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【第13回】小田部雄次先生がざっくばらんに答えます~「女性天皇が皇女に譲位した”女系継承”が存在したのでは?」「旧宮家の男系男子と敬宮愛子内親王の婚姻可能性をどう見るか?」「”素行不良”が理由で皇位や皇籍を剥奪された歴史的事例は?」~天皇・皇族・皇統・皇室典範など


【画像① 第44代元正天皇は、実母である第43代元明天皇から皇位を引き継いだ「女系継承」である。元正天皇の父は、後に追尊天皇(死後、天皇と見なされて称号が追贈されたもの)となった草壁皇子であることを根拠に「男系」と決めつける向きがあるが、これはこじつけに近い議論だ。 画像は元正天皇像(南法華寺蔵、江戸時代)。】



YouTube「古是三春_篠原常一郎」チャンネルで静岡福祉大学名誉教授・小田部雄次先生(日本近現代皇室史)をお招きし、これまで2回にわたってライブ配信の特別番組をお届けしました。その際、多数のご質問を視聴者のみなさんにお寄せいただきました。


2023年8月24日に配信した「【特別配信】小田部雄次教授 質問に答えます」では、視聴者から寄せられた百数十問に及ぶ質問を大きく5つの項目にまとめ、質疑応答を行いました(動画は下記)。


(参考映像)「【特別配信】小田部雄次教授 質問に答えます」2023/8/24 古是三春_篠原常一郎

https://www.youtube.com/live/Mb4y1atEPPY?si=Gt0a99u2YOqCuiIM




【画像② 静岡福祉大学名誉教授・小田部雄次先生は歴史学者、「皇室史」が専門で、皇室の歴史に関わる多くの著書がある。写真は、「妃殿下」となった皇族に焦点をあてて女性皇族を考察した著作『皇族に嫁いだ女性たち』(角川選書)】



しかしながら、個々のご質問の中にもふと「どうなんだろうか?」と考えがちな項目がかなり示されてありました。そして、小田部先生はこの全てに目を通されて簡単な回答をメモに準備されて番組に臨まれていたのです。この質問と回答メモの両方に、たいへん貴重な内容が含まれているのは間違いありませんので、5~10問ずつ整理してnoteに不定期連載することにしました。


「皇室は今後、どうなるのだろうか?」「令和の代で終わってしまうのだろうか?」「敬宮さまが皇位を継がれることはないのだろうか?」と心配されているみなさんにとって、気になる内容が出てきます。ぜひ、御覧になってみて下さい。


(参考映像)「【特別対談】 小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授『万世一系』『変わらず男系男子』『女性天皇はリリーフバッター』は本当か?」2023/7/10 古是三春_篠原常一郎

https://www.youtube.com/live/N-rNK0NtSqM?si=cJ9nr9xXe_EYHUBm



◆今回の質問項目(第13回)


(66)「生涯独身を通した」とされる女性天皇(第44代元正、第46・46代孝謙/称徳)に皇子・皇女があったという説の信憑性は? 女性天皇から女性天皇への「女系継承」(第43代元明から第44代元正へ)があったのではないか?


(67)傍系への皇統の移動で「歴史的な揺り戻し」はなかったのか? 旧宮家の男系男子子息と敬宮愛子内親王の婚姻の可能性をどう見るか?


(68)天皇、皇族の研究活動に理系分野が多いのは文系だと研究発表が政治的発言に抵触する可能性が高いからか?


(69)明治時代の皇室典範制定時、女性天皇の可否は新聞で議論されたものの政府内や議員との間では議論されなかったという話は本当か?


(70)歴史上、「素行不良」その他「相応しくない」という理由で天皇や皇族が追放されたり皇籍を剥奪された例は? それはどのような法令、決まりに基づくものか?




【画像③ 第47代淳仁天皇は、恵美押勝の乱(764年)の首謀者と「関係が深い」と時の孝謙上皇にみなされ、廃位を宣されて親王待遇に下された上、淡路の国に流された(淡路廃帝)。結果として、孝謙上皇が重祚して第48代称徳天皇(女帝)となった。廃位を求められた数少ない歴史的事例を示す淳仁天皇の「淡路陵」は、兵庫県南あわじ市にある。】


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