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『みんなちがって、みんなダメ』イスラームの本質を垣間見ることができる(世界の歴史)

 筆者はカリフ制を最善だとする考え方をもつイスラム法学者だ。したがって、日本に起きている現象を日本人の視点から捉えるのではなく、イスラームの冷徹な視点で捉えることができる。タイトルもそうだが、「バカ」が連発するので、感情的になる人もいると思うが、書かれていることは日本人の発想からは生まれないユニークさがある。
 今後の日本は人口減少社会に突入する。そのため日本人の視点のものを見る習慣だけでなく、他者の視点からものを見る習慣を身につけた人のみが成功者になれると考えてもいいだろう。そういう意味で、本書は貴重な存在だ。

 承認欲求のルーツはカトリック教会の告解制度から生まれたという。親からの承認を求める本能的な欲求を、毎週日曜日に「赦してやる」とする告解の制度に強化したという承認欲求の捉え方は、イスラームならではの視点だ。イスラームにとり、世界を作ったのは神であり、世界が存在しているとうことは神の存在証明と捉えることは自然な考えだ。したがって、私たちのすべては、神から承認された存在であるという前提条件があるのである。

 このように、信仰の世界では承認は神から与えられるものだが、経験的な世界では親の子育てから育まれる。これが成功すれば肯定的な世界観をもつことができ、そうでない場合、生きづらさを感じるようになってしまう。
 さらに信仰をもっていると、承認欲求は不要になる。なぜなら、前述したように神に承認されているからだ。これが一神教の特徴だと筆者は言う。そういう意味で、一神教からすると神の存在のない仏教は宗教ではなく、哲学だということになるのだろう。

 今の若者はわからないものに向き合うことが苦手だという意見もよくわかる。わからないものの存在、答えの導き出しにくいものの存在が、他人のことなどわからない、自分のことも他人に理解されることなどありえないという考えにつながり、コミュニケーション障害は起きにくくなる。わかることだけを教育すると答えがあるがゆえに、何も考えなくなり、バカになると筆者は言う。

 イスラームでは才能も知識のすべては、神からの預かりもので、それを正しく使わないと地獄に行く。最後の審判で与えられた能力を何に使ったかと問われ、正しく使っていれば天国に行けるとされる。

 賢い人間とは、次の3つのこと知っているという。

  1. 何をしたいか(快感原則)

  2. 何ができるのか(現実原則)

  3. 何をすべきか(超自我)

 善悪があるからこそ、すべきこととすべきでないことがはっきりする。善悪の判断基準は神のみにある。したがって、一神教の信仰がなければ、「何をすべきか」という問いには答えられない。同じ一神教のキリスト教でいうと、使命(ミッション)ということなのだろう。日本人の勤勉に働けばなんとかなるという考えとは根本的に違う。

 私には一神教の信仰はないが、自分にあてはめて考えてみると、次のようになる。

  1. 私が天国にいる糸川英夫さんとペアシステムでやりたいことは、国内外のあらゆる層の人たちに、現在のニードに合わせてCreative Organized Technologyをわかりやすく伝えること。それだけのシンプルなミッション。

  2. 糸川英夫著作一覧の一冊一冊を現代のニードに合わせて最構築し再出版する。とりあえず、 『驚異の時間活用法』は『仕事を減らす』となった。 

  3. 経歴に「60代の現在はCreative Organized Technology LLCのGeneral Manager」と新しく書き入れたのは、残りの人生を、糸川さんが残した宿題に向き合うことにしたからである。

 こうやって整理できるので、賢い人間だといいのだが…

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。