見出し画像

【リアクティブ】CL20-21 グループB第3節 レアル・マドリード-インテル マッチレビュー

スペイン王者に挑むインテルは今シーズン初となるリアクションサッカーを展開。
その意図は試合に多大な影響を与えた。

こんにちは!TORAです🐯

今回はCLグループステージ第3節レアル・マドリード(以下、レアルと表記)−インテルのマッチレビューです。

本試合はプレビューも執筆しております。プレビューを踏まえた上での内容が多いので未読の方は先にご覧頂けると幸いです。


●スタメン

画像2

レアル・マドリード
64分、アザール➡︎ヴィニシウス
64分、アセンシオ➡︎ロドリゴ
78分、クロース➡︎モドリッチ
インテル
78分、バレッラ➡︎ガリアルディーニ
78分、ペリシッチ➡︎サンチェス
87分、ビダル➡︎ナインゴラン


●前半-まさかの昨季踏襲

プレビューで試合の構図を

いつも通りを貫けるか?レアル・マドリードvsリアクティブな対応をどうするか?インテル

と予想したのですが的中しました。
今回のインテルは明確に対レアル仕様。ここまでドラスティックな変更や対策は今シーズン初です。非常に興味深かったので本レビューではここにフィーチャーして進行いたします。

先ずはレアルのボール保持について軽く触れます。

画像3


✔︎両SBはあまり高い位置を取らずビルドアップにも積極参加
✔︎その為、両CB、両SB、カゼミーロの5枚で入り口をつくる機会が多い
✔︎クロースは中盤でのゲームメイクが目立つ

もちろん、クロースが最終ラインに落ちて両SBを押し上げるシーンもありましたがベースはこの形と見ていいと思います。
意図としては手堅く行きたかったことと、インテルの両WBを釣り出したかったことが繋がったから、と推察。

これに対して、インテルのボール非保持は

画像4


✔︎5−3のブロック形成が最優先
✔︎そこから同一レーンの相手を捕まえにいく

大枠は昨季の非保持と一緒です。プレビューでの余計な一言。まんまと外れました。笑

画像8


ただ、ディテールは多少違います。今季のハイプレス志向を組み込んでますね。

ラウタロ、ペリシッチ、ブロゾヴィッチがハイプレスでラモス、ヴァラン、カゼミーロのビルドアップを制限。そこにバレッラ、ビダルの獰猛IHコンビが二次的に圧をかける。

一方、ハキミ、ヤングの両WBはバランスを優先。ハイプレスでガシガシ行くのはバックパスやSBが深めでボールも持った際など条件が整っている場合です。インテルとしてもWB裏のスペースはポイントにしてたと解釈しています。

予防措置というリアクションを見せたインテル。

結果、3失点ですが個人的には効果的だったし、機能していたと思います。なんといっても前線と中盤が素晴らしいパフォーマンス。

ラウタロは強度を保ち続けましたし、ペリシッチはうまくアジャストしながらプレッシングをかけて時間経過とともに精度が上がった印象。
中盤はプレッシングもさることながらプレスバックが非常に◎。ブロゾヴィッチの運動量はこのスキームだと輝きますね。

●前半-中盤省略

続いてはレアルのボール非保持とインテルの保持について。

レアルは平常運転。人に重きを置いたハイプレスで高い位置でのボール奪回を狙います。特にハンダノヴィッチは狙われていた感ありますね。

画像5

✔︎ベンゼマはデ・フライをケアしつつ積極的にハンダノヴィッチに圧をかける
✔︎両IHも積極的に前プレ
✔︎特にクロースは注力してた印象

マンマークではないので中盤のマッチアップはシーンによりけりでしたが、クロースが特に積極的だったので必然的にブロゾヴィッチをケアすることが多かったように感じます。
印象的だったのは練度。やっぱりちがいますね。追い込み方がインテルのそれとは差があると言わざるを得ない。

さて、インテルのリアクションはと言うと、こちらも昨季を彷彿とさせるものでした。一言で表せば中盤省略(以下、こう表現します)

画像6


✔︎ブロゾヴィッチはボール引き出し係、最終ライン落ちすることも多々
✔︎その為、ボール保持は4バックのような並びになることも
✔︎ビダルはハーフスペース下り目でボール循環を保証
✔︎ヤングも下り目が多く、ビルドアップの逃げ道に

テーマはレアルのハイプレスを突破しよう!ではなく、躱そう!といった感じでしょうか。

ブロゾヴィッチ、ビダル、ヤングが主に下り目に位置し、後方のポゼッションを保ちます。
レアルはそのボール非保持の性質上、DF-MF間にスペースが生まれがちなので釣れたら一気に前線へ!収めてくれたら御の字。弾き返されてもツートップの片割れと快速のハキミ、馬力のあるバレッラがセカンドボールを狙う!が基本的な設計でしょう。

