずだった。

いいかい、落ち着いて聞いてほしい。
これはどうしようもないことなんだ。

もちろん人生にifはない。
だけれどもわかるかい?

君はもう少し上の世代のアメリカ人として、この時代にいたはずだった。

それこそが、
君の魂が、生まれる前に決めてきたシナリオだったのだから。

だから混乱は当然だろうね。そのことを理解できるよ。


ⅩⅥ 塔



そして理解してほしいんだ。
君自身が、君自身のために。

君の魂はこの出来事に、何の準備もしていなかった。

ノーガード。

こんなことって普通は起きない。想定の外側にある、不幸なアクシデントだったんだ。

ーーーそしてなんてことだ。

もうその年ぐらいのうちに、生まれ変わってきているね。

僕はこれまでにたくさんの人をみてきたけれど、こんなに転生が早いのは、5人いたかいないかくらいだよ。5本の指に入ること。

ほんとうにすぐに生まれ変わってきたので、前の人生を反芻し整理する時間が取れていない。

これは大変なことですよ。

混乱するのは当たり前だよ。

仏陀やキリスト、よっぽど覚醒した人でない限りはね。

ⅩⅦ 星

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