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1.10ドラゴンゲート後楽園大会雑感

望月マサアキデビュー30周年記念大会を見に久しぶりのドラゴンゲート。 

前回見に行ったときにどんな試合があったか欠片も覚えていないが、ナチュラル・ヴァイブスがダンスを踊ってたのだけは覚えている。
彼らの結成が2018年5月らしいので、てことは6年くらい前なのか。

だいぶ選手が入れ替わって、メインどころに出てるのも名前しか知らない選手になってたのでその空白を埋めにいったところもあるのだが、団体テーマ曲がアレンジこそされていたものの昔と変わっておらず、この団体のレガシーはこのテーマ曲だなあと思った。
「みちのくプロレスのテーマ」と並ぶ、歴史に残る名曲だと思う。

現行バージョン

旧バージョン こっちの方が好き


1、ルイス・マンテ、豹 vs Kagetora、田中良弥

現ドリームゲート王者のルイス・マンテ、現ブレイブゲート王者の豹が第一試合。
すごいなー。
新日本プロレスで言えば第一試合にIWGP王者の内藤とGLOBAL王者のデビット・フィンレーが出てるようなもんだよ。
相変わらず試合順の「格」がない。

豹はイメチェン前にどこかで見た記憶あるが、全然変わりましたね。
ボーンソルジャー石森と棚橋弘至を足して2で割ったようなキャラクターになっていた。
初見のマンテ、大きいのにあんな動けるのは見事。
チャンピオン貫禄勝ち。


2、BIGBOSS清水、JACKY“FUNKY”KAMEI vs 望月ススム、神田ヤスシ

試合前にナチュラルヴァイブスがチームでダンス。
DoFixerを思い出すなあ。こういうユニットが一つはあるのがドラゴンゲートぽい。

(参照)

対するM3KはいまだにTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「G.W.D」に乗せてキックボードで入場。
うわまだこれやってるんだ…!と感動する。
いややってなかった期間の方がはるかに長かったのわかってますけど、記憶が冷凍保存されてるところあるので。
てかススムはいつのまに横須賀から望月に名前戻ったんだ。

ベテランの神田とススムが若いKAMEIと清水を相手に「相手のいいところだけを出させる」東京愚連隊みたいなプロレスをする。プロだ。

試合後にマンテ&豹、さらにシュン・スカイウォーカーが入ってきてKAMEIに「うちのユニットに入れ」勧誘合戦、いわゆる花いちもんめを始める。
あーこういうのドラゴンゲートだなあ、と実感する。 


3、オープン・ザ・お笑いゲート選手権試合
《王者》ランジェリー武藤 vs 《挑戦者》ドン・フジイ

「オープン・ザ・お笑いゲート選手権」とは通常のプロレスルールで試合するものの、試合の結果関係なく王座は「試合後の観客の拍手が多い方」のものになる、という過酷な試合形式。
どうせストーカー市川の救済措置みたいに作られたベルトなんだろう、と思ってたが調べると意外に歴史が古く、2007年からあるらしい。 
歴代チャンピオンを眺めると「ジャクソン・フロリダ」とかめちゃめちゃ懐かしい名前が出てくる。なんでCIMAは3回も獲ってるんだ。

現在のチャンピオンはランジェリー武藤…って、いやいやいや二重の意味であなた引退したはずですよね?
なんで普通に出てるんだよ!

