【あいつ、ワシより強くねー?】CLラウンド8 インテルvsベンフィカ 予習プレビュー
こんにちは!TORAです🐯
いやぁ、ここ一カ月、絶不調ですね。絶不調、ですね。ね。
スーペルコッパ獲得やCLベスト8進出、コッパベスト4進出は「来期のCL出場上にある」と思っているのでシモーネさんは崖っぷちですね。ね。
僕は4月のスケジュール的に”来期CL出場+目指せ!CLベスト4!”ならば、コッパはここで屈しても、まぁまぁまぁ、セイセイセイと思っていた。
…のですが、来期のCLが危ういのであれば、ひとつでも多くのコンペティションでひとつで多く勝ち星を掴んで1円でも稼いで頂かないと、ですね。ね。
賞金の大きいCLは特に。
ということで、今回は10-11シーズンぶり!久々の!!CLラウンド8!!!
天国か地獄か、ベンフィカ戦の予習プレビューです!
尚、前回のポルト戦同様に「である調」で進行致します。
●試合メモ【CL ラウンド16 2nd leg.ブルッへ戦 5-1〇】
5−1とベンフィカがブルッへをボコした試合。
直近のCL、かつ、ブルッへは3-5-2なのでいかにして攻略したかを見たかった。
・ボール保持
ビルドアップは最近目立つ4バックを保ったまま式がメイン。
4−2というか2−2−2というか。六角形を縦に伸ばしたような形が特徴的。
2CBは幅をとり、中盤は内寄りに位置することが原則っぽい。
相手の前からプレス先鋒隊を広げさせるので、中央寄りに2枚のCH(DH)に縦パスを通しやすい構造だ。
ビルドアップ隊が6枚なので安定感は抜群だが、代償として後ろに重くなるのがこの手の設計の課題。
「いかにフィニッシュワークへ移行するか」
具体的で再現性のあるフロー確立が重要だが、ベンフィカはここが憎いくらい高品質。
ⅰ)前線はあえて幅を使わない
最も印象的な設計。前線のアタッキングユニットが幅を使うことが非常に少ないのだ。
より正確に表現すれば、基本配置が明瞭にインサイドレーンスタート。
幅を取る際はビルドアップに合わせてレーン移行して膨らんでいく。初期配置から大外、というのは皆無に等しかった。
したがって、中央とインサイドの3レーンをアタッキングユニットの4人で埋めることとなる。
レーン数以上の人員投入をすることで必然、スモールスペースでのプレーを余儀なくされるが、ベンフィカのアタッキングユニットは「あえて狭いスぺ―スでプレーする」ことに強みを持っている。
トップのラモスは膨らんでもインサイドまでが基本。
裏抜けを匂わせてチームに奥行きを出す。185cmと長身ではないが潰れ役にもなれるのもGOOD。
動けて戦えて得点能力が高いモダンなストライカーである。
右のジョアン・マリオはラファ・シウバと共に”Wトップ下”と表現しても過言ではない。
そこからスッと開いたり、降りたり。ギャップを絶妙に見極めてボールを引き出すムーブは、かつてEUROで母国を初優勝に導いた10番そのもの。
インテルでは超刹那的にしか見れなかったぞ。
左のアウルスネスは非常に勤勉で献身的。
降りて上がってを繰り返しユニットの架け橋となる存在だ。いわゆる”気の効く”選手。縁の下の力持ち。
そしてラファ・シウバ。
彼は別途ピックアップする。
ⅱ)ラファ・シウバによる反転&キャリー
個人的な性癖もあるが、アタッキングユニットの中でも特に目を惹いたのが彼である。
スキルフルかつアジリティ溢れる選手で、混雑した中でも反転してキャリー→周囲にパスを付けるのがべらぼうに上手い。
キャリーといっても決して長い距離ではない。むしろ、運んでいる距離は短い部類に入るだろう。
ただし、相手の圧が最も強いエリアで行うソレは短い距離でも価値が高い。
ボールをうまく晒しながら相手の重心が偏ったり、足が出たところをひょいと躱すので、剥がすというか”抜く”。
