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【院試体験記】 分野を横断して東大物理学専攻・相関基礎に合格

はじめまして!まえかわと申します。
この度、分野を横断して東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 (理物) と同大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系 (相関基礎) を受験し、どちらからも合格をいただきました。
本記事は他分野から物理系への受験を考えている方に向けて (もちろん物理 to 物理の方にも)、少しでも院試対策の手助けになればと思い執筆いたしました。


自己紹介

現在私は東北大学 理学部 生物学科に所属していて、神経科学を専攻しています。
当初は内部の修士課程に進むつもりだったのですが、なんとなく生物学が肌に合わず「せっかく修士に進むならもっと自分に合いそうな分野に進みたい!」と感じはじめました。3年の12月頃のことでした。そして、最終的に3月の終わりに物理系への大学院受験を決意しました。 
それから約半年間、卒研と並行して本格的に院試対策を行っていくことになります。

合格状況の詳細ですが、理物では生物物理サブコース (link) を、相関基礎では物性理論・統計力学グループ (link) を受験し、どちらも第1希望の研究室 (ともに理論系) に合格しています。どちらに進学するかは決めていないのですが (追記 20231030: 物理学専攻に進学します)、いずれにせよ修士課程でのテーマは大雑把にいうと非平衡現象の理論研究になります。 つまり、学部での専門と全く関係ない!
それでは、分野を大きく変えて受験するにあたって、私がどのように情報収集・試験対策を行ったかを紹介していきます。

他分野出身者は歓迎されない?

これは分野を変更する受験生全員が気になると点だと思います。
結論から言いますと、全く問題ありません。

私もはじめは「そもそも研究室訪問に対応してくれないかも……」などと思っていましたが、見学に伺った研究室の全て (合計10箇所に伺いました) が非常に丁寧に対応してくださり、学生を歓迎しているように感じました。
そして面白いことに、理論系の研究室の方がバックグラウンドの違いに無頓着に感じました。むしろ、他分野からやってくることをプラスだと捉えている先生もおられました!

ただやはり、多くの先生方は試験を突破できるかどうかを心配されていました (物理系の院試は他の多くの分野に比べて筆記が重い)。

研究科・研究室決め

当初はなんとなく物性基礎論やその周辺領域に興味があり、それを中心に調べていました。
東北大学の物性理論グループの2つの研究室に伺ったのですが、研究内容とグループの雰囲気に惹かれ、ここへの進学を視野にいれました (3年の3月時点)。

そのあとも色々サーチし、相関基礎の入試説明会・オープンラボに現地参加したり、東大理物のオンライン研究室紹介を流し見したりして、徐々に志望を固めていきました。

ちなみにオープンラボとは、受験生が好きな研究室に自由に出入りして先生や学生からお話を聞くことができるというイベントです。
そのメリットはなんといっても気軽に好きな研究室の見学ができるという点でしょう。私も相関基礎では2つの研究室に伺い、研究や入試の話などを聞かせていただきました。
なお、多くの研究科で入試説明会当日かその前後の日にオープンラボが開催されます。以下に主要な研究科の2024年度の日程を載せておきます

  • 東大 理物
    オープンラボ: 5/26, 入試説明会: 5/27

  • 東大 相関基礎
    入試説明会・オープンラボ: 4/22, 5/20 (各2回開催)

  • 京都大学大学院 理学系研究科 物理学専攻
    オープンラボ: 5/12, 入試説明会: 5/13

さて、志望先の変遷をまとめると、
東北大理物 (3年の3月) -> 東北大・相関基礎 (4年の5月) -> 相関基礎・東北大か東大理物のどちらか (6月) -> 相関基礎・東大理物の受験を決定 (8月)
となります。かなり揺れていますが、本当は5月中には受験先を決定しておくのが理想的でしょう。見学に余裕を持っていくためです。

