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無意識にやっていることが最強な理由 | デザインの科学⑧

無意識にやってることほど “最強を極めている説” というお話です。
この半年を振り返っても成長の実感がない、または実感はあるが説明は難しいなんてことありませんか。
それもその筈です。その原因は「できている」ことほど無意識にやっているからなのです。
そんな再現性なさそうなことが「できている」ことになるのか?と思うかもしれませんが、これがあながち間違っていないのです。
今回は、以前読んだ脳科学の本の中で「なるほど」と思った内容をギュッと凝縮して書きたいと思います。

無意識の居場所

脳には基底核(きていかく)という部分があります。
位置的には、両耳の奥を辿っていき、中心でぶつかる辺りだと思います。(位置はどうでも良いのですが…)
基底核には “方法を記憶する場所” として、様々な物事の “やり方” が保存されています。
例えば、箸の持ち方、自転車の乗り方など、普段何気なく行なっている動作が記憶されている場所です。
ポイントは、やり方の手順を一つづつ思い出すのではなく、何気なく一連の動作として記憶しています。
つまり無意識どうさしていることです。

また、これらは説明しただけでは出来る様にはならないことばかりです。
箸の持ち方も、自転車の乗り方も、何も考えずに動かすことができますよね。
これらを習得するには、動かせるまでとにかく真似して練習あるのみ、といった感じになります。
基底核に記憶を定着させるためには、繰り返しの練習が必要になるのです。以前、宮大工の技能の伝承の話を書きましたが、これも同じことですね。
「教科書からではなく事から学ぶ」ってやつです。

これも繰り返しの賜物です。

ということで、物事や技能が出来るようになったという状態は、実は無意識的で説明困難だということになります。これらのことを踏まえると、半期を振り返っても成長実感がないという状態も、納得できる気がしてきませんか?

基底核で覚えたことは正確

さて、もう一つ基底核の記憶について特徴を書き足すと、基底核で覚えたことは正確ということです。これも箸や自転車を動かす時に、失敗するということが殆ど無いのと一緒なんですね。

ここで、個人的な思い出話をさせていただきます。
もう14〜5年以上も前ですが、ちょっとお金のかかった名刺のデザインを入稿する機会があり、ついでに印刷工場の見学をさせてもらったことがあります。
入稿したデザインは、箔押しという手法で金箔を名刺に貼り込む工程が施されます。「どんな機械をつかって箔押しがされているのだろう」と期待感を抑え込み覗いてみると、驚くべきことに... 全て工場のおっちゃんの手動による箔押しだったのです。しかも寸分違わず同じ位置に押し込まれています。

職人ってすげ〜〜〜

テレビなどでも、弁当屋のおばちゃんが、ご飯を何度盛っても同じグラムになる神業が紹介されたりしますよね。この様に職人技と呼ばれるものの多くは、基底核の記憶によるものです。

プロの予感が当たるわけ

基底核で覚えた記憶には、物事の成功や失敗を察知する能力があるようです。例えば、将棋のプロ棋士ぐらいになると、今の一手で何となく勝った気がする。とか、感じることがあると聞きます。そうして実際に長い勝負の結果、本当に勝ってしまう。
仕事をしていてもありませんか?何かこのままいくと失敗する気がする。とか思っていると、やはり失敗したりします。
「勘で物事をいうな」とか言いますが、プロフェッショナルの勘は、実は正確なことが多いのです。このように、無意識的で、自動的で、かつ正確。
それがプロの技ってやつなのではないかと思うわけです。

まとめ

この半年で何ができるようになったかは、自分でも思い出しにくいことかもしれません。ところが、今まで意識していたことをやらなくなった。または、仕事や人との会話のなかで、今では確認しなくなったコミュニケーションなどあったりしませんか?
実はそこには無意識が隠れていて、この半年または一年の成長ポイントがあるかもしれません。
↓今回の参考図書はこちら


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