そして、少ない空間と時間の中でも周囲をスキャンして預けられる能力は突出していると評価していいだろう。
欧州トップリーグでの経験はないがタレントは本物だ。
とにかく預ければ持って行ってくれる。
そんなプレーヤー。
ⅲ)ビルドアップユニットの攻め上がり
スモールスペースでもプレーできるアタッキングユニットの性能は非常に高いが、そこに依存しておらず上積みとなる設計も存在する。
ビルドアップユニットはここで前進!のスイッチパスを出した際、ボールホルダーがパス&ゴーでそのまま攻め上がり、アタッキングユニットの仲間入りするのだ。
ユニット人数を調整することで「後ろに重たくなる」リスクから解放される。
CH(DH)もCBもその際にホルダーであれば攻め上がるが頻度が多いのはSBである。
右のバーは積極性に富み縦の意識が強いが、キックの精度も伴う攻撃性能がウリ。クロスも放れるし、後方からのフィードで中盤を省略することも可能。
ジョアン・マリオが内寄りで前方にスペースがある点は彼の利点を活かす為の追い風である。
左のグリマルドはディマルコ味を感じる。戦術的なフリーランニングでサポートもするし、崩しのキーマンにもなれる。
タクティカルを持ってして、相手のタクティカルを崩落できる選手だ。
両名とも名前が売れているのは納得である。
この2人の攻め上がりは配置も意識も中央に向いたブロックを困惑させる破壊力がある。
詰まるところ「内がメインで外がサブ」という分かりやすい構造だが、破壊力があるが故にその分かりやすさが厄介。
・ボール非保持
ラングニック門下のシュミット監督!ということで「ハイプレスなんだろう、とは予想していたが想像以上でなかった」がこの試合の感想。
前からプレスは仕掛けるが嵌めるような強度ではなく、誘導してミドルサードで狩りたいスタンスである。
強度を上げるトリガーは明確、左右CBからWBに出すパスだ。
WG(SH)は対面のCBだけでなくWBにも意識を向ける(これも相まって最前線から差し込むような強度ではない)。
WBにボールが渡ったら同サイドに面を作って窒息を狙うのだが、この面の作り方がベンフィカはお上手。
インテリスタはこれを見て、ドゥンフリースがボールの取り所にされる未来が見えたことだろう。
いや、コレは真面目に対策を練らないとマズイです。
・その他
トランジションはポジティブもネガティブも強度が高く、ラングニック系譜を感じられる。
ただし、ポルト同様90分は持たない感の因子は決して小さくない。
点差が点差なので抜いた可能性も低くないが、終盤は配置も間延びしていたので気になった。
・気になった選手
5−1という点差だとどうしても全員良く見えてしまうが、その中でもラファ・シウバとジョアン・マリオは格別だった。個人的には2得点のラモスよりも好印象。
ただ、アウルスネスという縁の下の力持ちあってこそ、とも思う。
個で言えば代えが効かないのは他のアタッカーだが、組織で言えばこの黒子あってこそのユニットだと感じる。
全体的に凸凹がかっちりハマってるんじゃなくて、化学反応で1+1=2以上になってる。
困った、厄介。
●試合メモ【CL GS ラウンド5 ユヴェントス戦 4-3〇】
続いては接戦を見たくてこの試合をチョイス。
得失点ともに多く、相手もユヴェントス。馴染みあるチームなので見やすい。
尚、この試合はボール保持非保持の局面ではなく、前・後半という切り口でレビューする。
・前半-ユヴェントスのプレス攻略方法とリトリートの危険性
ベンフィカは立ち上がりからブルッヘ戦とは異なる仕様であった。
ブルッヘ戦はプレーンでユヴェントス戦が味を加えた形だろうか。
ユヴェントスの前プレは前線から嵌めるような強度はないものの、フォーメーション上、噛み合うので対面はちゃんと捕まえに行った。
このプレッシングに対して、ベンフィカの味付けで再現性があったのは下記の設計。
