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衝撃的なワインとの出会い、そして、シャンパーニュ

自分がワインを本格的に飲み始めたのは、20代の後半頃。それまでは、モルト、ジン、ウオッカ、ラムといったハードリカーを好んで飲んでました。仕事の関係で阿佐ヶ谷に引っ越ししてから、よくいくようになったバーで知り合ったワイン好きの方々に勧められるまま、すこしずづ飲むようになりました・最初は「こんなものか」とよくわからず、そしてその頃は心から「おいしい!」と感じて飲んでなかったように思います。

そんなときに、その常連さんの友達が経営している新宿のワインバーの会に、参加させていただく機会がありました。その新宿のワインバーには、その後、何度もお邪魔させていただいて、バーの経営者兼マスターとはゴルフや飲み会などプライベートでも仲良くさせてもらっていました。その最初のワイン会が、今から考えても衝撃的すぎました。

バーの常連から誘われたときの誘い文句は、「こんな値段であんなワインや、あんなワインが飲めるなんで絶対ないから、ぜひ行くべし!」というものでした。参加費は確か15,000円だったように思います。ワイン初心者の自分にとって、何がすごいのかがわからず、その参加費は高く感じたのですが、これがワインにはまるきっかけとなりました。

いつもはテーブル席があるホールのテーブルは一列に並べられ、2-30本のワインが並べられています。その中に、DRC、ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネコンティーのワインも何本も並べられていました。そのときはロマネコンティーというワインが高いということは知っていたものの、それが何を指しているのか、どんな意味があるのかわかっていませんでした。参加者は20名弱。グラスをもって、ワイン好きの常連について、少しずつテイスティングをしていきます。

DRCのエシェゾーというワインを口にしたとき、おいしいという言葉では言い表せない驚きと感動が即座に走りました。経験したことのない別次元の香りとテイスト、今まで飲んでたワインとはまったく違う飲み物ではないかと思ったくらいの衝撃でした。なぜか、はいってはいけない領域に足を踏み入れてしまったような感情をもったことが、今も記憶に残っています。

それ以外にも素晴らしいワインをテイスティングして興奮冷めやらぬ中、ワインバーのマスターが少し奥まったところから手招きしてくれました。バーの常連の一人はワインコレクションを非常に多く持っている方で、そのワインバーの経営者とも仲の良い方でした。このテイスティングがラッキーでは簡単に済ませられないほど、もう一つの衝撃を運んでくれました。

「このワイン飲んでみて、もうなかなか飲めないから」といって、飲ませていただいたのが、アンリ・ジャイエのシャンボールミュジニー。ブルゴーニューの伝説的なワインのつくり手ということは後で知りました。華やかな香りとその後の深みのある香り、さきほどのエシェゾーの深みとはまた違う広がりと深みをもった味わい、、、専門家ではないので、書けば書くほど遠くなるような気がします^^;

今だと何年のワインかといったことにも気が向きますが、そのときはその衝撃がすごすぎて、いろいろと説明をいただいたものもまったく記憶にありません^^; どちらもビンテージはわかりませんが、この体験がその後のワインとのかかわり方を大きく変えました。すぐに50本は入るワインセラーを買って、家で飲むときはワイン、外食するときもワイン、ワインが自分の人生の一部、もしかすると自分がワインの一部になってきたのかもしれません。

ワインの香りやテイストの表現は複雑ですが、表現の仕方をしらなくても、素晴らしい感動をもたらし、その記憶は鮮明に残りました。さて、シャンパーニュについてはどうでしょう?1年弱で、100本以上のシャンパーニュを試飲しました。ビンテージものや高いシャンパーニュにはほとんど手が出ませんが、美味しいといわれているシャンパーニュでもそれだけを飲んだだけでは上述したワインほどの衝撃は正直ありませんでした。例えば、スパークリングワインと比較してみる、ノンビンテージとビンテージを比較してみるという飲み方をすると、その良さがわかるということはあります。もちろん、すべておいしいことはおいしいのですが。

つい先日のクリスマスにジャック・セロスという作り手のInitialというシャンパーニュを飲みました。ジャック・セロスというのはシャンパーニュを飲む人ならだれでも知っているようなすばらしいシャンパーニュを作る方です。値段はかなり高いため、これまで口にする機会はありませんでした。しかし、このシャンパーニュを飲んだことが、上述したワインの衝撃的経験に近いものとなりました。香りの何層にもなった複雑さ、奥深さ、力強さと繊細さのバランス、皆様が素晴らしいというのを実感することができました。そして、DRCやアンリ・ジャイエと出会ったときに感じたのと同様に、知ってはいけない世界に足を踏み込んでしまったなという気がしました。Initialというのはジャック・セロスが創るシャンパーニュの中では、一番入口に位置づけられるものだということです。では、それから先に何が待っているのか、そもそも買って飲むことができるのか、ついため息が出そうになってしまいますね。いつかはその先に足を踏み入れてみたいと思います。

今月、3回目の金沢に来ています。金沢は雪、今回もおいしいものを一杯食べて、飲みたいと思います。読んでいただきありがとうございました。


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