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留学体験記(15) in イギリス

Leicester 大学での医学英語留学に参加して
千葉大学医学部 5 年 國富美由 


私は英語に対する苦手意識がとても強い。留学の報告書の冒頭でこんなことを言っていて大丈夫かと、 自分でも不安になるが、苦手意識が強い故、大学に入ってから「留学をする」ということを検討したこと は全くなかった。
きっかけは些細なことで、ただ説明会の部屋に入ったことだ。私はただ仲が良い友人と話すためだけに 教室に入り、留学説明会が始まる前に退室するつもりだった。いざ退室しようとすると、 「いや、美由も聞いていきなよ!」
と言われて、そのまま説明会に参加する流れに「なってしまった」のである。ただ、直感というものは不 思議なもので、今年度から始まる Leicester 大学での医学英語留学の案内を見た際(あ、これなら挑戦出 来るかも)と留学を決意した。1 月から始まる臨床実習については、留学の間の診療科は再履修になって しまうのも事実だった。しかし今を逃したら、今後留学をする勇気なんて出ない。行け、行ってこい!私 の直感は、そう私を鼓舞した。
その場の勢いで留学を決めてしまったはいいものの、立ちはだかる山は多かった。中でも、最後に突如 現れた山が最も強敵だった。新型コロナウイルス感染症である。私たちの出発は 2020/03/01 で、まさに ジリジリと日本がコロナウイルスに侵食されている真っ只中であった。私は、出発当日に入国規制がか かってもおかしくない、現地の人たちに差別されるということもあるかもしれないと不安に駆られてい た。
そんな不安とは裏腹に出国日はあっさりとやってきて、私たちは Leicester に向けて出発した。 Leicester 着すると様々な大学から医学生が参加していることを知った。しかし、コロナウイルスの関係 で学校ごと参加を取りやめてしまったところもあり、参加者は 10 人ととても少なかった。
いざプログラムが始まると、その少人数さゆえ、とても手厚くご指導いただくことができた。内容は英 語での問診やポスタープレゼンテーションといった医師としての基本的なスキルの学習に加え、イギリ スの医療制度についての講義、現地の救急病院の見学といったものもあった。それらの講義の中では、積 極的な発言を求められることも多かったが、人数が少なかったためか先生が学生の名前を覚えてくれて いたこともあり、発言を促してくれたり、先生から話しかけてくれたりしてくださった。また、積極的に 自分の意見を英語で話そうとするほかの参加者から刺激を受け、英語を積極的に使う環境に自ら身を置 くことができたと思う。 


《授業の様子》

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また、この留学プログラムでは Leicester 大学での授業以外にも多くの魅力が詰まっていた。授業を担 当してくださる先生や滞在先の寮長などを交えた懇談会や、Oxford や Cotswolds への Short Trip など もプログラムに組み込まれていた。これらの Short Trip は、イギリスの文化や歴史にも触れながら、と もに留学している学友たちとの友好関係も深めることができ、とても充実したものだった。 


《Short Trip の様子》 

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今回の Leicester 大学での医学英語留学プログラムでは、最終週にポスタープレゼンテーションや英語 での医療面接といった成果発表が課されていた。そのため、懇親会がどんなに楽しくても、Short Trip で どんなに遊んでも、メリハリをつけて授業に参加することができたし、寮で共に留学している人たちと の医療面接の練習や、ポスターの作成などを通じて医学に関する知識だけでなく英語力も向上したので はないかと思う。さあ、来週はテストが多いぞ、みんなで頑張ろうね、と話していた矢先、留学担当の先 生からメールが届いた。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、緊急帰国を命じられるものだっ た。私たちは急な帰国指示にとても驚いたが、今思えばあの時先生が帰国を指示してくださっていなか ったら、私たちは二週間の自宅隔離をすることになっていたと思うと、改めてすごい時期に留学したも のだと思った。
今回の Leicester 大学への医学英語留学は、私にとって本当に挑戦的なものだった。もともと留学意思 が全くなかった私が留学を決意したことも勇気のいる挑戦だったし、新型コロナウイルスの猛威を感じ ながらの海外というものも、これから二度と味わうことのない経験をしたと思う。ただそんな中でも、医 療現場における英語の使い方や英語でのプレゼン方法、英語の話し方や伝え方といったことまで、自分 の五感で学び、自分の英語力と向き合うことができて本当に良かったと感じている。四年生の終わりと いう時期に臨床実習を休んででも留学することを許して
くれた両親や、背中を押してくださった稲川先生、そして、
留学期間を通じて自由奔放な私と行動を共にし、支え続け
てくれた千葉大学の学生三人と他大の学生たちには感謝
の意を表したい。 

《千葉大学から参加した学生四人》

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