ポイントは3点。
ⅰ)CH(DH)が横並びではなく斜めの関係。フロレンティーノがアンカーで、エンソ・フェルナンデスはIHのような位置である。前者はサリーダ・ラボルピアーナ、すなわち最終ライン落ちすることも。
ⅱ)ラモスとラファ・シウバは積極的に縦の入れ替わりを行う。それに合わせてエンソ・Fがさらに高めを取り、2列目の位置でタクトを振るう
ⅲ)エンソ・Fの担保はアウルスネス。ブルッヘ戦以上に降りて、中盤タスクを担保。
まとめると「中央と左のインサイドレーンを流動化させて、ユヴェントスのプレスの基準を乱した」。
ポジショナルな動きに釣られたり、マークがぼやけたわずかな空間と時間で彼らはトリガーを引いて侵襲できる。
それをユヴェントス陣営も感じたせいか、立ち上がりの勢いは割とすぐにフェードアウト、重心が後ろに傾いていった。
しかし、前項で挙げた通りスモールスペースの攻略に特色があり、即時奪回での面の作り方も上手いのがベンフィカ。威力ある押し込みができる。
先制点は押し込んだ末のセットプレーから。CKをショートコーナーでずらされCBのアントニオ・シウバが頭で決め切った。
2点目はユヴェントスのブロック3枚をグリマルドとアウルスネス2枚で数的不利進駐した結果のハンドでPKに。決めたのはヤツだ。
3点目はゴールキックから。大きく蹴り出した後のセカンドボールを回収すると、一気に縦に推進されてしまい、擬似カウンター気味な被弾をしてしまう。
ユヴェントスが喫した3点の内、2点が撤退守備の局面だ。
自陣に強固なブロックを敷き、ヴラホヴィッチを中心としたカウンターを放つのはユヴェントスにとってプレッシング以上の武器だと思っているので、そこを重点としたのは間違いではない。
うちは最近まんまとやられちゃってるし。
しかし、一辺倒であった為、押し込むことができるベンフィカにターンを与え過ぎてしまったことが3−1で折り返すこととなった最大原因に思えた。
・後半-内切りプレスで権衡に近づく
後半わずか5分でベンフィカは4点目。
ボヌッチが大外に開いたラモスからボールを奪取するものの、そこからの安易なパスを掻っ攫われショートカウンターを浴びる。
ボヌッチが出張したギャップを埋め切れず、ラファ・シウバの2点目を許す形だったのでキャプテンにとっては二重に痛い失点であった。
痛恨の3点差となる失点を喫してしまうが、ユヴェントスの入り自体はむしろ良かった。
強固なブロック守備はそのままに立ち上がりからプレス強度を高めたのだが、プレスそのもののディテールチェンジも感じられた。
プレスの先鋒であるツートップが前半に比べ、明らかに中央へのパスを阻止する位置取りで圧をかけるのだ。
バーとグリマルドの両SBも個人性能・戦術に長けるとはいえ、ベンフィカは中央あってのビルドアップなので頷ける仕様である。
特にミリクは立ち位置が絶妙で、エンソ・Fだけでなく、降りてくるアウルスネスのパスコースも切っておりベテランの妙を見ることができた。
撤退守備だけでなく、効果的な前からプレスのフェーズも生まれたことで、後半のユヴェントスは前半よりも戦えていた。
ベンフィカも前からプレスをいなして決定機を創造するなど、決して屈していたわけではないが、前後半を分けて総括すると、後半に前半ほどの火力がなかったことは明白だ。
事実、ユヴェントスは77分と79分に立て続けに追撃弾を叩き込む。
どちらもイリング・ジュニオールの単騎突破あってこその得点で、やや脈絡に欠けるゴールではあったが前半のままでは至ってないだろう。
後半に積み重ねてきたからこそのゴールであった。
・気になった選手
アレクサンダー・バー(右SB)
後半の内切りプレスに対して、同サイドのジョアン・マリオが膨らんでパスを引き出すシーンが幾度かあったが、その動きに対してのダウンザラインのパスが上手すぎる!
