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読書メモ:国際セクシュアリティ教育ガイダンス①

前回はこちら

国際セクシュアリティ教育ガイダンス(https://sexology.life/world/itgse/)

を読み、個人的に感じたことをまとめました。
今回は、5-8歳向け第1章:関係性について。

家族

1.概要メモ

・さまざまな家族の種類について理解し、尊重を表現する方法を学ぶ
・家族のメンバーにはそれぞれ異なるニーズや役割があり、さまざまな方法でお互いを大切にしていることを理解し、自分はどんなニーズや役割をもっているかを認識する
・家族の中でのジェンダー不平等が各メンバーの役割と責任に与えている影響を認識し、自分自身の役割や感じ方について考える
・家族の価値観が子供の価値観に影響を与えることを知り、自分自身の価値観を表現する

2.感想

さまざまな家族の形を知ることは必然です。保育園幼稚園や学校に通えばいろんな家庭の子がいる。
でもそれはそういうものだと理解するだけで充分だと思います。無条件に尊重することが正解とされるような書き方に違和感を覚えました。

また、家族におけるそれぞれの役割を考えるのに"ジェンダー不平等"が前提になっていることに危うさを感じます。
その役割は、ジェンダー云々ではなく個人が選んで責任を負うべきものです。『男』『女』ではなく、その環境の中で『私』が選択した役割を担っているはずです。

自分がやりたいことと求められる役割にズレが生じる理由に"ジェンダー不平等"を持ち出したところで何も進みません。
まずは端的に『己の能力不足』だと認識した上で対策を考えるべきだし、ズレを小さくするには相手と折り合いをつける必要もある。

なにより共同体において、皆が皆やりたいことをやっていたら成り立たないことも出てくるでしょう。
適材適所や得手不得手を加味した結果、自分がやりたかったことを自分より優れた人が請け負うなんてのは当然の成り行きで、それを無視した振る舞いが可能なのは『特権をもった強者』でしかない。

友情、愛情、恋愛関係

1.概要メモ

・友達とは何かを知り、性別や障害・健康状態などに関わらず多様な友情を築くことができることを学ぶ
・友情とは、信頼・共有・尊敬・共感・連帯に基づくものだと理解し、それらの方法を知ることで友情を構築する方法を考える
・人間関係にはさまざまな種類の愛情が含まれていること、そしてその表現方法を学び、友情の中で愛情を表現できるようになる
・健康的な関係性と不健康な関係性があることを知り、健康的な友情を育み維持する能力を手に入れる

2.感想

友情なんて水物なので、"信頼・共有・尊敬・共感・連帯に基づくものだと理解"する必要なんてこれっぽっちもないと思います。
むしろ"多様な友情を築く"ための障害にすらなるのではないか。それらを理解できない人に友達はつくれませんか?それらを理解した上で友達をつくりましたか?友達のいない人はそれらを理解できない人ですか?

もっと適当でいいですよ。
おはようが言えたら友達、ぐらいのマインドでいい。こんなところでいらんハードル上げなくていい。マニュアルじみた友情こそ窮屈でやりきれない"不健康な関係性"になってしまう。

寛容、包摂、尊重

1.概要

・他人を公平・平等・尊厳・尊敬の念をもって扱うことの意味を知り、すべての人は個性的で価値ある存在であることを認識する。
・人をからかうことは有害であり、尊敬と敬意をもって扱われる権利を誰もがもっていることを知る。他者に寛容さ・包摂・尊重を表現する方法を学ぶ。

2.感想

蔑み蔑まれるのが世の常だと思っているので、道徳的だな…という感想しかわきません。
言わんとすることは理解できます。ただ実践的じゃない。それに、そういう社会を求めていくことで社会自体が立ちゆかなくなる危険性を孕んでいるとしか思えない。
寛容さ・包摂・尊重を誰に対しても表現できますか?自分と相容れない、むしろ自分を傷つけてくるような相手でも?

不寛容でいい、包摂性を持てなくていい、不快な相手は蔑んでいい。ただし目を背けずにちゃんと見て。見てもないものを馬鹿にしないで。
目を閉じたまま"尊敬と敬意をもって"他人と接する行為ほど、有害なものはない。

長期的な責任ある関係と子育て

1.概要

・「家族」と「結婚」の概念を理解し、結婚するためのさまざまな方法を学ぶ。
・さまざまな家族構成や結婚のしかたがあることを知り、それぞれが価値のあるものであると認識する。

2.感想

これまたジェンダー味漂う文面…

さまざまな選択肢があることよりもまず、『子を作り育てていくことは素晴らしいことだ』というスタンダードを伝えてほしいと思います。
そのうえで、個人的な事情でそれができない人もいることや、あえてそうしない選択の自由もあることを知っていけばいい。
家族は子を育てるための共同体、結婚は家族になるための制度。子供がまず知るべきはこれが最初だと思います。

まとめ

正直、これを学校の授業で…と思うと気が重い。
一言で言えば『みんなちがって、みんないい』のでしょうが、そこに『それを理解できない人』は存在しないのです。

「バカ」はチクチク言葉だから言ってはいけない、と学校で習うそうです。バカにバカと伝えて何が悪いのか、言わないほうがかわいそうだろと考える私のような者は『みんないい』の中に入れてもらえない。バカみたいじゃないか。

1章だけでもうお腹いっぱいです。
(全8章ある)

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