第1回  孤独が人を狂わせる

AVにはファンタジーが必要だ

T  えー、T・O、26歳です。職業はAV監督です。北沢さんとは大学の頃に知り合って、大学にいろんな人がいる中で、北沢さんだけが気になって、授業中写真撮ったりしてました。
北沢さんにだけ、僕と似たようなオーラを感じてました。

T  (iPhoneを見て)これ5S? いいね、(カバー)なにもつけてないの。何もつけてない人俺好きなんだよね。
——雨の日にタクシー止めようとしたときに水たまりに落として、液晶画面剥き出しになって半年くらい使い続けて、画面が見えなくなってからやっと機種変できた。

 いやーなんなんだろうね、俺の周りそういう人多いんだよね。剥き出しでさ。iPhone割れるじゃん。割れるの分かるから。みんな割ってるじゃん。でもさ、機種変しないんだよね。

——できないんじゃないかな。
T  仕事でもちゃんと前もって仕事終わらせる人と、ギリギリにならないと終わらせられない人がいるよね。
俺もすげー極端でさ、昔は1日前に女優さんをキャスティングしててマネージャー困らせてたんだけど、今はもう4月分のスケジュール全部埋まってる。それはいいマネージャーさんに出会えたから。ガンガン向こうから女優さん入れてくれるの。その人がいたからかな。こっちもこっちでタイトル(案)がいっぱいあって、ちょっとメモってるんだけど…(メモ帳に大量のAV作品タイトルが並んでいてひたすらにタイトルを読み上げる)

——タイトルの語感いいね。
T  語感大事だからね。今デスポルノ撮ってる。ゾンビ系。映画でゾンビ物あるでしょ、皆好きじゃん。
最初に女の子の生前のシーン撮っておいて、生きてる時の。ここ重要なんだけど。そこから噛まれて、やられまくっちゃうという。ゾンビのまま、拉致られて。

——自分がゾンビになって襲うんじゃないんだね。
T  今撮りたいのが、女体解剖エステってやつ。女の子をエステのベッドに寝かせて、局所麻酔打って、胴体は豚の内蔵使って、内臓切って。女の子が泣きながら、やめてください、救急車呼んでください、みたいな。ちょっとそういうSなかんじの。2次元のグロを3次元化していきたいんだよね。前も話したと思うけど、この間やったのは、女の子の肛門と肛門を…(都合上割愛します。)

T  ネタは自分で考えることももちろん多いんだけど、ネットで拾った2次元の絵から発想得ることも多いんだよね。あと裏モノJAPANとか。面白いんだよあれ。ああいうのからネタ拾ってきたりね。みんな(他の監督も)そういうところで幅広げて。

——ファンタジーが前提にないと、ということなのかな?
T  そうなんだよ。夢がないとさ。AVは擬似つかったりとか、基本的には嘘なんだけど。プロレスと一緒。そこが根底にある。でも演技中にマジでやったりとか本気で泣くやつもいる。その演技とガチのせめぎ合いが大事というか。だって、その辺歩いてるような女の子が演技するのは難しいんだよ。
この業界で10年以上やってる人の話を聞くと、昔はAVに女の子が来るのは本当にハードル高くて、出る人は本当に生活が切羽詰まってるかキ○○イだったのに、今は普通の子ばっかり。この間デリヘル呼んだら音大卒の女の子来たからね。まあ話してみたらADHDって言ってて、ずっと自分のこと話してたけどね。




孤独が人を狂わせる

——その人が病んでるかどうかは見た目じゃ分からないんだよね。バイト先(書店)に、ちゃんとした格好のサラリーマンが毎回18禁の本買いにくるんだけど、レジで変なこと言ったり会計の時に大人のおもちゃ出して店員の女の子を怯えさせてる。

T  うん。でもそういう人も一見普通に生活してるわけだよね。知り合いでいるけど、その人の家にいくと壁を全部布とか新聞で覆ってるの。「上の階の住人が穴開けてこっちを見てる」と。よくあるアレじゃん。まんまそれなんだよ。でも普通に常識ある人で。ちゃんと自分を抑えて生きている。家賃2万のところに住んでて。相当ストイックだよ。

去年2.3ヶ月だけ(関係が)続いた女の子がいたんだけど、その期間だけ。やっぱね、その時の自分の状況に合わせた女の子なんだよね。俺はまだ続けたかったんだけど向こうが急に合わなくなったみたいで。その子メンヘラなんだけど、でも一緒にいて心地よかった。お父さんがお金持ちのボンボンでさー。毎月お小遣い30万で。働いてなくてフラフラして遊びまくるみたいな。

——いいなー。
T  いや、うらやましがっちゃいかんよ。だめ。絶対だめ。セックスしてホテル泊まって鰻食って焼き肉食って、セックスしてホテル泊まって遊び行って大学の後輩と海外行ってセックスして・・そういう生活してる子だよ。うらやましいじゃん。働かずに月30万。でもうらやましがっちゃいけないなと、人の生活を。だんだん妬みに変わってきたりとか、自分はなんでそうじゃないんだろうとか思うようになっちゃうんだよね。福沢諭吉も言ってた。「一番卑しいことは他の人の生活をうらやましがること」って。

そいつは快楽のためだけに生きてるみたいなところがあって。でもずっとニコニコしてる。始めは友達通じてそいつからいきなり電話がかかってきた。じゃあ今から会おうよみたいな。知らない人なのにすごいよね。そういうところがズレてるんだよ。

基本的に寂しがりやなんだよ。根本的には寂しいっていう気持ちがすごいあって、そこが一番でかい。その子と遊んでて、俺帰らなきゃいけなくて「じゃあ帰るわ」って言っても聞こえないふりしてて「カラオケいこう」とか「遊びいこう」とか必死になっちゃうんだよ。帰る間際も次に遊ぶ人探してる。北沢いろんな友達いるでしょ?皆寂しがりやじゃない?さっき話した、家にいっぱい布張ってる人もずっと孤独で、ずっと彼女もいなくて、40歳近い人なんだけど。寂しさはやっぱ、人を狂わせるんだよ。

2014年4月6日収録

Tの監督作品。

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第1回  孤独が人を狂わせる

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