この選手、本当に出せる。
受け手としても優秀なのだが、真価を発揮するのは出し手かもしれない。
他方、個人守備には懸念があるように見えた。
なんといってもユヴェントスの終盤2得点、イリングの単騎突破にやられてしまったのは彼である。
直後の交代は「これ以上、バーとイリングのマッチアップはさせらない」と憂慮に堪えなかったからだろう。
尚、バーはスターティングでイリングは途中出場なので、単純比較で優劣をつけれるものではない。念のための補足。
●試合メモ【CL GS ラウンド3&4 PSG戦 】
最後に取り上げるのはPSG2連戦。
H &Aともに1-1でのドローで決着だったが、PSGの”持ってるものだからこその戦い方”が興味深かった。
1戦目はPSGのボール保持、2戦目は非保持にフォーカスを当てて進行する。
・1戦目(ラウンド3)-ベンフィカの非保持とPSGの攻略方法
PSGは前線にエンバペ、ネイマール、メッシを並べる理不尽極まれり配置。
やや持て余している感も否めないが、いざハマった際のピーキーさは他の追随を許さないだろう。
それを警戒してか、立ち上がり早々を除きベンフィカのプレスは前から行くもののリスクマネジメントが感じられた。
時に2列目3列目がそれぞれ1列上ることでの同数プレスを敢行する場合もあるが、基本軸はこの形だ。
世界最高峰のトリデンテには最終ライン4枚、数的優位で対応。
代わりに相手の最終ライン3枚に対してはラモスとラファ・シウバの2枚の数的不利で見るのでガツガツは行かない。
強度を上げるスイッチとなるのはやっぱりWBへのパスだ。
これに対しPSGは
ⅰ)ヴェッラッティが降りる
ⅱ)メッシのフリーロール(中央から左レーンでプレーすることが多い)
ⅲ)メッシの移動によるハキミのアイソレーション
のフローでベンフィカの企図をぼやかした。
この試合におけるベンフィカ攻略の肝だったのだろう。とにかく再現性があり、平均ポジションデータにも表れていた。
この設計は非常に効果的であった。
ⅰ)ヴェッラッティが降りることで内切りプレスの効能が落ちる
ⅱ)メッシが中央寄りでプレーすることで中盤担保&トリデンテが近くでプレーすることによる数的不利の解消(3vs3になる)
ⅲ)トップスピードに欠けるジョアン・マリオとグリマルドにサイドに新幹線ハキミの暴力
一見「メッシが好き勝手にやってるな〜」と思いきや、その実、理詰めなのだ。
Viva!質的優位!なので、真似できるのはごく一部のチームしかないのだけれども笑
もちろんディテールの修正や、細かい戦術応酬はあったものの、ラウンド3の最大ポイントはここだった。
メッシ、エンバペ、ネイマール、ハキミetc。
PSGにとってはベンフィカ相手以外でも彼らの質的優位を”その優位性を引き立たたせる設計”で殴ることは通常運転なのだろうが、それにしたってベンフィカが手を焼いていた感想。
個人的には対トリデンテよりも、対ハキミに苦しんでいたかなと思う。
ジョアン・マリオとグリマルドの左サイドは明らかに走力の部分で後塵を拝し、そのフォローで選手配置が歪になったところをサイドチェンジでさらに揺さぶったり、エンバペが裏抜けしたりとPSGは嫌らしく攻めていたのだ。
しかしながら左のスタメンは間違いなくSHがアウルスネス、SBがグリマルドである。
このデュオは無理が効く印象なので、詰まるところジョアン・マリオのサイドにしわ寄せが来るのかもしれない。
・2戦目(ラウンド4)-PSGのフェーズづくり
続くラウンド4、PSGはメッシが負傷離脱。対するベンフィカはベストメンバーである。
ネレスも良い選手だが、前線は左にアウルスネス、右にジョアン・マリオが最善だろう。
メッシ不在のPSGは3−4−2−1らしい戦い方、ボール保持はラウンド3の流儀ではなかった(できなかった)。
その代わりに非保時を強調してきたのがこの一戦だ。
メッシと異なり汗をかけるサラビアがオタメンディにプレッシャーをかけることで、チームが連動して右肩上がりの前からプレスとなる。
この局面では右WBハキミと左WBベルナトは明らかに初期配置も異なり、フォーメーションで示すのではあれば変則的な4-3-1-2と表しても過言ではない。
ポイントは下記の3点。
ⅰ)左WBベルナトが低めに位置するのでジョアン・マリオを見る
ⅱ)ラモスは中央CBと左CBの2枚で数的優位監視
ⅲ)よって、PSGのプレスはベンフィカ右SBのバーを放す
必然、バーがボールを持てるので彼がビルドアップの起点となっており、63分で途中交代するもののボールタッチ数がチームトップであった。
このスタッツで、PSGがいかにアシンメトリーな前からプレスを仕掛けたかが如実に分かるだろう。
がしかし、「バーにボールを持たせてもOK!」という彼由来の狙いではないと考える(個人的には反対側のグリマルドよりも持たせたくない)。
メッシ同様、守備の強度が出せないネイマールを考慮した設計と見た。矢印は自分達に向いている。
トピックを絞っているのでスルーしたが、ラウンド3はある程度引き込んでの5-2-3ミドルブロックが主だった。
からのショートカウンターが非保持→トランジションでの狙い。
しかしこの試合は、メッシ不在でチート力が低下しているので「前からいくフェーズを作りたかった」と考察。
誤解しないで頂きたいのは、PSGが前からプレスで左(バー側)を捨てているわけではない。
むしろ先制点PKを獲得したのはPSG目線で左からのプレスだった。
ベンフィカ目線ではサラビアとハキミが積極的な圧をかけてくる左よりも右がイージー。
それゆえの油断か。前半37分、後半も見据え集中が途切れる時間帯で右CBアントニオ・シウバにミスが出てしまった。
ゴールキックからのリスタートでボールを引き取ると、ジョアン・マリオへの軽率な縦パスはトランジションの引き金となってしまう。
そのままPA内に侵入されてしまい、パスミスを起こした本人がPKを献上。
このシーンはPSG戦の攻め上がり直後でベルナトが高めに残っていたことが大前提ではあるが、ネイマールが最終ラインにガツガツ圧をかけないという一見消極的な策が、結果としてヴェッラッティがジョアン・マリオをマークできる呼水となっている点が興味深い。
PSGの重点は間違いなく右高め設計だったが、得点に繋がったのはゆえの”左低め”によるもの、ということだ。
まぁアントニオ・シウバの軽率さが最も失点理由なので、結果論の側面も否めないけれど。
●ベンフィカ戦どうするよ?
