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Mixcloudの制限と代替プラットフォームについて(Hearthis/Audius/Audiomackの比較)

12月、DJにとってはかなり衝撃的なニュースの一つに「Mixcloudは課金しないと制限するよ~」となったのがあります。なのでその仕様変更と代替プラットフォームについてまとめたり実験したりしました。

mixcloudの仕様改定について


2022年12月から行われた制限の内容ですがだいたいこんな感じ。

①mixを上げられる本数が10本まで(合計8時間まで)になる
②今までアップしてたmixのうち公開するものを9本までに絞らないと新しいmixが公開できない

③15分以下のmixはTrackとカウントされるようになりそちらは5本まで

つまりmixの保管と自分のmixの個人視聴は可能ですが12月以降のアップロードは無料アカウントの場合公開できるMIXは10本まで(+15分以下のmix5本まで)、となります。

時間制限があるので私みたいに長いmixを録る傾向がある人は10本アップすらも厳しい・・・(といいながら自分のmixをちゃっかり宣伝)

↑こういうmixなら1本で終わりです。

で、プレミアムのアカウントの値段ですが

15$/月、つまり2022年時点の円高だと2000円代のサブスクになります。
このお金でAfterEffectsとかU-NEXTとか契約できちゃうよ・・・
500円
とかならともかく全員が契約に乗り気になる値段ではないのは確かです。

今までアップしてたmixは新しくMixをアップする際Draftという扱いになり再生数も維持されるので、昔のMIXを10本の制限内で期間的に公開するみたいな使い方はアリです。が、昔のMIXを誰かに聴いてもらったりはなかなか難しくなります。



あたらしくMIXをアップしたい場合ですでに制限に達してる人は下のようなメッセージが出ます。ようはプレミアムのアカウントにアップグレードするか過去のmixを選んだ10本以外非公開にしてね、という究極の選択です。

つまり12月からmixcloudを使っていた人は
①月15$課金して今までと同様に使う
②新しくmixを上げる場合は今までのmixをDraft処理(基本的に非公開とし残すmixを10本以内に選ばなくてはならない)
③今までのmixを残したままmixcloud以外のプラットフォームを模索する

のうち選択することになります。

公募のこれから

大手公募でもmixcloudは大きな役割を果たしてきました。

大手でもXi-lium、アニソンインデックス等が公募に使ってるプラットフォームはmixcloudが主でした。プラットフォームとしてmixcloudを使用することにより、
①他の人のMixを聴きあうことができる
②応募した作品を今後の名刺的に使うことができる

など優勝者以外にも恩恵があったり、公募自体がミニイベントの側面があったり、上位者のMIXを聴いて参考にするDJさんも多かったと思います。

実際アニソンDJ界隈において再生数が1000を超えているようなMIXは、公募用の作品も割合多いわけで、mixcloudとアニソンDJにおけるDJ公募は切り離せない関係にあります。


ですが、今度の仕様変更によって少なくとも過去に録ったmixを削ってアップロードするかプレミアムアカウントを使用しなくてはならない都合上、mixcloudが公募等に使われることはおそらく少なくなってくるでしょう。(もしやるとしてもしばらくはクラウドGigaFile便で運営にファイルを渡し、優勝作品や最終候補のみを期間限定でイベントアカウントから公開、とか、10本制限のうち1本空ける別アカウントとってねという形になると思います。)

公募の形式がどうなるか、各イベントが公募を続けていくかは各イベントによるので断言できませんが、おそらく公募を行おうとしてるイベント運営側はこの仕様変更に頭を悩ませていると思います。運営の複雑性や再生数による数値的な評価も難しくなるので公募自体をやめる団体も出てくる可能性は大きいでしょう。

いずれにせよ、mixcloudの機能上今までの形式で公募を行うことは難しくみんなで代替プラットフォームを模索しなくてはならなくなるとは思います。

代替プラットフォームの検討(メジャーどころ)

