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日本人海外赴任者にも波及する?!(環境研究)

 このようなことは、日本人海外赴任者にも波及するのではないかと、本書を読んでみた。著者は北京出張の最終日にタクシー乗車した際に北京市国家安全局に拘束され、居住監視(実質上の監禁)が7ヶ月続いた。

 中国政府の外交官と北京で会食した際の会話が原因だったようだ。この会食の直前に故金日成の娘婿、張成沢氏の側近2名が処刑され、張氏の行方もわからないというニュースが日本の新聞に掲載されていた。会食時にそのことを中国政府の外交官に尋ねたところ、知らないと答えがあったというやり取りが原因だ。中国国営新華社通信が報じていないことを知っているということからのスパイ容疑だ。7ヶ月の居住監視の後は、正式な逮捕となり、身柄を北京市国家安全局の拘置所に移された。懲役6年の実刑判決となった。

 筆者は学生時代に日中交流への熱い想いが芽生え、中国で日本語教師として働くことになった。小渕恵三首相の基金をベースに日中青年交流協会を設立することになった。中国の魅力を伝えるための活動を行ってきたにも関わらず、スパイ容疑で拘束されてしまったのだ。

 外務省によると2015年6月以来、日本人17人が中国当局に拘束され、うち5人は起訴に至らず帰国。1人は拘束、1人は逮捕勾留。残り10人は懲役3年〜15年の実刑が確定し、3人は服役中、一人は死亡、6人は刑期を終えて帰国した。2023年のアステラス製薬の社員の拘束にあるように、いつどこで誰に拘束されるのかわからないというリスクを日本人海外赴任者は背負っている。しかも、本書にあるように一旦拘束されてしまうと、日本の大使館も当てにならず、他の民間機関では手も足も出ないのが、中国政府だ。
 ビジネス上のこれらのリスクに加えて、景気減速も激しい中国ビジネスの今後はどうなっていくのだろうか。少なくとも日本人海外赴任者の中国赴任は避けるべきではないだろうか。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。