最後に注意点ですが、通常は出願期間終了後の教員との連絡は禁じられています。つまり研究室見学に行けなくなるのです。出願はだいたい6月の中旬-7月の上旬 (2024年度入試では東大理物が6/21-6/27, 相関基礎が6/30-7/6でした) にあるので、見学はこれに間に合うようにしましょう。
私は期限前日まで見学してしまいましたが。

出願の流れ

  • 東大 相関基礎 (第1志望はCグループ、第2志望はD1グループ)

  • 東大 理物 (第1志望はA7サブコース、第2志望はA6サブコース)

  • 東北大 理物 (第1志望は物性理論グループ、第2志望は物性実験I)

の3箇所に出願したのですが、実際に受験したのは上の2箇所です。
なぜならば、例年東北大は試験日程を東大理物に被せて併願を不可能としているためです (京大とも被せているらしいです)。この忌まわしい東北大の政策のために、とりあえず両方に出願しておいて直前までどちらを受けるかじっくり考えることにしました。
ここでは受験したところのみを紹介したいと思います。
なお、以下の日付は全て2024年度入試のものです。

相関基礎

志望研究室の指定方法:
A, B, C, D1, D2グループから第1・第2志望グループを1つずつ選択する。第1志望グループ内では5人まで、第2志望では2人まで、志望順位をつけて教員を指定できる。
私は第1志望にCグループを、第2志望にD1グループを指定しました。

主な出願書類:

  • 願書A (住所とか志望研究室とか)

  • 願書B (履歴書+料金払込証明書)

  • 成績証明書

  • 外国語能力を示すスコアシート

  • 研究計画書

上4つの書類は6/30-7/6に郵送で、1番下の研究計画書のみは7/25-7/28にオンラインで提出するようになっていました。

研究計画書は「志望する学問分野・研究課題に関して、これまでの自身の学習状況や検討状況、そして入学後の研究計画について記載する (A4・1枚程度)」ものとなっています。
私に入学後の計画を書けるわけがなく、そして実際に一切研究計画を書かずに志望動機と学習状況を大量に書いてなんとかやりすごしました。
研究計画を全く書かないのはさすがにヤバかったと思いますが、研究計画書は「面接の際の話題づくりのためのもの」という側面が大きいと信じて不十分ながらも提出しました。
ちなみに面接試験の前に読み返して本当に恥ずかしかったです。


以下は外国語能力を示すスコアシート (多くの受験生はTOEFL iBTになるでしょう) についての注意です。
実はTOEFL iBTはスコアシートを大学に直接送付することが可能となっていて (研究科ごとに固有のナンバーが割り当てられており、それを申し込みフォームに入力する)、相関基礎ではなぜかこの①大学に送られるスコアシート + ②自宅に送られるスコアシートの写し (もしくは③オンラインスコアレポート) の両方を求められます。不思議ですね。
ただし③さえ7/6までに届いていれば、①は受験当日まで待ってくれるようです。ちなみに③は受験してから6日ほどで届くので結構ギリギリに受けても大丈夫だと思います (①はおそらく3週間ほどで届いています)。
ちなみに、多くの研究科でTOEICやTOEFL iBTのスコアシートは受験当日までに提出できればよいことになっています。皆様の志望する研究科がどうなっているか調べてみましょう。


大事な情報が複数ファイルに散らばっていたり、ファイル名が意味不明であったり、郵送でたくさん書類を送らないといけなかったりと、相関基礎の出願は大変です。

理物

志望研究室の指定方法:
A0, A1, A2, A3, A4, A5, A6, A7, A8サブコースから第1・第2志望サブコースを1つずつ選択する。各サブコース内では4人まで志望順位をつけて教員を指定でき、さらに第1-第4志望の教員はサブコースをまたいで指定することがで
る。
また、出願書類の「他の指導教員への振替」という欄に「可」と書いておくと、指定した教員に配属できない場合でも他の教員のもとへ配属される場合があるようです。
私は第1志望にA7サブコースを、第2志望にA6サブコースを指定しました。

主な出願書類:

  • 願書1 (履歴書+住所とか)

  • 願書2 (志望研究室)

