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機械工学科に入る前に知っておくべきこと 2/3 〜4大力学を学ぶ準備〜

こんにちは。イノカドです。

多くの方は、4大力学と聞いて、学ぶべき力学が複数種類あることにびっくりされたかもしれません。

でも安心してください。4大力学はあくまでも、高校物理の延長線上にある学問です。相対論や量子論のように一から勉強する必要はありません。

4大力学を理解するためには、高校物理で習ったニュートンの3法則・エネルギー保存則/運動量保存則などをきちんと理解していれば問題ありません。

理解度の目安としては、高校物理の教科書の力学の範囲を読んでつまづかなければ大丈夫です。

1. 高校物理と4大力学の違い

高校物理では、物体を点として扱っていましたが、4大力学ではこの近似を取り払い、2次元や3次元の大きさを持った物体として論じます。
このように、4大力学は高校物理を拡張した学問なのです。

大まかに概要を説明すると、機械力学と材料力学は、個体の振動や変形を論じる学問で、熱力学と流体力学は、気体や液体が持つエネルギーや輸送現象について論じる学問です。

2. 4大力学が使われる場面

4大力学をフルに活用する場面としてわかりやすい例は、自動車エンジンの設計が挙げられます。自動車エンジンはピストン内で、ガソリンと空気を混合させた気体に点火し爆発させ、そのエネルギーを回転運動に変える機械です。

4大力学がどう使われるかをざっくりと説明しますと、熱力学は、エンジンの効率を上げ燃費を向上させるため、流体力学は、エンジン内の気体の流れを効率化させるため、機械力学は、回転運動の際に生じる振動をコントロールするため、材料力学は、爆発の衝撃に耐えられるのか等、使用する材料の強度が十分かを計算するために用いられます。

長々と語ってしまいましたが、要するに4大力学は機械設計の際に必要となると言うことです。

3. 4大力学を学ぶための準備

ここまで、4大力学の有用性をお話しました。
説明が拙くて恐縮ですが、皆さんがこれらの力学に興味を持つきっかけになれば、一機械屋として嬉しい限りです。

さて、ここで残念なお知らせです。

もしかしたら、いざ!4大力学を勉強しよう!と思った方がいるかもしれませんが、初手で4大力学に突撃することはおすすめ出来ません。

残念ながら、高校物理の知識と4大力学の間には、知識の崖が存在するからです。

その崖とは、剛体力学と呼ばれる力学です。下の図を見て下さい。熱力学以外の4大力学と高校物理の間に ”剛体力学” が挟まっていることが分かると思います。

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4. 剛体力学とは

剛体力学とは、質点の力学と呼ばれる力学を2次元や3次元に拡張した力学です。

高校物理では物体を点だと近似しています。大学受験で物理の勉強をした方にはお馴染みのフレーズだと思いますが、問題文に ”ただし、物体の大きさは無視する。” とか、”滑車の重さは無視する。” などが出てきたと思います。

このように、物体を”点”として扱う力学が質点の力学です。

現実の世界の物体にはもちろん大きさがあるので、実際の物体の運動を計算するには、質点の力学では力不足です。

そこで、物体の大きさをきちんと考慮に入れるため、質点の力学を2次元や3次元に適用できるよう拡張した力学が剛体力学なのです。

剛体力学は4大力学を学ぶための、基礎知識となります。そのため、学部1年生では、物理基礎として剛体力学を学ぶことになります。


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