あの東京ドーム以来の「HOLD OUT」を聞いてどういう気持ちになっていいかわからないところにランジェリーが獅子舞で入場。
あー正月ぽいね…じゃねえよ!意味がわからないよ。

昔の自分だったら一も二もなく
「武藤ー!戻ってきてくれたんだね!」
とヤジを飛ばすところだが、令和のプロレス観客はヤジにセンシティブで、ちょっとでも異に添わないヤジがあると

「どこそこの団体見に行ったらウケ狙いのヤジを飛ばす中年男性がいて不快だった。もう会場に来ないでほしい」

とか書かれたSNSが余裕で500いいねくらいついてすぐ回ってしまうので、気軽に叫びづらい。
これがコンプライアンス社会というものでしょうか。

謎の巨大ブラジャーが出てきたり、血で血を洗う死闘の末(誇張)、ランジェリーが防衛。
てかフジイさんは本当にこのベルト欲しかったのでしょうか。
ランジェリーさんにはぜひ次期挑戦者として勝手に新日本のリングに上がってもらって
「内藤!俺の最後の相手、おまえに決めた!」
と言ってほしい。


4、ウルティモ・ドラゴン、パンチ富永 vs KAI、ギアニー・ヴァレッタ

2024年にドラゴンゲートでウルティモ・ドラゴンを見られるなんて感無量、しかない。
しかし「セパラドス」を聞いてももはやサスケの鳥を絞め殺すような美声バージョンが脳内でリフレインするようになってしまって、純情だった私の青春を返してほしい。
「江刺~」

で、なんでここに数年前まで全日本プロレスに出てたギアニー・ヴァレッタが出てるのか謎だった。
地中海に浮かぶマルタという島国の出身なんだよね。
マルタ初のプロレスラーということで東スポとかには「マルタの力道山」と紹介されてたが、おそらくそんな呼ばれ方されるの日本だけだと思う。
相変わらず観客の安全を気にしながら小ぶりにチェーンを振り回す、マルタ安全ブロディみたいな入場をしていた。

派手な場外乱闘のあと1分半くらいで富永を圧殺。
校長に配慮したのか。


5、新春スペシャル10人タッグマッチ
YAMATO、ドラゴン・キッド、B×Bハルク、Kzy、土井成樹 vs 菊田円、ドラゴン・ダイヤ、箕浦康太、Ben-K、ストロングマシーン・J

自分の中では
「このへんなら俺もよく知ってるぞ40代世代vs名前しか知らんけど今この人たちが中心なんでしょ若年世代」
の10人タッグ。
Kzyは37歳だから40代チームと一世代離れてるはずなんだけど、かといって若者世代でもない、微妙な頃合いだね。

みんな華があって、試合のリズムが超よくて、面白い! 
面白いよプロレス!
一週間前に有明で負った傷が見ているうちに癒えていくようでした。
いやこの10人タッグはマジで面白かった。
つーかドラゴン・キッドはこんなに動けて、飛べて、47歳かよ!身体もムキムキだし。動きが全盛期とまったく変わってなくて、むしろ今も全盛期ですごいわ。

ストロングマシーン・Jはあのストロングマシーンの息子さんです。
「ハリケーン・バム」をアレンジした入場テーマ曲だった。
「おまえ平田だろ」とか言わないように。
平田はDDTで「TOKYO GO」を踊る人です。


6、悪冠一色 vs Z-Brats 6人タッグマッチ
近藤修司、大鷲透、菅原拓也(ZERO1) vs シュン・スカイウォーカー、ISHIN、加藤良輝

「悪冠一色」とはまたずいぶん懐かしい名前だな、と思いきやドラゴンゲートの体制が変わってウルティモ復帰以降は何回か呼ばれてるよう。
悪い悪い呼ばれてた人たちも40代になって、フィナンシェで有名な地元の洋菓子店で働きはじめたら先輩社員に「知ってる?うちの社長、昔はだいぶやんちゃしてたって話だよ」と吹き込まれて戸惑う程度に、普段は切々とそれぞれの持ち場で働く中年になりました。
そんな中、彼らが悪さしてたころはまだ幼児だったか、生まれてなかったかくらいの世代である若いZ-Bratsのメンバーに「おまえらなんか知らねえんだよ!」と罵られながら攻撃されてると、これは実に哀愁があっていい。
ということで今のドラゴンゲートヒールチームであるZ-Bratsに押されながら悪冠がやり返す、そんな展開。
今のドラゴンゲートのトップと言われてるシュン・スカイウォーカーに注目して見てたんですけど、不穏さを感じさせるビジュアル&発言とは裏腹にドラゲーでは大柄なフィジカル、華麗な技もやるけど水平チョップとか意外にトラディショナルな打撃で試合組み立てる、不思議な選手でした。
確かに目立つのでどこかでシングル見てみたい。
ISHINと加藤はシュンの脇を支える二人、というところまでしか追いつかなかった。
ちなみにISHINの父親は維新力というプロレスラーです。
この団体、意外と有名選手二世が多い。