  • 成績証明書

  • 顔写真

  • 料金払込証明書

  • 志望調書

  • (2025年度から TOEFL iBTのスコアシート)

全ての書類は6/21-6/27にオンラインでの提出を求められました。オンラインフォームで書類を作成するのですが、非常に分かり易かったので迷わずに手続きできると思います。

1番下の志望調書ですが、物理学専攻の規定では「志望する研究分野について志望動機と研究したい内容を、志望するサブコースごとにA4・1ページ以内で作成」とされるものでした。
私は各サブコースについて1000文字程度書き、そのうちの約6割を志望動機で、残りを研究したい内容で埋めました。後者は「貴専攻の研究室紹介に参加した折に、XXXをYYYで記述することで理論の整備や拡張ができることを知りこれに強く興味を覚えた」のように「全然詳しくないけどあなた方の研究を面白いと思ったヨ☆」というスタンスで書きました。

---------------まとめ---------------

  • 相関基礎の出願期間は 6/30-7/6 (願書等郵送) および 7/25-7/28 (研究計画書のオンライン提出)

  • 理物の出願期間は 6/21-6/27 (全てオンライン)

  • 相関基礎の出願はややこしい

  • 英語のスコアシートは意外と待ってくれる

筆記対策

出題範囲・直近の傾向

東大に限らずですが、物理系の院試ではほぼ確実に

  • 物理数学

  • 力学

  • 電磁気学

  • 量子力学

  • 熱・統計力学

  • (英語)

から出題されます。さらに言えば物理学科の3年次までに扱うテーマがほとんどです。参考に私が受験した研究科の出題形式をまとめておきます。

相関基礎:
英語はTOEFL iBTスコアシートを事前に提出 (iBTかそれに準じるもの。ITPはだめ)。
3つの大問を
自分で選び3時間半かけて通しで解く。大問は数学、量子力学、熱・統計力学、力学・電磁気学、物性 (他に科学史、化学、生物など) から選択でき、1つの大問に2つの独立な題材が含まれます。
下表はざっくりした出題テーマです。

2016-2024年度の出題テーマ。2021-2023年度は筆記試験がなかったため載せていません。また、私がほとんど解いていない数学と物性も載せていません。


東大理物:
英語はTOEFL iBTスコアシートを事前に提出 (2024年度入試までは試験会場でTOEFL ITPを解く方式でした)。
物理・数学は4つの大問を4時間かけて通しで解く。大問は量子力学、統計力学、電磁気か力学、数学 (2020年度までは物理学4時間 + 数学90分。物理は上の3つに加え、3つの実験科目から1つを選択する方式でした)。
ちなみに筆記の配点は英語が100点で物理・数学が400点です。
下表はざっくりした出題テーマです。

2017-2024年度の出題テーマ (実験科目は省略)。2021年度は筆記試験がなかったため載せていません。

勉強の方針

1番大事なことを最初に書きます。それは、友達と一緒に勉強することです。勉強を教えあうためでもありますが、それ以上に「周りの学生が現在どんな勉強をしているか」や「〇〇グループの合格点はXX点くらい」のような情報を聞くことで、自分の現在地を確かめ、対策の方向を調整するためです。
私は物理学科の友達の院試ゼミに混ぜてもらい、そこで4月から7月末まで1-2週間に1回集まって東北大の過去問を解いていました (最後まで教えてもらいっぱなしでしたが)。

普段の勉強
普段の勉強ではなるべく基礎から理解することを心がけていました。そこまで大層なことではなく、例えば「正準交換関係から運動量演算子の位置表示を導出できる」とか「マクスウェル方程式から電荷保存則を導出できる」のようなレベルです。ここでの「基礎から理解する」とは「自分の中になにか基本原理を設定しておき、そこから自由に論理を展開できるようにする」ことです (余談ですが基本原理は少ない方が美しいですよね)。
もちろん院試で点をとるためにはパターン暗記もある程度必要ですが、相関基礎や東大理物では「公式の導出」のような問題もよく出題されます。「典型問題を卒なく解けるくらいには勉強してきて欲しいけど、やっぱり基礎を疎かにしない学生が欲しい」という大学院側からのメッセージでしょうか。

