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情報デザインの観点

情報デザインするうえで大事にしている観点をまとめてみました。大きくは、

1. 役に立つこと
2. 手に取るようにわかること

この2つ。情報は、ただあればいいのではなくこれらの条件を満たして利用できるからこそ価値があると考えます。
もうちょっとかみ砕いていきましょう。


1. 役に立つこと

人が情報を欲しがるとき。それはやりたいことがあるときです。
海へ行きたい。学びたい。
そのやりたいことに対して、ニーズと合ってなかったり古かったりして実際に役に立たなくては情報に価値はありません。

では役に立つ情報とはどんな条件を満たす必要があるか、私の提供している「早朝・深夜やってる本屋さん情報」を例に挙げつつ解説します。

正しいこと
本屋の場所、開店時間、規模。これらが間違っていては何にもなりません。地味ですけど基本中の基本。二次情報でなく一次情報を得る努力をします。本屋さんの場所と規模と実際の営業時間については、すべて足を運んで調べてきました。

情報によっては自分で足を運ぶ、全て完璧に確かめる、というわけにいかない場合もありますが、最大限の努力をもって一次情報に近いところから情報を得るようにしたいものです。

現在も有効であること
情報の鮮度という言い方もします。本屋に行ってみたら閉店してた、営業時間変わっててもう閉じてた、などということがあっては目的達成できません。定期的にサイトを巡回したり開店閉店情報を扱っているまとめサイトを利用したり、近くを通りかかったら寄ってみるなどして最新状態を確保します。
ただこれメンテ対象の数が多かったり調査コストが高かったりするとなかなか大変。一定のラインを決めてやります。本屋さんの場合、月に一度のまとめサイトチェックとサンプリングチェック、年に一度の総チェックで維持しています。

目的と合っていること
情報は漫然と集めて掲載しても、いざ使おうとしたときにその目的と合っていなければ使えないもしくは使いづらいものになります。
本屋さんの場合、ペルソナを「都内に電車通勤するビジネスマン」、場面を「通勤のついでに寄りたい」と設定し、「朝10時より前に開店 または 22時以降に閉店」を条件としました。

「大型書店」や「個性的」といった情報は補足とし、「行ける」ための条件を満たすことが大事。この条件に照らすと、有名な東京駅の八重洲ブックセンターは対象外になり、私のまとめた情報には掲載されていません。どんなに素晴らしい本屋さんでも、行けないならば目的には合わない。ここを、「まあ有名だし載せとくか」としてしまうと軸のぶれた情報になっていき、使いづらいものになってしまいます。

2. 手に取るようにわかること

いまや情報はあふれかえっています。膨大な情報の中から欲しい情報にたどり着くのは一苦労。検索ワードをあれこれ変えたり、情報活用は検索スキルに依存しちゃいます。
そうではなく、情報の方から歩み寄ってくれる。これなら分かりやすいでしょ、とお膳立てされた状態になってる。受け手にとってなんの苦もなく、思考に沿って、ありありと情報が見える。いわば美味しく食べられるように料理盛り付けされた情報を目指します。

人の欲求を起点とすること
本屋さんを分類すると「規模」「営業時間」「場所」「特徴」などいろいろ軸が考えられます。ここで、「よし規模順で並べよう」とか「特徴的なカテゴリで分けよう」と発想してしまいがちです。でも超大事なのがここ。人の欲求 を軸にするのです。「朝、通勤途中に寄りたい」という欲求に合致する軸は、「規模」「特徴」でなく「営業時間」「場所」なのです。

本屋さん情報は「出勤前に寄れるよう10時より前から開いていること」「会社の近くで始業時間前から寄れること」「自分の使っている路線の駅近であること」といった欲求に合わせ、「駅から5分以内」「改札内も掲載」「規模が小さくても掲載」「規模が大きかったり素敵でも条件を満たさなければ載せない」という判断になります。

また、時間に融通が利くので多少遠くても行く人には「開店時間ごとに並んでいるページ」を、定期が使える範囲のみという人には「路線ごとのページ」を用意。これも欲求が異なる場合に一つのページでまかなっちゃいたいという作り手の都合で発想するのでなく、「欲求が別ならそれに見合ったページを別で作る」という判断につながっています。

思考に沿っていること
情報を手にするまでの思考、それを読み解きながらの思考。これらにも目を向けます。
本屋さんを一覧で見るページとは別に地図上でも見られるよう、マップも用意してあります。「条件にあう本屋を並べて探していく」という思考のときもあれば、「あのあたりだとどこに本屋があるんだろう」という思考になる場面あります。そのとき、作り手の都合で一覧で並んでいる本屋リストを見て脳内に記憶させつつ、「こことここにあるんだな。えーっと新宿のやつは何時だったっけ」と、行ったり来たりするのは大変。エリアで見たいのならエリアで見られるように、情報のほうが待っていてくれる。

またそのマップも、「9時以降に開店する本屋は9時始業の私には縁がないな」と思ったら非表示にできたり、規模によって色分けがなされるなど、思考に沿わせています。

それが何を意味するかわかること
「本のマークだから本屋だろうな」「電車のマークってことは駅ナカか」「アイコン小さいってことは規模が小さいってことだろうな」など、一目見て直感的に意味がわかるようにすることも大事。ただし気を付けるのは、無理にアイコンだけで表現しようとしないこと。文字でなければ伝わりづらい内容ならしっかり文字を使って表現する。作り手の美意識やこだわりで利用者が不便を感じては本末転倒です。

俯瞰できること
これはちょっとINFO DESIGNオリジナルな観点かもしれません。情報の全体像を把握できること。
情報は、「ある」ことがわかるのは当然ながら、「ない」ことがわかることもまた重要。または「このあたりは充実しているな」という分布や「こんなところにもあるんだ」という発見。こういったことも目的とする情報に出会うための手がかりになります。Googleの検索だとわからないのがここ。ずらりと検索結果ページに並んだ情報からは全体感は得られません。

本屋さんをマップに表示させることで、「知らなかったけど新宿駅近辺に結構あるな」「そうか駅ナカという選択肢があるのか!」などという見つけ方もできます。

邪魔しないこと
目的にそぐわない情報は目に入れない。これ大事です。探そう、わかろうとして脳を働かせているときに、無関係な情報が飛び込んでくることで脳は大きな負荷を感じます。関係の薄い広告や、目的に合わない情報。

Googleマップで「本屋」と探すと、書籍の卸や出版社なども出てきたり、意外とノイズがあります。検索結果上位や画面にいつも出てくる広告も邪魔。ユーザーの行動を阻害しないようにします。


さいごに

これらはデザイン系の本やUIUXデザイナーとしての実務を通して培った知識・実績と、自らの経験をもとに組み立てた観点で、常に意識している内容。やっとしっかりと言語化できました。これを基軸にさらに磨いていこうと思います。情報デザインを志す方のご参考になれば幸いです。

情報デザインを仕事にして独立したいと考えています。世のため人のためになるはず!と思い活動していますがまだ生計を立てるまでには至らず。自分の発信する情報にどれだけ価値があるのか、測りかねているのが正直なところです。この記事にどれだけ価値があると思われたか、どうぞ教えてください。