大鷲が椅子を持ち出して制止したレフェリーを突き飛ばしたところで反則決着。
DDTばかり見てるので「鷲関…ちょっとどうしちゃったんですか?」という風に見えてしまう。
いや、この椅子のパート以外はDDTで年に数回見られる「真面目な試合をする大鷲」でしたけど。
菅原のコンディションが悪そうでした。
遠目にはそちらの団体がなんかゴタゴタしてるように見えるんですけど、大丈夫でしょうか。早く落ち着くといいですね。

7,望月マサアキデビュー30周年記念スペシャルシングルマッチ
望月マサアキ vs 鷹木信悟(新日本プロレス)

昨年秋に出た望月成晃の自伝「親子でプロレスをやる覚悟。」(ベースボールマガジン社)によると、望月のキャリアでひときわ印象に残る試合が2015年11月の鷹木信悟とのドリームゲート選手権だそう。
この時点で鷹木は不動のチャンピオン、望月は45歳でドラゲーマットの中心にいたわけではなく、王座移動の期待感も薄かった。
加えてこの頃、望月は奥様に大きな病気が見つかり、私生活でも大変な時期だった。
そんな矢先の選手権で「期待されてないなら試合で見返してやる」と考え、今までしてなかったような危険な攻撃を仕掛け、望月自身も危険な攻撃を仕掛けられて、壮絶な試合になった。
後日二人はこんな会話を交わしたという。

望月「あの試合はオマエに殺されるかと思ったぞ」
鷹木「はい、殺す気で行きましたよ。僕も殺されると思ったんで」

望月が長いキャリアで
 「プロレスラーとしての理想像でコイツに敵わない」
と思ったのは鷹木信悟だそうで、鷹木の方も年齢で衰えずアグレッシブに向かってくる望月を尊敬しているフシがある。
かくして望月のデビュー30周年記念試合の相手として、現在新日本プロレス所属になった鷹木信悟が久しぶりにドラゴンゲート後楽園大会に戻ってきた。

試合は今回も壮絶になった。
望月は今月迎える誕生日で54歳になる。階級はジュニアヘビー級だ。
そのレスラーが新日本でヘビー級トップクラスにいる鷹木の打撃、攻撃を食らって、すぐ起き上がって、反撃する。
どうしてこんなに動けるのか、驚異を通り越して訳がわからない。
すごい、としか言いようがない。
こんな動ける五十代ほかにいない…と書こうとして新崎人生が浮かんだ。田中将斗ももう五十になるんだっけ。
優劣つけられないけど、この三人すごいわ。
鷹木もまた新日本でトップ戦線にいるだけあって、メリハリの付け方が抜群だった。
あの「キタキタキター!」で空気変えるの素晴らしいね。
文句なく令和六年のベストバウトだった。1/10現在。

試合後の望月は起き上がれないくらい疲弊してたがちゃんとその状態からマイクで30周年にあたって選手、関係者、親、家族に感謝を述べ、対戦相手として来てくれた鷹木に感謝を述べ(望月に声援が集中するのわかってた上で出てきたと思う)、明日も試合あるので見に来てください、と締めた。
プロレスラー以前に社会人としてちゃんとしてすぎる。

ドラゴンゲート楽しかったなー。
たまに見に行きたい。


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