過去問の使い方
物理学科の学生には過去問演習だけで勉強をほぼ完結させる人もいます。それくらい過去問は力になります。
私自身が過去問を使うときは、まず本番同様に時間を測って解き、そのあとにじっくり解き直しをしていました。
解き直しの際には教科書等を参考にしてなるべく全問題の解答を作成していて、難しいものだと1問に3時間以上かけることもありました。非効率に見えるかもしれませんが、このおかげでかなりゴリラに近づけたと思っています。
解答が手に入らなくてもそこまで問題はありませんが、可能なら友達と答え合わせをするのがよいでしょう (特に勉強を始めたばかりのときは)。

勉強スケジュール

学部3年
3月 
(2h/day)
試しに東北大の過去問を解いてみる。このときの得点が体感で 数学5割 力学10割 電磁気3.5割 量力4割 熱統計4割 でした。物理学科の2年生くらいの実力でしょうか。
ちなみに東北大理物の各コースの合格基準点は、素・核理論で9-8割、物性理論で8-7割、その他実験系で6-4割程度らしいです。私はこれを自分の実力の目安にしていました。

学部4年
4月 
(3h/day)
院試ゼミで東北大の過去問を解きはじめました。
各分野の基礎をメインに勉強しながら、数学・電磁気・熱力はある程度力がついていたので演習にも着手していました。

5月 (3.5h/day)
田崎統計 [7], [8] に着手と同時に久保統計 [9] にハマり熱力の鬼になる。
相関基礎の出願にTOEFL iBTのスコアが必要になったため、参考書 [14] を使って模試2回とその解き直しで対策 (ちなみに85点でした)。
量力と統計は進度が遅く頻出テーマのスピンや量子統計にこの時期にはじめて触れましたが、なんと本番で出ませんでした。

6月 
(4h/day)
全分野の教科書 ([3], [6], [7], [10], [11], [12]) を一通り読み終わり演習書 (主に [1], [5], [9], [13]) をメインに。
この時点で東北大の過去問は7割くらいとれていました。これからの学力の伸びを予想して東大理物も視野にいれはじめました。
4月からラボで卒研 -> 帰宅後に院試勉強という生活が続いていましたが、この両立が限界に達していて6-7月が1番キツかったです。何回か心が折れかけるものの不屈の精神+物理学への情熱+ロンダ魂で粘りました。

7月 
(6h/day)
7/15からラボを完全にお休みして勉強に専念。
東北大の過去問を解き終わり (14年分解きました)、この時点で9割くらいとれるように。
演習書や東北大の復習で弱点を固めていました。

8月 
(7h/day)
7月末から相関基礎・東大理物の過去問をそれぞれ6年分、7年分 (受験日は8/17, 8/22) 解く。
勉強時間の6割程度を過去問に割きましたが、[9] の5章 (統計力学の原理) を読み返すなど基礎を見つめ直す時間もとりました。
過去問はだいたい1日に1年分ペースで解いていたのですが、解き終われば倒れるように眠り、起きてまた過去問を繰り返す日々
あるとき異変に気付く 一万年分解き終えても日が暮れていない
感謝の過去問演習一万回 1時間を切る!!
かわりに祈る時間が増えた ───

使用した教科書・演習書

私が院試対策に用いた教科書・演習書について、その特徴や使い方をざっくり記しておきます。ここに挙げた書籍はどれも私の好きなものですが、人によって相性がありますから、是非自分にぴったりの1冊を見つけてください。

物理数学
[1] 鈴木久男監 引原俊哉 (2016) 『演習しよう物理数学』数理工学社
有名な演習しようシリーズです。院試で出題されるテーマは一通り載っています。私は全ての問題を解いていませんが、この本で複素積分の演習を大量に積んで複素積分の鬼になりました。

