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商人のDQ3【78】海賊とコーヒーの村

この先の家は海賊たちのすみか。近づかないほうがいいですよ。

「だいじょぶでち! マリカしゃんは、海賊の大親分のお孫しゃんでちゅ」

 シャルロッテ一行の突然の訪問に、村人が驚いてます。エラい侯爵様がおいでになると聞いていたら、小さな女の子でした。しかもオルテガと同様に勇名を馳せている勇者アッシュと、大海賊マリスの孫マリカまで一緒です。

 ここは、サンパロの村はずれ。ドラクエ3の原作でいうと、サマンオサの南にある海賊の家に近いです。レッドオーブがあるところ。
 と言っても、こちらの世界のレッドオーブは海賊たちに盗まれてないのでここにはありませんが。

 のちの時代に大都市へと発展するサンパロですが、いまはまだ小さな開拓村。イエズス会の宣教師と、少数の住民がいるだけです。

「まだ小さな集落だった頃の、商人の街ヴィンランドを思わせますね」

 アッシュもマリカと一緒に、内陸の村ののどかな風景を眺めています。

 人口約1,200万人。ブラジルのみならず、南半球最大のメガシティである。2016年の都市圏人口(近郊を含む)は2,060万人で、世界第10位、南半球では第1位である。アメリカのシンクタンクが2016年に発表した世界都市ランキングでは、世界34位と評価された。ブラジルの都市としては、リオデジャネイロを凌ぎ首位であった。
 サンパウロの起源はインディオに対する布教のためポルトガル王ジョアン3世(在位1521年 - 1557年)の依頼で派遣されたイエズス会宣教師団の一人ジョゼ・デ・アンシエタ (José de Anchieta) が1554年にとして創設した宣教村である。その後人口はゆっくりと増大し、1565年にはサンパウロ市が創設された。しかしサンパウロは内陸に位置し、本国ポルトガルとの連絡に不便であったため、当時のブラジル開発の主力産業であったサトウキビ農園なども立地せず、開発が遅れていた。

「ムラのみなしゃん! シャルロッテちゃんたちヴェニスこ〜こくが、いまからだいだいてきにかいはつと〜しするでちよ!!」

 村の教会に住人たちを集めて、シャルロッテちゃんが所信表明をします。港や街道を整備して、交通の便を良くしたり。冒険者にモンスター退治を頼んだり。

ボストン茶会事件をきっかけに、戦争をへてエジンベアから独立したヴィンランドはコーヒー好きの国になったでち」

 今のうちからコーヒーの供給体制を整えておけば、何十年にも渡って豊かな実りをもたらしてくれると。シャルロッテの話に、住民たちも希望を抱きます。

「5年ほど前から、村で試しにコーヒーの木を育てております。このあたりは気候もいいですなあ」

 布教活動のかたわら、農業にもたずさわっていた宣教師が。シャルロッテたちに珍しいコーヒーチェリーの実を振る舞ってくれました。

「おお〜、あま〜いでち♪」
「この種から、コーヒー豆ができるのね」
豆じゃなくて、種だったんですね」

 笑顔のシャルロッテの隣で、マリカとアッシュもコーヒーチェリーの種を興味深そうに眺めて。

 コーヒーチェリーの果肉からは、フルーティな「コーヒーティ」も作れると。異教徒であるはずのシャルロッテに熱心な売り込みをかける神父さん。

ネクロゴンドからの難民しゃんも、奴隷じゃなく移民として受け入れてほしいでち。いちゃりば、ちょ〜で〜!」
「人類みな兄弟ですな」

 バハラタでの砲撃事件をきっかけに、ポルトガがモスマン帝国やロマリア時代のシャルロッテたちと結んだ通商条約こうかはばつぐん。商売の上で莫大な利益をもたらすなら、宗教の違いなどささいな事でした。何かとお金に厳しい世界ですから。

「これ、ヴィンランドのおみやげ…やくそうコーラでち!」
「おお! シュワァァァ!!」

 シャルロッテからは、住民のみなさんにコーラのおみやげ。なかなか抜け目ないですね、冒険商人シャルロッテちゃん。

※ ※ ※

俺たちは七つの海を股に駆ける男だ。
俺たちは悪い奴らからしか盗まねえぜ。

 夜になって、一行が海賊たちのすみかを訪れます。原作でも勇者たちを気さくに迎えてくれた海賊たちですが、彼らの女親分もママと慕うマリスの孫が来たのですから、よりいっそう歓迎の度合いが増しています。

「今晩は、館に泊まっていくといい。武勇伝が宿代代わりだと嬉しいな」

「みんな、元気でやってるかい?」
「なんだい、この鏡は!?」

 アッシュの発明品から、マリスの姿と声が投影されて。海賊の女親分以下その場の全員がびっくり仰天。

「あたいはね、海賊王マリスに憧れて海賊になったんだ」

女のあたいがお頭だなんておかしいかい?

 この世界では、さすがに女親分もそんなセリフは口にしません。

サマンオサへの山道を案内してあげたかったけど。ボクは呪いで7年に1度しか上陸できなくて、困ってたらナントね」
「相変わらずの発明家ね、アッシュも」

 なんと、携帯式ビデオ通話機です。古代アリアハンの遺産ですね。

「元エジンベアの勇者アーサーの愛機にも搭載されてたものを参考にして、数日で組み上げてみましたけど。まだ微調整が必要ですね」

 アッシュの反応は、あくまで淡々と。その偉ぶらない立ち居振る舞いに、女親分も好感を覚えたようです。

「あんたが、海賊王マリスの孫娘だね。いい男なんだから、彼氏をちゃんと捕まえときなよ」
「言われなくってもね」

 マリカも少々、慣れてきたのか。アッシュの腕にぎゅっと抱きつくアピールをして、純情な勇者様を照れさせました。

邪魔をしないで下さい。商売の話をしているんですから。
ちっ。もっと高く引き取ってくれても良さそうなのによ。

 シャルロッテがひとり、館の中を歩いていると。何やら商人と価格交渉をしている海賊を見つけます。気になって物陰から様子をうかがってると。

「あ! それルーズソックスでちね。シャルロッテちゃんが買いまちゅ!」

 テーブルに珍しいものを見つけて、いきなりふたりの間に割り込みます。リメイク版ドラクエ3に、こんなものあったんですね。

「なんですか、あなたは?」
ヴェニスにすむびしょうじょ、シャルロッテちゃんをしらないでちか?」

 はてな、と考えこんでた商人の顔が、次の瞬間真っ青になります。

「もしや、エジンベア城に殴り込みかけた冒険商人の!?」
「おおっ、あんたにならタダで譲るよ」
「ま〜ま〜、これ取っとくといいでちよ」

 シャルロッテたちのウワサは、ここサンパロの海賊にも知られていたようです。
 ところで、足の短いシャルロッテがルーズソックスを購入してどうするつもりだったんでしょうか?

「マリスしゃん! これおみやげでち」
「ナニコレ!?」

 後日、ルーズソックスにミニスカ姿でイメチェンした海賊少女マリスの姿が見られるようになったとか。

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