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『「米中激突」の地政学 コロナが覇権争いを加速する』地政学は面白い(環境研究)

 茂木誠さんの世界史解説書が面白いので、この連休に数冊読んでみることにした。

 世界史を地政学で考察すると、「ランドパワー(大陸国家)」と「シーパワー(海洋国家)」の歴史として見ることができる(ハルフォード・マッキンダー)。そして、「既存の覇権国に新興国にチャレンジするとき戦争が起こる」という「トゥキディデスの罠」には、歴史法則的に覇権争奪戦はチャレンジャーに不利という傾向があるという。

 本来「シーパワー」である日本は、日英同盟で同じシーパワーの英国と手を結び、英国の尖兵となって日露戦争を戦い、第1次大戦でも連合国で同盟国と戦い勝利した。この勝利が長州閥の海軍力からもたらされたことから、長州閥の発言力を増し、日英同盟が解消された。そして、昭和恐慌を得て、中国大陸に深入りし、シーパワーのアメリカと敵対。さらに、ここでシーパワーの日本は、異質なランドパワーのドイツと手を結んでしまい、シーパワーの英国から平和的には覇権交代されたアメリカと戦うことになってしまった。

 シーパワーの国とランドパワーの国には、以下の性格の違いがある。

 シーパワーは、個々の商人の才覚に依存し、ビジネスや商売からの利益が国家を支えているので「どうあるべきか」というイデオロギー(観念論)より、どうすれば得するか」という経験論、経済合理性を優先する傾向がある。

 ランドパワーは、国内権力の維持そのものが自己目的化し、「経済の論理」より「政治の論理」、イデオロギーが優先され、個人の自由意志は抑圧され、そのためには経済発展が犠牲になっても厭わないという傾向がある。共産主義イデオロギーを採用した国のほとんどがランドパワーで、シーパワーの国には根付かなかった。

 したがって、現在の米中対立は地政学的には、シーパワーとランドパワーの対立を「既存の覇権国に新興国にチャレンジするとき戦争が起こる」という「トゥキディデスの罠」で考えると、挑戦する側(中国)が不利ということになる。 

 いずれ、地政学の祖と呼ばれるハルフォード・マッキンダーのハートランド理論についても学んでみたいものだが、歴史の法則からすると、グローバル企業は中国かアメリカかの二者選択を迫られた場合、日英同盟同様に、シーパワーのアメリカとの連携が歴史から学べんだ選択、ということになる。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。