物理数学はなにかの書籍で体系的に勉強するというより、物理を勉強しながら「はじめて見る数学」に遭遇したらその都度調べていました。

解析力学
[2] 前野昌弘 (2013)『よくわかる解析力学』東京図書
理論展開や式変形が大変丁寧な本です。最後まで読んでいませんが、正準形式の導入まで知っていれば院試で困ることはないと思います。

電磁気学
[3] 砂川重信 (1987)『電磁気学』岩波書店
記述が簡明でわかりやすく、この1冊で学部レベルの電磁気学は一通り学べると思います。教養で習った電磁気を思い出すために3年の3月に読み直
しました。

[4] 山村泰道・北川 盈雄 (2019)『電磁気学演習 (第3版)』サイエンス社
問題数が多いです。[3] と並行して例題のみを計算練習に解きました。

[5] 鈴木久男監 羽部朝男・榎本潤次郎 (2017)『演習しよう電磁気学』数理工学社
院試で頻出な問題を豊富に扱っています。さくっと1周しました。

熱・統計力学
[6] 田崎晴明 (2008)『統計力学 I』培風館
統計の定番です。とてもわかりやすいです。
筆者の強いこだわりが随所に挿入されています。

[7] 田崎晴明 (2008)『統計力学 II』培風館
量子統計の章は必読で、特にBose-Einstein凝縮の記述はとてもわかりやすいです。内容が難しく1周はしていませんが、院試を忘れてつい読み込んでしまうほど面白いです。

[8] 鈴木久男監 北孝文 (2018)『演習しよう熱・統計力学』数理工学社
院試に頻出なテーマがコンパクトにまとめられていますが、これだけだとやや不足気味です。私はさくっと1周しました。[9] より取り回しがよいので、試験直前まで公式集として読み返していました。

[9] 久保亮五 (1998)『大学演習 熱・統計力学 (修訂版)』裳華房
1番有名な熱統計の演習書でしょうか。私の1番好きな本です。各章のはじめに基礎事項がまとめられているため教科書としても使えます。演習問題を解いては基礎事項を読み返し……とじっくり読みました。
演習問題は例題・A問題・B問題・C問題に分かれていて、例題とA問題だけ解けば院試では困らないと思います。それどころかA問題でも院試より平気で難しかったりします。

量子力学
[10] 清水明 (2004)『量子論の基礎』サイエンス社
典型的な量子力学の教科書とはかなり毛色が異なり、はじめに量子論の枠組みを述べてからトンネル効果や調和振動子などの典型例にフォーカスするという構成です。東大理物や相関基礎ではブラ・ケットの扱いに習熟していないと解けないような問題も出題されますが、この教科書で学べば安心です。

[11] 二宮正夫ら編 原田勲・杉山忠男 (2009)『量子力学 I』講談社
有名な講談社の基礎物理学シリーズです。初学者向けの本で大変読みやすいです。基礎物理学シリーズでは初学者が読みやすいよう意図的に記述が省略されているところもあるので、私は適宜他の教科書も参照していました。

[12] 二宮正夫ら編・著 (2010)『量子力学 II』講談社
前半のスピンの導入まで読みました。

[13] 鈴木久男監 大谷俊介 (2016)『演習しよう量子力学』数理工学社
問題数・難易度ともに院試対策にぴったりです。適度に誤植が入っていてトレーニングになります。

英語
[14] 五十峰聖編 (2022)『TOEFL iBTテスト 本番模試 (改訂版)』旺文社
模試が2回分載っています。パソコンの特設サイトで本番と同じ形式で解けるのがイチオシポイントです。

[15] 村川久子監 SUNDAI GLOBAL CLUB (2016)『TOEFL ITPテスト 完全制覇』The Japan Times
駿台のノウハウが凝縮されていると書かれていたので買いました。東大理物の試験の2日前から模試と解き直しをさくっとやりました。

