前田日明の述懐

今月の「KAMINOGE」に前田日明が出ている。
訥々と、いろんな話をする。

前田が旧UWFから新日本に戻ってきた頃、地方大会のあとで猪木に呼ばれて酒を飲んだ。
倍賞美津子もそこにいた。
そこで前田は猪木からあることを言われ(本誌で確認してください)、それにカチンときて言い返した、という。

「けれど60歳を過ぎた今になると、なんであのとき猪木さんがそういう話をしたのか、わかるような気がするんだよ。
要は猪木さんは自分に心を開いてそういう話をしてくれたのに、当時の自分はそれに気がつかなかった」

猪木が亡くなって、最後のお別れの場に呼ばれた藤波辰爾は、猪木が寝ている部屋の前でずっと中に入れず、立ち尽くしていたという。
意を決して部屋に入った藤波は眠る猪木を見て、それから頭を触った。
猪木の付き人だった新弟子時代、藤波は風呂場で毎日猪木の頭を洗っていた。
亡骸を前にして、藤波はずっと猪木の頭を触っていたという。

「肌が合ったんだろうね。藤波さんと猪木さんは。
今は『肌が合う』って言わないじゃん?
他人と関わりたがらないから。
けど、俺らの時代は、そういう『この人のために命を投げ出す』みたいな関わりが、まだあった。
もう、そういうのはないかもね」

こういう文章を読むために本を読んでるような気がする。

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