冒険者の諸君、遠路はるばるよく集まってくれた。
　諸君らには、ひと月前に暗黒大陸で消息を絶ったアリアハンの「国家勇者」オルテガの捜索を頼みたい。
　彼の死亡もしくは再起不能が確認された場合、その時点までの探索で功績一番のパーティを新たな「アリアハンの国家勇者」に任じる。

敵は魔王バラモスじゃ！
世界のほとんどの人々は、未だ魔王バラモスの名前すら知らぬ。

　こちらのアリアハン王は、原作より切れ者でした。暗黒大陸より現れ、世界征服を狙う魔王に対して「国家のお墨付きを与えた勇者」の制度を作り、さらに世界の国々にバラモスの脅威を宣伝したのです。ポルトガやエジンベアなどの有力な国家もこれに習い、独自の「国家勇者」を擁立しています。スパニアのフランシスコ・ピサロや、ポルトガのバスコ・ダ・ガマ。

　どの国の勇者が、魔王バラモスを倒すか。討伐を達成した国こそが、次代の覇者となるであろう。かつて数々の超技術で世界を統べたとの伝説が残る国、アリアハンの王はそんな煽り文句で各国の勇者同士を競わせました。
　中でも頭角を現したのが、アリアハンの勇者オルテガ。彼は敵の本拠地、暗黒大陸ことネクロゴンドへの一番乗りを達成しますが、直後に消息を絶ってしまいます。

「我々は勇者オルテガを失った。しかしこれは敗北を意味するのか…否！」

　魔王打倒の機運を盛り上げるため、アリアハン王はこのアクシデントさえ利用して巧みに冒険者たちを煽ります。あなたはどこのギレン総帥ですか。

　こうして海を越え、腕利きの冒険者が「ルイーダの酒場」に集まりました。彼らが全員アリアハン出身だったわけじゃない。

　ところが、この世界の魔王軍もなかなか賢い。冒険者がアリアハンに集まったタイミングで真珠湾攻撃の如く海の魔物たちを差し向け、港を襲い船を沈め、冒険者たちが船出できないようにしてしまいました。

　もちろん精鋭の冒険者が黙って見てるはずもないのですが、魔王軍の幹部が強過ぎた。オルテガとは別件で消息を絶っていた、サマンオサの国家勇者サイモンが「じごくのきし」と化した姿で現れ、名剣「ガイアのつるぎ」を振るって冒険者たちを退けたのです。死してなお魔王軍に利用される悲劇の人。

　こうして、冒険者たちはアリアハンに閉じ込められてしまいました。