なので図解しようとするとアシメになるのですが、これはデータにもはっきり現れていました。

画像1

選手の位置取りをアベレージ化した図。SofaScoreより引用。

また、今さらですが今回の中盤は△ではなく▽構成。ただし、これはあくまでフォーメーションで表すなら。実際にバレッラが与えられているタスクの1つにはトップ下の要素も。
今の中盤に関してはポジションで表現することに限界がありますね。

本件は考察記事をアップしておりますので是非ご覧ください。

リアクティブな対応をどうするか?と記載しましたが、まさかここまでやるとは思いもしませんでした。
インテリスタの中では頑固で有名なコンテ監督ですが今日は柔軟性を出してきましたね。

5レーン占有を控え目に効率性を求める。

したがって今回はパスの本数や成功率は気にしなくていいと思っています。数打ちゃ当たると言いますか、精度とは無縁なサッカーですからね。

地味に効いていたのがバストーニ。ボールを溜めては前線や中盤を釣り出し、ボールを運んでは優位なプレー状況を作れる。持ち前の攻撃性能を低い位置でも発揮してました。
一方でちょっと残念だったのはハキミ。メンディがハキミ並みに快速だった要因もありますが、それとは別に雑なプレーが多かったように感じます。古巣相手で負けられない試合、気負い過ぎちゃったんでしょうか。

前半にミスとセットプレーから2失点がありましたがこのプランは右肩上がりで精度が高まったように見えました。
上述の中盤省略ではないですがインテルは流れの中で得点。ビハインドを背負ってますが後半に期待を持てる折り返しを迎えられましたね。

●後半-とにかく徹底 

前半フルスロットルだったレアルは後半、ややペースを落とした感があります。
対して、後半のインテルは前半以上に徹底して中盤省略の姿勢を強めます。とにかく前へ!縦へ!を徹底。
ディテールの変化は裏抜け一発とWBのアタッカーユニット入りを増やしたこと。

すると、レアルのバックスはこれを警戒したか高い位置を取りづらくなり、インテルが狙いたいスペースはますます広がっていきました。
55分はこの流れを象徴するシーンでしょう。

画像7

✔︎最終ラインでボールを溜める
✔︎その隙にWBは前線へ
✔︎一気に前線へパスを付ける

この後、ハキミとラウタロのパス交換が失敗してしまいましたが、インテルの狙いとそれが産み出した効果が合致した良いシーンでした。
プレーが見切れたので断言できませんが、おっ!と思ったのがペリシッチの位置。おそらくハキミのランに合わせて中盤に落ちてヴァランを連れてきたんだと思います。意図したプレーだとしたら隠れたGOOD JOB!

特に右はレアルの脅威だったと思います。バレッラの引き続きのハイパフォーマンスに加え、ハキミも気負いがなくなったか、もしくは得意の攻撃で火がついたかプレゼンスを発揮し出します。加えてメンディのイエローも大きかったですね。2人の推進力が合わさりケミストリーが発生した感。

そして待望の同点弾が生まれます。敵陣でボールが行き来する落ち着かない展開の中、カットの為にラインを崩したラモスの飛び出しをビダルが狙いました。セカンドボールをダイレクトでラモスの後方へ。ラウタロがヘッドで折り返すとペリシッチがゴールへ流し込みました。

●後半-結局、不安的中

得点後もインテルの流れは途絶えません。もちろんレアルにもチャンスはありましたが、客観的に見ても3点目により近づいていたのはインテルだったでしょう。
2点差からの逆転へ、インテリスタが夢見る中、最悪の形で失点。儚い夢だったことに気付かされます。
80分、右サイドでハキミがメンディへハイプレスを仕掛けたその裏で、ヴィニシウスとダンブロージオのよーいドン!を演出されました。

至極当然、ヴィニシウスがドフリーでボールを確保、そして精度の高い折り返しを入れます。この時点で勝負あり。ロドリゴがしっかりと射抜いて3-2と勝ち越しました。

こちらはプレビューのフラグをしっかりと回収することに。はい、余計なこと書いて本当ごめんなさい。

画像9

残り時間、レアルのしたたかなクロージングにインテルは太刀打ちできずフルタイムを迎えました。

・スコア
レアル3-2インテル
(25分ベンゼマ、33分ラモス、35分ラウタロ、68分ペリシッチ、80分ロドリゴ)