賛否あると思うが誤解を恐れずに発すると、順位が示す通りベンフィカはポルトよりもワンランク上のチームに見えた。
我が軍の直近のチームパフォーマンスを鑑みると「分が悪い」と認めざるを得ない。
ならばどう戦うか。
あくまで個人的な意見。愚考を述べたい。
ナポリ戦のリバイバル
結論から言ってしまえば、ナポリ戦の再現。
ひいては元来の武器を取り戻すことだ。
具体的に『前からプレス』である。
インテルの3-5-2非保持はコンテ政権もシモーネ政権も「5-3ブロックで人重視ではなく配置重視で組織で守る」イメージが強いが、前からプレスのタイミングや時間帯は存在するし、その割合は”昨季まで”リーグ上位だ。
主な手法について説明する。
前からプレスは右IH、というか”バレッラ”が上がることがスタンダードである。コンテ政権から変わらないやり方だ。
彼が対面の左CB(3バック)や左SB(4バック)に圧をかけることで初めて”ハイプレス”となるのだ。
左IHが上がる試合や時間帯もあるが従来はリアクション由来、つまりオプションであった。
がしかし、今季は左IHも能動的に上がる変化を見せている。
良い意味でバランスが取れるので柔軟に対応できる、と言えるのだが、悪い意味で自分たちの武器がぼやけている、とも捉えられる。
この評価は結局のところ結果で見え方が変わってくるのだが、現状は悪い評価、すなわち「武器がぼやけている」と断じる。
お世話になっているスタッツサイトFBrefから当該スタッツが消えてしまったので、今期がどうかは定量的に確認することができないが定性的には一部の試合を除き、間違いなく量も質も落ちているように見えるからだ。
バレッラの「なんで今、連動して来てねぇんだよ!」的な身振り手振りも比例しているように感じる。
左IHのムヒタリアンやチャルハノールをどうこう言うつもりは全くない。この観点で矢印を向けるべきはバレッラである。シンプルに彼がスペシャルなのだ。
強度と繊細を併せ持ち、かつ、それをリピート再生できるプレスはチーム内はおろかセリエAで見ても特質だ。
ナポリ戦は彼がSBにプレッシャーをかける、もしくは、対面のIH番をする。
この両天秤をこぼさず、周囲も連動することで攻略に成功した。
超低空飛行の今、ここは立ち直りたい。
スモールスペースの攻略が売りで、連打も可能なベンフィカ相手にターンを譲り続ける危険性は同じイタリアのチームが示してくれた。
マン・シティやバイエルンのような鬼プレスを仕掛けろとは言わないが、得点の為にも失点を防ぐ為にも「強度と設計が伴う前からプレス」を仕掛ける局面からは目を背けられない。
現実問題、今季はもう新しいことにチャレンジして成果を掴みとるのは難しい。であれば、振り切って自分たちの武器を見つめ直すべきだと考える。
幸いなことに同じく4バックを維持してビルドアップをするナポリを叩いている経験があるし、それはたった三カ月程度の新鮮な思い出だ。忘れたとは言わせない。
今こそ、覚悟と自信を持ってリバイバルを。
・TORA的キープレーヤー
ずばり、右CBシュクリニアル。彼の復帰だ。
どうやら1st.legは微妙っぽいですが、それでもあえて彼の名前を挙げる。
なぜいない(かもしれない)者の名前を取り上げるかというと、この文章を書いてる段階で、すでにここから続く文が出来上がっていること。
そして、もしも残念な結果になってしまった際に「肝心なところであんたがいないからだよ!」と思うための心の保険である。
さて、
「もはや頼りたくはない」
「けど、フリーで出ていくんだから翌シーズンに影響が出るまで使い倒したい」
「なんだけど負傷離脱で最近まったく出れず。どうなってるのよ」
インテリスタをこれ以上ない程にモヤモヤさせる37番だが、悔しいがキープレーヤーとなりそうだ。
