カレーライスを食べるときはこんなことを思い出すけど――

　同じくらい好きなラーメンを食べるときにも、頭をよぎることがる。

　20年近く前の一時期、大好きでよく通っていた職場近くの店でのこと。ほぼ毎回、昼どきの混みあう時間帯が過ぎた2時くらいに行っていたので、店主が雑談につきあってくれることが多かった。

　あるとき、私は気になっちゃうのでそうしてるんですけど…と話してくれた小さなこだわり（？）が、チャーシューはあらかじめ切り分けておかず、客に出す直前、盛りつけるときに盛りつける分だけ、その都度切る、ということ。

　事前に切り分けておくと、きちっとラップなどをしてトレーやバットに入れておいても、酸化？ して独特の臭み（という表現をその店主はしていたと記憶している）が出てしまうから、らしい。

　たまに"偵察"を兼ねてよそへ食べに行っても、自身のようにしている店は少ないようで、申し訳ないけど残してしまうこともあります、と苦笑していたのを思い出す。

　調理中の様子が見える店では自分もチラチラ気にするようになったが、待たせる時間をなるべく短くするためもあるのか事前に切り分けている店が多いように見受ける。

　まあしかし、切り分けていることがわかったとしも、残してしまおうと思うほどの違和感を抱いたことは、幸か不幸かない。

　自分はその違いがわかるほど繊細な味覚や嗅覚の持ち主ではないんだな、という事実に苦笑したことを、ついでに思い出している。