●雑感-ソリューションの導入

最後の最後にやられましたが、今回のインテルのボール非保持はうまくリターンとリスクを天秤にかけれたと思っています。
このスキームだと運動量が懸念されますが、MFの頭数が足りているのと(フィットしてるかは別)5人交代という追い風もあるのでしばらくは継続してもいいかもしれません。

また、ペリシッチがツートップの一角として目処が立ちそうなのも非常に大きい!WBにどうしてもハマらずやきもきしていましたが、やはりフィットすれば個人性能の高さを感じますし、結果も出してくれますね。

今回の結果は残念ですが、コンテ監督が導入したソリューションは今後に繋がるかもしれません。

●雑感-戦術とスカッド

しかしながら、重い難題も浮き彫りになりました。

それはインテルのボール保持。対レアルとして的確でしたし、昨季をアレンジしたような形なので小慣れ感もありました。
ルカクの役割はラウタロにアサインメントしましたがラモス相手に引けを取らない素晴らしいパフォーマンスだったことも好材料。

が、それでもやはりこのサッカーをするならルカクが要るでしょう。圧巻のフィジカルを活かしたポストプレーや迫力満点のロングドリブルなど、その特性がピシャリと当てはまります。今回のラウタロとペリシッチには不満は微塵もなく賞賛しかありませんが、その評価とは別軸で「あ、今ルカクがいたらなぁ」と思うシーンは多々ありました。
事実、今回決めた2ゴールは中盤省略からは生まれてないんですよね。むしろ、1点目が5レーン占有、2点目が高い位置での即時奪回と、今季志向している形なんです。

要は戦術にスカッドが付いて来れていない。

まぁルカクの代わりなんていないので、ここはインテルがずーっと向き合っていかなければいけない課題でしょう。

また、結局最後は”お得意の”形で仕留められてしまったことにも言及しなければいけないでしょう。しかしこれも難題。設計を変えないのであれば、個でクオリティを上げていくしかありません。僕が口酸っぱく指摘してる予防的マーキングとカバーリングですね。
3失点目はそもそもデ・フライがバルベルデの予防措置が甘かったことが発端です。最終ラインから出てるのにプレー制限が全くできてなかったのには喝。それこそ、ラモスはこの手のプレーは大得意ですよね、見習ってほしいところ。

ただ、ここはレアルが上手でもありました。インテルのWBの攻め上がりに耐えて狙い澄ました一刺し。交代策で両サイドに快速アタッカーを配置したところを見ると、ジダン監督は完全に意図して狙いましたよね。

見事なリアクションへのリアクション。

ラモスのゴールもデザインされたもの。言語化が難しいですが、勝利する為のイメージと実行力が凄い。フィソロフィを感じます、レアルからは。

さぁ、今回の敗北でインテルはついに崖っぷち。
突破の条件はいくつかあるみたいですが、インテルとしてはとにかく勝たないとお話になりませんね。3連勝してもらいましょう。笑

次節はルカクとシュクリニアルが復帰していると思いますので期待値は高いです。
ルカクはもちろん、シュクリニアルは実はかなりの快速なのでよーいドン!にも強いはず!
てことで、とにかく頑張って勝ちましょう!(語彙力)

●追記:3失点目について

上項記載の3失点目、デ・フライの予防措置プレー不足についてDMにてご質問を頂きましたので追記いたします。

まず、この流れは直前のプレーの影響でバルベルデのマークをビダルが剥がしてしまったことに起因します。
ただし、これはビダルのミスというよりもレアル側の仕掛けが成功した側面が強いので、相手を褒めるべきかと。

問題はその直後。バルベルデが右から左のインサイドに流れたシーン。

画像10

✔︎インテル組織的守備の原則は同一レーンの前を捕まえること
✔︎昨季とボール非保持の形が変わった今季も同様のゲームモデル。

ハキミがハイプレスでメンディをケアするのは一見迂闊かもですが実はゲームモデルに準じており、浮いたバルベルデはデ・フライがしっかりと捕まえてプレーの時間や空間を奪い、味方選手の位置をアジャストさせなければいけないと解釈しています。

これが僕が今季ずーっと指摘している予防的マーキングになります。デ・フライはこの予防措置の詰めが甘過ぎてバルベルデに自由をプレゼントしてしまいました。

以前にも似たようなことを記載しましたが、このプレーは「普通じゃね?」と思われるかもしれません。
しかしながら以前よりもポジショナルプレーやトランジションがサッカーの現場からファン。多角的な意味でマスに広がった中で、後の先となる本プレーの重要性は格段に増したと思っています。

FORZA INTER!!!!!!!!!!⚫️🔵

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯

もしサポートを頂戴した場合はサッカーのインプットに使用し、アウトプットでお返しできるよう尽力いたします。