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『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』2020年ロシア・ドイツ・ベラルーシの合作(世界の歴史)

 まずこの映画が、2020年製作のロシア・ドイツ・ベラルーシ合作だということに注目したい。監督はウクライナ出身だ。今では考えられない組み合わせだろう。

 ナチス親衛隊に捕まったユダヤ人青年は、処刑される寸前に、自分はペルシャ人だと嘘をついたことで一命を取り留めた。終戦後にテヘランで料理店を開く夢をもつ収容所の大尉からペルシャ語を教えるよう命じられ、デタラメの単語からペルシャ語を教えたからだ。

 ユダヤ人青年は収容者の名前から作り出した偽ペルシャ語の2,840語という架空単語を作り出し記憶したのだ。結果、映画の終盤でナチスが不利になり、大尉がテヘランに逃げようと空港で偽造パスポートを見せ、偽造ペルシャ語が通じないシーンは滑稽だ。一方、収容者の名前をベースに単語を作り出したため、連合軍に助けられたとき、2840名の名前を列挙することができた、というシーンは説得力がある。

 皮肉なことに、旧約聖書はペルシャ帝国がユダヤ人を統治していたころ、ペルシャ帝国の高級官僚でユダヤ人司祭(学者)だったエズラがユダヤ民族の信じるものをまとめよ、と命を受けて編纂したものだ。(現在のイランが旧約聖書の生みの親で、キリスト教におけるローマ帝国の役割と同じ)
 また、アケメネス朝ペルシャのキュロス2世がバビロンを征服したとき、「バビロンの捕囚」となっていたユダヤ人を解放した。ユダヤ教の聖典である旧約聖書にはキュロス大王は「解放者」として讃えられていることからも、ペルシャが一人のユダヤ人を救ったことに歴史の因縁を感じる。

 この映画が事実をベースにしたノンフィクションだからこそ面白いと感じるのではないだろうか。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。