代替プラットフォームについて色んな人が検討しています。

まずは有名どころから。そもそもここのプラットフォームが運用上合わなくてmixcloudに移行した人が多く出たという流れなので、デメリットを中心にまとめます。

①Youtube/ニコニコ動画

YouTubeやニコニコ動画も昔Mixのアップ場所としてよく使われておりいろんな端末で視聴できる、シェアしやすい、コメントなどのシステムが整っている、再生数が伸びやすいなどの利点はあります。しかし著作権のあるコンテンツは公開できなかったり警告を食らうこともあるので、アマチュアの原曲DJがMIXをアップするプラットフォームとして使うには向かないと思います。
オリジナル曲を作って自分の曲と許可をとった曲でDJするなら再生数も伸びるし間違いなく一番いいとは思うのですが・・・

上位のMixは公式コラボがほとんどなのでプロやクリエイター向けな気がする


リアルタイム配信においてはニコニコ生放送はTwitchが流行する前はかなり使われてたとも言われています。機能も申し分ないですが原曲DJだとやっぱりMIXや動画の削除はYouTubeよりは起きにくいもののTwitchよりは起きやすい印象です。

②Twitch

どちらかというと動画ライブ主体のプラットフォームなので、動画やMixをアップするという使い方は向いていません。また、アーカイブでは著作権がある音声は一部ミュートになってしまい、有名楽曲などを含むDJPlayを見返すには使いづらいところはあります。

mixを流してみんなで同時視聴するなどの使い方はありで今後の配信イベントの形式としてもいいとは思いますがいかんせんmixの保管場所としてはいろんな意味で向きません。

↓動画のアップロードは以下の方法でできますが、J-POPやアニソンなどのジャンルでアンセム主体なDJをする場合、おそらくミュートになる可能性が高いです。

③SoundCloud

SoundCloudも有料プラン/無料プラン両方あるのですが、無料版でアップできる時間は3時間(180分)と時間はMixcloudよりは短いです。(本数は無制限ですが実際1本のMIXが30分として6本なのでMixcloudより制約は厳しいと考えていいと思います)

MixをMixcloudアップする場合はおそらくNext Proを契約する必要がありますが、月の値段は800円でMixcloudよりも安いには安いです。機能についてもコメントや再生数カウントなどひととおりついてます。

ただし、こちらもメジャーな楽曲がMix内に組み込まれている場合は削除要請が来やすいと言われています。


自身がトラックメーカーである場合はMixだけでなくトラックの置き場所としてもいいので検討してもいいと思います。(皮肉なことにMixcloudより相対的に安くなってしまったわけなので・・・)ユーザーはDJもトラックメイカーもいますが、その分再生数も伸びやすいです。

無料のDJMixアップロードプラットフォームとしてはMixcloudより制限が多いけど課金額はMixcloudより低く抑えられます。
(このぐらいの価格帯ならMixcloudに払ってもいいんですが・・・)

④Google Drive/Dropbox

特にクローズドにMixを渡したりする場合置き場としていいですし容量も計15GB(GoogleDrive)もしくは2GB(dropbox)とまあ変更後のmixcloudよりはマシというのがあります。

高位のプランを別目的で契約するなどであればさらに有利に使えますし、dropboxであればRekordboxとの連携も可能です(Cloud Library Syncも使えるので便利)

音楽を聴くアプリとしてdropboxの公式アプリならバックグラウンドでの再生も可能ですしいろんなアプリがローカルファイルのほかdropboxやGoogle Driveを指定できます。

がこれらはただのファイル置き場でコミュニティや統計の機能を有していないのがちょっと寂しいところなのと、複数人のMixを続けて聴くには割と手間がかかる気はします。

また、ファイルとして置かなければならない(つまり公開してダウンロードできる状態で置いとかなくてはならない)ので原曲を使用したmixを置いとくのはあんまりよくない可能性もあります。

ここは解釈が分かれるところではあるのですが、常に原曲mixのファイルを誰でもダウンロードできる状態にしてリンクを公にするのは権利元の一声で停止できるストリーミングに比べミックスが音声ファイルとして人の手に渡ってしまうのもありあまりよろしくない気はします(現状これしか方法がないのもあり現在やってる人には何も言いませんが・・・)

プラットフォームの知名度が高いので今後公募などで何かしらの形で使われる可能性は最も強くはありますがオープンに聴きあうにはいろんな意味で向いていないというのが個人的な結論です。 

