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『「超」整理法 情報検索と発想の新システム』野口悠紀雄さんが思いもつかない効果的な方法がある(技術情報バンク)

 佐藤優氏が『生きる知恵が身につく本』として、『超整理法』を上げていたので、読んでみた。

 著者の野口悠紀雄氏は図書館における情報整理法、つまり、整理を分類する方法では「分類できない」としている。「象は鼻が長い」という日本語文法論の本が、書店の童話の棚に入れられてしまっていることや、夜寝る間を惜しんで整理し、ついに資料を読む時間をさえ削って資料整理に励む整理マニアの例や、仕事の変化から分類項目が固定できない欠点など、情報の分類は不可能なんだとしている。

 結論として、すべての情報を時間順に並べ、時間軸をキーとして検索を行う方式を提案している。「分類せず検索する」が「超整理術」で、それは整理革命と断言している。具体的には、角型2号の封筒(A4の書類が入る)に書類を入れ、封筒の右肩に日付と内容を書き、封筒を縦にして、内容のいかんに関わらず、本棚の左端から順に並べていく。右肩には色別識別マークにより区分し、新しいファイルと使ったファイルを常に左に置くと、右側には使わない「神ファイル」が押し出されることになる。不要になったファイルは随時捨てる、という運用をするだけ。数年間に1度も使わないファイルは右側に集まるので、論文のコピーや、名簿、使用説明書、保証書などがそこに集まることになる。
 そして、名刺の超整理法や、本棚超整理法、パソコンでの超整理法などが紹介されている。

 1993年の本なので「How To」の解説が古いこともあるが、超整理術を超える野口悠紀雄さんが思いもよらない整理術をまとめてみたいという願望に変わった。ただし、ゲーテやトルストイが立ち机で原稿を書いたというエピソードは参考になった。足に刺激を与えると精神的な活動が活発化することは、経験的に散歩時に思いがけない発想を得ることからも納得できる。こういう不易な部分と、現在のデジタルを活用する方法論のニードは、可処分時間を有効活用する意味でも高い。しかしこの本が、「生きる知恵が身につく本」なんだろうか、という疑問は残ったままだ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。