知っているようで意外と知らない   ~正しい神社のお参りの作法~

パワースポットに限らず、初詣、合格祈願、安産祈願、あるいは厄除け、そして旅先などで、神社を訪れる機会は少なくないと思います。あなたはどのようにお参りをしていますか?そして、その作法はどうやって学んだのでしょう?


おそらくどこかできちんと教えてもらった、というよりは、家族や他の参拝客のお参りの作法を、見よう見まねでやっている、という人が多いのではないかと思います。そして、ときどき「あれ、お賽銭と鈴はどのタイミングだっけ?」なんて、拝殿の前でちょっとオロオロしているときがあるかもしれません(笑)。


しかしせっかくお参りに行くのなら、正しい作法できちんと参拝して、しっかりと神様のお力をチャージして頂きたいと思います。


では、神社参拝の作法について順をおって説明しましょう。
神社は自然と調和しています。森や林に囲まれているところが多いですし、たとえビルの谷間にあったとしても、境内には必ず社殿を囲むように樹木が植えられています。そんな神社の入り口が鳥居です。鳥居は神域への関門であり、神域を象徴するもの。よその家へお邪魔するとき、玄関できちんとあいさつをするのと同じように、衣服を整え、軽くおじぎをしてくぐるのが礼儀正しいやり方です。


まずは手水舎(てみずや)へ向かいます。手水舎には、清水をたたえた手水鉢と柄杓(ひしゃく)が用意されています。これは神前に向かう前に、心身を清めるための水。手水鉢に彫られている「洗心」という文字は、「食事の前に手を洗うのとは違います。ここで霊魂を清めるのですよ」ということを表しています。

以下は、手水の使い方です。
1右手で柄杓を持ち、汲んだ清水を左手にかける。
 2柄杓を左手に持ち替え、右手を清める。
3柄杓を再び右手に持ち替え、左の掌に水を受けて、口をすすぐ(柄杓に直接口を付けてはいけません)。
4口をすすぎ終わったら、口を付けた左手にもう一度水をかけて清める。
5柄杓を立て、柄杓の柄に水を流してから、柄杓を伏せて元の位置に戻す。

手水を済ませたら、清々しい気持ちで神前に進みます。正中(参道の真ん中)は避けて進みましょう。正中は、神様がお通りになるところ、と考えられているからです。


 神前に進んだら、まずはお賽銭を捧げます。お賽銭は、神様にお願いごとをするための料金ではなく、お祓いの意味を持つ伝統的な作法の一つ。自分の誠意を具体的に表す捧げもので、かつてはお米が用いられていました。もちろん投げ入れるのは、マナー違反です。そっと置くように捧げてください。


 次に綱の下がった「懸鈴(かけすず)」を鳴らします。鈴の音は昔から「サヤサヤと鳴る」と表現され、「神様の声を表す」とも言われる、清々しく神秘的なもの。鈴の音を通して、あなたを守っていてくださる神様やご先祖様を思ってください(鈴は必ず鳴らさなければいけない、というものではありません。混雑しているときなどは、省いても問題はありません)。
そしていよいよ参拝です。


 このときも拝殿の中央ではなく、真ん中よりちょっとずれた位置に立つようにします。まずは背中がほぼ平らになるまで、約90度の拝を2回行います。これを「再拝」と言います。誠意をこめれば一度でもいいのではないか?という人もいますが、お願いをするときや深い感謝を伝えるときには、人間同士でも何度も頭を下げますよね。それと同じです。


 それから祈りを込めて胸の高さで手を合わせ、右指の先を少しすり下げます。そして拍手。清々しく、晴れ晴れと、2回打ち合わせます。そして両指の先をもう一度揃えてからゆっくりと下ろしてください。


 ここで長々と手を合わせて、あれこれと具体的な「お願いごと」をしている人も多いかと思いますが、神様への参拝は、基本的には「感謝」の祈りです。神様はお願いされたから見守っているわけではなく、いつでもあなたを見守っています。だから、そのことへの感謝の気持ちでお参りをすることが大切です。


 そして最後にもう一度、ていねいに頭を下げ、神前を下がります。
この一連の動作は、「二拝二拍手一拝」と覚えてください。どうでしょう?それほど難しいことではないと思います。

心がこもっていれば形はどうでもいいではないか、と考える人もいるかもしれません。しかしこれは、私たちの祖先によって培われ、長い長い年月にわたって受け継がれてきた清めと祓いの作法です。作法通りにきちんと行うことで、これまでよりももっと清々しい、晴れ晴れとした気持ちになると思います。ぜひ覚えて、実践してみてください。


そしてお参りを終えたら、しばし神々しい神社の森とその静寂に抱かれてください。神社はいつもあなたにやすらぎを与えてくれる、やさしい自然と静けさに満ちた場所、そしてあなたを見守ってくれる神様の腕の中なのです。


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