海外サイト系(mixcloudに類似してる機能を持つサイト)

本日の本題です。海外の音楽共有プラットフォームでDJに向いているのはどこか?ということでいろいろまとめました。実際にMixもアップして日本語の説明文も加えてみたので、こんな感じで使えるよというのを見てもらえればと思います。

一応説明する前にですがMixは英語名でつけてあとで日本語に変更がおすすめです。(以下に示すものだとAudiusは日本語Mix名にあとで直しても日本語URLになってしまいます。)海外サイトベースゆえTwitterでMixを宣伝する際は英語名でMixをアップすることを基本にしましょう。

↓参考の過去ノート


①hearthis.at

ヒアーディスと読むらしいです。(ハーディスかと思った)
説明のところにListen to DJ Sets…とDJ Setsが先に来てるのでDJが多いサービスです。MixをアップするとジャンルとBPMを勝手にある程度解析してくれたり、Mixをプロモーションするための短い動画を作れたり面白い機能もついてます


フリー版の制約が
・形式がmp3であること
・1週間のアップ上限が200MBまで(320kbpsなら約80分なので週に1~2本アップ可能)
・コメントの非表示ができない(表示はできる)

とわりと実用的な範囲に入る気がします。

制約の仕方的にも週ごとのアップ制限の関係でmixcloudのすべての音源がただちに移行できるわけではないですが、mixcloudに音源を残しつつ新しいmixをここにアップロードするのはかなりありかと思います。

実際にアップしてみたのがこれ。日本語を使ったりリンクの埋め込みやアプリからの利用もできました。

無料版だとアップする際にMP3に変換する必要があるのがネックですが音質もそんなに気にはならず広告も多くなく実用的なプラットフォームな気はします。

また、強みとしてAndroid用のアプリもiPhone用のアプリも両方あることは挙げられます。また、Twitterから公式サイト開かなくてもMixcloudみたいな感じで聴けます。

今のところ使用感はMixcloudやSoundCloudに一番近い印象を受けます。

アプリもこんな感じでMixcloudやSoundCloudに似ています。

ちなみにですが日本語検索がうまくいかないかも・・・




②audius


オーストラリア発のプラットフォーム。Twitterとの連携性が強いらしいです。(Twitterのアカウントと連携できTwitterのプロフィールがそのまま登録できたりする)
制限や課金はないのでMixcloudみたいな感覚で使えるかと。

アプリもAndroid/iOS両方あるのでmixcloud的な使い方もできます。
こちらもSoundCloudやAudiomackと同様トラックメイカーがトラックをおいておくのに使っている使い方が多く、アニソンMIXに限ってはAudiomackより少ないくらいです。

これもTwitterからMixそのまま聴ける強みがあります。また、アップ時Moodを選べるので楽しいMixかシリアスなMixか載せとくと同じようなムード縛りで再生してもらうことも可能です。

アップロードするとこんな感じ。ただし日本語Mix名にするとURLに日本語が含まれてシェアしづらくなります。上記の過去ノートを参照。



Hearthis同様Twitterからも聴けます。

アプリはこんな感じ。



(昔はFanburstという名前だったらしいです)

③audiomack


基本無制限。
アプリがiOSにもAndroidにもあり。
コメントも可能で日本語も扱えます。
ただしDJMIXよりトラックのほうが多い印象です。
(むしろMIXの置き場としてはほんとに限られた人しか使ってないっぽい・・・?)
あとアニソンやPOPSのDJMixはあんまりない&カバーの投稿が多いです。

収入モデルとして無料ユーザーが他の人のMixを聴いたりするときに広告が入るらしい&音質が低い状態でしか聴けない(?)というわずらわしさもありますが、容量制限がないという観点から使いやすいサイトの1です。

音質はHearthis/Audiusのほうがちょっといいかも・・・?(主観)

アップロードするとこんな感じ。

また、Twitterからは再生できなかったり埋め込みは難しいかもです(できるのかも?)
サイトも他のより重いような気がします・・・

アップロード時にURL編集が楽だったりするので日本語で名前つけたMIXのシェアは楽かもです。

Audiusと同様Moodでの分類も可能です


Twitterにはプレイヤーが表示されない?

