見出し画像

一姫二太郎という圧力

私が初孫として生まれたとき、父は遠方に住む祖父母へ電話で報告した。
最初に出た祖父は、開口一番「男か女か」と聞いてきたそうだ。祖父は男の孫が欲しかったので、女だと判ると「そうか…」とあからさまにがっかりして祖母へ受話器を渡した。
数年後、弟が産まれたときは狂喜乱舞し、なかなか受話器を離さなかったらしい。

というエピソードを、何度となく聞かされた。
とはいえ、私の名前を画数最強に仕立て上げてくれたのは当の祖父だし(結婚して平凡になってしまったが)、なんだかんだで愛されていたのだとは思う。

祖母は「一姫二太郎で良い孫だ」と言った。
もし弟が妹だったら、もうひとりいたのだろうか?
もし私が男だったら、弟は妹だったのだろうか?

*

私が住む地域は、子育て世帯に人気がある田舎だ。
ひとりっ子はほぼ見かけない。ふたり…はそこそこいる。目立つのは3人だ。中には4人、5人と大家族がいたりする。

少子化と云われて久しいが、周囲を見る限り「どこが?」と首をかしげてしまう。
昔は6クラス7クラスあった学年が半減しているので、確実に減ってはいるのだろうが。

さて、我が家はふたりで打ち止めた。
なぜか?大きな理由は、一姫二太郎だったからだ。
男女両方産めばノルマ達成、のような、そんな空気感がある。息子が腹の中で男の子だとわかったとき、肩の荷がおりた気がした。
もうひとり、という情熱がそこまで湧かなかったのは、ほぼこれが原因だと思う。

3人4人…と続く家庭は、上の子たちが兄弟または姉妹だということが多い。
男の子が続けば次こそは女の子がほしい。
女の子が続けば次こそは男の子がほしい。

お家の跡継ぎ圧とはちがう、共同体の一姫二太郎圧。仕方なく…ではなく、自発的に「次いってみよう!」となる、なかなかポジティブな圧力ではないか?人数が増えるたびにのしかかるプレッシャーと、運要素が強いのは難点だが。

以前、Twitterで女児親が男児親に説教する回があったが、男児女児親があまりいない地域なのだろうか。

すんませんけど男の子をお持ちの親御さん、「他人に不用意に近付いたり、じろじろ見たりするのは失礼だからやめなさい」とお子さんに繰り返し教えて頂けませんか?

https://togetter.com/li/2107510

中学受験?なにそれ地方民ならではの文化なのかもしれない。
性別関わらず、ポンポンこさえる猛者(選ばれし母たち)もいらっしゃるので、「圧」といってもうっすらしたものかもしれない。

ただ、確かにあったのだ。肩にのしかかる何かが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?