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『シンクロニシティ 科学と非科学の間に』科学と非科学を分けて考えない方がいい(異なる資質をもつ人のペア)

 創造性は異なるものの組み合わせから生まれるということを、はっきりと知ることができる1冊だ。

 アインシュタインの相対性理論によれば、光の速度より速く動くものは存在ない。しかし、遠く離れた粒子が相手のスピン状態に反応して瞬時に変化する量子の事象は、われわれの理解を超えている。アインシュタインはこの量子の動きを幽霊のような遠隔作用だとまでいっている。
 この量子同士の共時性は、シンクロニシティと呼ばれている。原因があって結果があるという因果律でなく2点間の結びつきを超えたシンクロニシティは、心理学者であるユングと科学者であるパウリとの接点から生まれた。

 ユングの患者がコガネムシの夢を見たことを語っているとき、ユングの背にある窓でコガネムシが中に入ろうとしていた。このような非現実的な出来事を意味のある偶然の一致(シンクロニシティ)と、ユングは名付けた。このことと、量子力学における量子のもつれは共通性があると、ユングとパウリは『自然現象と心の構造』を発刊した。この共著は、ユングによる「シンクロニシティ:非因果的連関の原理」とパウリの「元型的概念がケプラーの科学理論に与えた影響」という2つの論文で構成されている。まさに、創造性は異なるものの組み合わせ、異なる人のペアから生まれるのである。

 シンクロニシティは、期せずして幸運な発見をするセレンディピティとは違う。単なる偶然の一致でもない。立証でき再現できることが科学であるとしたら、それ以外は非科学と考えることも重要だ。しかし、創造性という観点から考えると、科学と非科学は区別しない方が、新たな科学の仮説が生まれるのではないだろうか。そう考えれれば、物理学だけでなく、生物学でも、化学でも、宇宙論でもパラダイムシフトをもたらすのだろう。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。