アプリはちなみにこんな感じです。ダウンロード再生に対応してたり、ストレージ内の音楽も聴けたりと強い点もありますがSpotifyのように合う音楽をサジェストする感じのUIです

他にこの手のサイトを検索したりするとChirbitFanburstも出ますが、Chirbitは新規ユーザーを受け付けておらず、Fanburstは今はAudiusに引き継がれたので、大体プラットフォームとしての候補はこのあたりでしょう。

Mixの置き場としては制限はあるけどDJのユーザーが多いHearthisか、制限がないけどトラックメイカーとしてのユーザーが多いAudius/audiomackにするかはたぶん好みが分かれるところかと思います。

表でまとめるとこんな感じです

個人的な意見ですが、アプリの使用感の似方、制限の現実性、DJMixのアップ場としての人気等を総合するとHearthisが使いやすいかな・・・という印象です。

Audius/AudiomackはDJMixよりもTrackが多いことから検索性が少し落ちますし、Mixをシェアする際にTwitterなどのSNSに埋め込めるHearthisはMixcloudとそんな変わりなく使えます。また、DJ同士の交流や複数DJを行き来するのもプラットフォーム的に楽なほうです。これからのアップデートに関してもDJをターゲットとして行われる可能性が一番高そうな印象を受けました。日本語でのmix検索が現状できないのが残念ではあります(ユーザー検索は可能)

代替プラットフォームにおいて重要視すること


代替プラットフォームとして使うにおいて重視することはシステムや音質もですがみんなが使ってること、かつ安全性が一番大事です。安全性に関しては海外サイトゆえに規約やアップした動画の扱いが英語で書かれていて、なにか見落としてるかもしれません。どのプラットフォームもクレジットカード情報を請求されるのが登録時ではなくサブスク契約後だったりなのでそこは安心です。

SNSにおいても、TwitterよりもMustdonが使用者数において下火であるように、みんなが使っているプラットフォームが統一されてなければ、友人の使ってるプラットフォームにより使うサイトが違う、など不便を強いられることになりますしコメントや視聴数も伸びにくくなってしまいます。また、DJとしてのユーザーが多くないと仕様変更等に気づきにくかったり、誰かがBANされた・警告をくらったなどの情報も集まりづらかったり、Mixのあとにサジェストされるのがトラックだったりして使いにくい側面もあります。

なので、集団的にどのプラットフォームを使うか?をある程度決める必要はあって、できればDJ機器会社あたりからおすすめのプラットフォームの発表があるといいと思います。(個人的にはDJソフト側にミックスをmp3エンコードできる機能や2~3サイトにアップできるような機能がついてくれると嬉しい)

また、各サイトもMixcloudやSoundCloud並に無料制約が厳しくなる可能性もあったり運営の関係でサイトが閉鎖することも考えられるので、MixはアップロードしたとしてもPCに何らかのファイルで残しておくことを強くおすすめします。

実際2020年に日本であった「クレオフーガ」は終了したり、Chirbitは新規ユーザーを募集していないなどサービスの終了報告もちょくちょく見るので、これらのサイトも急に閉鎖や制約変更などは起こりうるかもしれません。

Soundcloudについても、〇〇年で終わる的な話題がちょくちょく出たりしているので、永遠ではないと考え、サイトの他にデータをちゃんと所持しておくことはこれから重要になると思います。


結語

Mixcloudの無料アカウントの制限が12月に急に厳しくなったことにより、今までのようなMix聴き合い公募などの文化が維持できなくなってしまうことが今後考えられます。

どのサイトをみんなで使うかはまだ結論が出ていないのですが、使い心地等を見たり有識者の意見を集めて、なんとか別のプラットフォームを模索したいところです。

(MixcloudはSoundCloudよりは終わるという噂は立っていませんがおそらく収益がとれなくなってこういう仕様になったのでいつ終わるかもわからないので・・・)

自分だけだと使い心地については一意見しか述べられずさまざまな立場の人の意見もほしいところ・・・なのでほかの人と話し合いつつこれから考えていきたいと思います。


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