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地域リーグから来た男がB1で闘って感じていること

はじめに

noteではご無沙汰しております、井上です。
トライアウトではいつも最終選考にも残れず、先に帰らされたり、上で見学どうぞと言われたりしていた僕を必ずプロで活躍できると言ってくれたのは佐賀バルーナーズでした。大学卒業し、発足初年度を地域リーグで闘う佐賀バルーナーズに入団し、今は駐車場のこの場所にSAGAアリーナが出来て満員の中僕はB1で闘うんだなと想像したのが6年前。その後B3、B2そしてB1とチームと応援してくださる方と一緒に少しずつ登ってきました。そんな全てのカテゴリーを経験した僕がB1に初挑戦し、今どんなことを思いながらプレーしているかを自分自身も忘れないように今日はnoteに書いておきます。

まずB1って本当に楽しい

まずミーハーかい!って思われるかもしれませんが、地域リーグ時代よく観ていた会場に行き、プレーを参考にしていた選手と実際に対戦できるのは本当に楽しいです。特に今季ここまでで楽しかったのは、宇都宮ブレックスとの対戦です。地域リーグ時代、『自分がB1へ行ったときに求められるのはディフェンスと3ポイント。ロールモデルは遠藤選手』と考えいつもバスケットライブを観ていました。実際に対戦すると太輝のようなスピードとクイックネスで攻めるタイプのガードからフィジカルなレイナルド、オフボールでスクリーンを使う狩野さんなど誰にでもフィジカルかつクレバーにディフェンス出来る幅広さや、ヘルプディフェンスの距離感、スイッチの後の身体のぶつけ方、オフェンスでのシュート精度やセレクション、自分がノーマークになるカッティングと味方をノーマークにするカッティング、スイッチしたビッグマンとのスピードミスマッチの攻め方など学ぶことが本当に多くありました。負けはしましたが、『B1でこういう学びをしたかった。』と思える充実感のある試合でした。どの試合でもこう言った個人やチームとしての学びがあり、それを成長に繋げていける実感があるのが本当に楽しいです。

憧れるのはやめましょうと言い、全力で闘ったこの試合で学んだことは多かった。


チーム目標『スタンダードを上げる』

ここまで聞くと『ミーハーがB1混ざって浮き足立ってるやん。勝ちに行けや。』と思われるかも知れません。もちろんそんな気持ちでプレーしていません。全ての試合全ての瞬間で勝つために最善を尽くしています。その中でチームが今季掲げている目標のひとつは『スタンダードを上げる』です。最初にコーチがこの目標を発表した時より今はこの意味が深くわかります。
B1で実際プレーしていて、今までやってきたカテゴリーと戦術や選手の能力が大きく違うと感じることはほとんどありません。しかしクオリティに違いを感じることは多くあります。今まで撃てていたシュートが撃てないようなコンテストの速さ、チーム全体の意思が統制されたディフェンスのポジショニング、ボールを持たせないディナイとヘルプディフェンスの連動など細かい部分ですが、チーム全体で徹底されていて、佐賀もその部分で一人ひとり『スタンダードを上げる』努力が必要になっています。

Bリーグトップレベルの組織力を開幕戦から感じれたことはとても学びが多かった。


スタンダードを上げるため今取り組んでいること

スタンダードをあげるため今季から僕はコーチングを始めました。

コーチングとは、コーチがクライアントの目標達成を支援し、より理想的な未来へ導くためのものです。コーチは、相手の意思を「問いかけて聞く」コミュニケーションを中心に行うことで、信頼関係を築きつつ自己開示を後押しします。そして、自己開示を通して気付いた相手が心から望む結果を得られるよう、自発的な行動を促します。

https://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2020/11/post-413.html より

コーチと会話しながら僕の日々の練習や試合での目標や取り組むべきことを明確にしています。そうすることで僕の中変化が起きています。
昨シーズンまで僕は『昇格しなければならない。勝たなければいけない。』という気負いが常にありました。その結果ミスを怖がったり、シュートできる場面でパスを出してしまったり、消極的な選択をしてしまう場面も多くありました。しかし今は全ての練習に個人としての目標を持ち、『スタンダードを上げる』というチーム全体の揺るがないテーマもあります。今季僕は『練習も試合も自分やチームが成長するために挑戦する時間にしよう』と思いプレーしています。
以下は僕のコーチの言葉です。正にこんな風に今季は練習中も試合中もこんなふうに考えています。

「例えばですが、こういう人は“考える軸”を持つことが有効な手段の1つです。自分は何のためにやっているのか、自分はどこに向かっているのか、そして自分は現状どうなっているのか、というのを自分で理解することが必要です。試合前や練習前にも、これら全てを僕と一緒に整理していきます。
あとこういう右脳2次元のスコアが高い人は、調子がいい時はさらに乗るんです。『みんなが自分のことをいいと思ってる』というふうに。でもちょっと調子が悪いと、『大丈夫かな』と不安になる。なので、攻撃面ではこういうプレーをして、守備面ではこういうプレーをするというふうに、できるだけ細かく“具体的に何をするか”を書いてもらいます。また試合前には『明日の試合、確かにめちゃくちゃ大事ですよね。ただ、3年後にあなたが目標に到達するという未来を考えたら、この試合すらプロセスに過ぎない。つまり、試合も練習なんです』ということをよく伝えますね」

こう言う選手には練習の準備では“やるべきこと”と“トライしたいこと”を絶対に書いてもらいます。僕とのセッションを開始する前は、自分の感覚で何気なく『今日はこういうプレイをしよう』と思ってプレーして、ミスをした時に『あ、今日ダメだ。調子悪い。やばい』という方向に思考が持っていかれてしまっていました。
でも準備の段階ですべて書き出しておけば、すべて意図してトライしているので、うまくいかなくても『じゃあ次はどうしよう』という仮説と検証がそこで生まれるんです。なので、プレイ中に自分に対する評価がまったくない。意図してミスしているので、そのミスから学べばいいわけです。

https://fergus.jp/interview/interview/ より



具体例をひとつ。3月2日の北海道戦での目標の一つはプレーの幅を広げるため、ピックを使ってチャンス作ることに挑戦することでした。1本ヨーリへのアリウープパスへ繋げることが出来ました。もしあの時のパスがミスしていたとしても意図して挑戦したことなので、試合中に自分を評価することはしないし、なぜ失敗したかを帰って考えて練習あるのみです。
挑戦し、チームと共に成長できる日々は本当に楽しいです。

当たり前じゃない状況

プレー以外にも変化は多くある、家族と関係者だけが応援に来てくれた地域リーグ開幕戦。小さな諸富体育館がなかなか満員にならなかったB3時代。その頃では考えられない人数の方が今はSAGAアリーナで応援してくれている。イベントをすれば『スーパースターなのか俺は』と勘違いしてしまいそうなほど手を振ってくれるブースターの方々がいる。
テレビやラジオ、新聞、雑誌様々なメディアに取り上げていただき街で地域の方に声をかけていただけること。すべて当たり前じゃない。このことに感謝を忘れて、自分でここまでのし上がったと勘違いするような人間だけにはなりたくない。

スタンダードを上げた先に『チャンピオンシップへ挑戦する』に相応しいチームになるために。『佐賀バルーナーズが優勝する時、ファイナルMVPを獲得する』選手になるために。環境へ感謝し、残りのシーズンも少しでも成長できるように挑戦し続けます。

早く試合したいなぁ。


出典

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