面接対策

ほとんどしていません!
専攻に近い田崎先生の非平衡統計力学の講義 (link) を視聴したり、研究計画書や志望調書を読み返して飛んできそうな質問を想定したりしていました。
私が受けた両専攻ともに、対策が役に立たないような突拍子のない質問が飛んできたので、ガチガチに対策する効果はあまりないと思います。

筆記試験の流れ

相関基礎

試験時間は9:30-13:00 (9:10までに着席) で、私は8:40頃に教室に入りました。 
選択科目 (体感の得点) およびその感想:
量子力学 (4割) 2問目から躓いてパニックに。この時点で不合格を覚悟したのですが、漢らしく気合でこの世紀の難問を突破してなんとか冷静さを取り戻しました。ちなみに後半パートの方が難しかったです。
熱・統計力学 (7.5割) 熱力は完答。統計は後半の計算が重く消化不良のまま次の大問へ。
力学・電磁気学 (4割) 力学がなんと1問目しか解けず、残り時間を全て電磁気に注ぎました。

あまりの手応えの悪さにピクピクと痙攣しながら失禁をするところでしたがなんとか正気を保って帰宅しました。
論述を結構丁寧に書いていたら紙面も時間も足りなくなったので「答え+ちょっぴり思考プロセス」くらいの乱暴さで十分だったのでしょう。
相関基礎の問題はめちゃくちゃ難しい!ので受験生はめげずに頑張ってください。

理物

はじめに注意です。私が受験した2024年度までは、英語はTOEFL ITPを現地で受験する方式でしたが、2025年からはTOEFL iBTのスコアシートを事前に提出する方式に変わりました。
以降は英語以外について書いています。
試験時間は13:30-17:30 (13:15までに着席) でした。
科目 (体感の得点) およびその感想:
量子力学 (7割) スクイーズ演算子というはじめて見るテーマから出題され解けずに焦ったのですが、粘ってみたらいきなり閃いてなんとかなりました。
熱統計 (8割) 計算も軽く特殊な発想が要らない問題ばかりだったため、完答したと思いきや後日になって誤答を発見しました。
電磁気 (5割) レイリー散乱と光ピンセットがテーマの面白い問題だったようです。が、なんと強制振動が解けず面白さを味わう前に撤退しました。各テーマの最後は定性的な論述を求める問でしたが、かなり難しそうに見えました。
数学 (7割) 前半パートは完答しましたが後半がやや難しく結構落としてしまいました。

合格を確信したためニチャニチャと清々しい笑みを浮かべながら会場を後にしました。

面接の流れ

守秘義務があるため面接内容を話すことはできないのですが、それ以外のことを一通り書いておきます。

相関基礎

出願者数 -> 口述試験対象者数 -> 合格者数はそれぞれ75名 -> 54名 -> 48名でした。
面接はオンラインであり、面接開始前日の23日にグループごとに接続テストが行われました。
私は第1志望 (Cグループ) と第2志望 (D1グループ) のどちらも面接に通っていて、そのどちらでも紙とペンもしくはiPadを用意するように指示されました。
試験時間はどちらも15分程度で、主に第1, 2志望の先生が質問を投げかけてきますが、部屋にはグループ内の全ての先生が参加していました。

理物

出願者数 -> 口述試験対象者数 -> 合格者数はそれぞれ238名 -> 145名 -> 139名でした。
面接は対面であり、開始15分前までに控室でのチェックインが必要でした。
私は第1志望 (A7サブコース) と第2志望 (A6サブコース) のどちらにも呼ばれていたのですが、この時点で相関基礎に受かっていたのでA6の面接は辞退しました (控え室で伝えれば出来ます)。
試験時間は15分で、主に第1, 2志望の先生が質問を投げかけてきますが、部屋にはサブコース内の全ての先生がいました。
余談ですが教室には黒板とチョークと黒板消しが用意してありました。

最後に

ここまで読んでくださりありがとうございました。
本記事が大学院を受験する皆様の力になり、そして皆様が合格することを願っております。

まえかわ (2023/10/09)

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