理由は2点。
ⅰ)前からプレスのフォロータスクは彼しかいない
右CBに収まっているイケメンマルチプレーヤー、ダルミアンは37番さんの穴を見事に埋めているが「バレッラが上がる前からプレスに連動し、”前に出て潰せる”」、すなわち強度を出せるのは前任者が上である。悔しいけど。
その前任者も今期は「前に出て潰そうとするが、潰せずにイージーに裏返る」シーンが悪目立ちするが、それでも威力や安定度など、最も期待値が高いのは彼だと考える。
個人的な見え方として、ダルミアンは読みによってボールを絡め取るタイプ。したがって、ある程度”守備者としての時間と空間”を必要としており、ベクトルを前にして圧をかけるタイプではない。
どちらが良い悪いの二元論ではないが、ベンフィカ戦で必要なのはパリ・シュクリニアルではないかと思うのだ。
ⅱ)ダルミアンを右WBに回せる
シュクリニアルが右CBで起用するということはダルミアンを右WBで起用できることとイコールである。
上項で取り上げた通り、ベンフィカは対3-5-2として、WBへのパスをプレストリガーにしている。
プレス耐性が低いドゥンフリースやベッラノーヴァはカモにされる恐れは決して杞憂ではない。
当然の帰結としてダルミアンの起用を推したい。
上項では取り上げなかったが、PSGはベンフィカがハイプレストリガーをONにし、囲い込もうとするその瞬間を狙い、WBが半身のままダイレクトでボールを斜めにつけて前進を図るシーンが散見された。
ベンフィカのトランジション時の囲い込みが良いからこそ、PSGはその勢いを逆手に取っていたのだがこれは地味に効いていた。
ダルミアンは半身のまま斜めに付けられる選手なので、我が軍も計算できるビルドアップだ。
翻って、ドゥンフリースやベッラノーヴァを起用するメリットもある。スピードという質的優位での制圧だ。
ベンフィカ左のアウルスネスとグリマルドのコンビは無理が効く、と称したが至極単純な優位性ではドゥンちゃんやベラ坊に軍配は上がると見ていいのではないだろうか。
彼らの土俵で戦えるならばむしろクリティカルとなる可能性はあるし、ピン止めの観点でも期待から排除してはならない。
が、1st.legをアウェイの地で戦うことを鑑みるとダルミアン起用がベターだろう。
てなわけで、37番さんマジでよろしくお願いします。
ここで獅子奮迅の活躍をして、有終の美を飾ってください。
僕たちだったで本当は気持ちよく送り出したいんだぜ。
●4/11直前更新!オ・クラシコ見たよ(ポルト戦 2−1×)
直前に行われたポルトとのナショナルダービーを見ました。
すでにこの記事は10,000文字オーバーですが、さらにカロリーマシマシでいきます。
・ざっくり総評
予習で5試合見たけど、最も苦戦したベンフィカが見れた。
ダービーにふさわしい強度と、”らしい”縦型サッカーを見せたポルトが放恣に過ごした一戦であった。
対して、ベンフィカは戦術由来なのかCLも見据えているのか、そもそものエンジンブーストがいまひとつ。
特に非保持。ハイプレスの頻度も少なく、4−4−2でのミドルブロックでの迎撃志向が目立った。
片一方の理由ではなく合わせ技かな。割と早い時間で先制したので、なるべく省エネで逃げたかったのかも。
これまでベンフィカをアゲ過ぎて、自身を含めたインテリスティのテンションをだだ下げしてしまった感があるので、本項では自軍を棚上げして敵軍のクエスチョンを提起する。
ただし、上記補足通り、ベンフィカ本気じゃなかった感が否めないのでそこは考慮いただきたい。
・ベンフィカの課題
①撤退守備
人が揃っていても、わちゃわちゃしちゃうシーンが散見される。
特に気になったのは最終ラインのスライド。
SBが大外ケアに行った際のスライドが弱く、ポケットが空くシーンが悪目立ちする。
絞り過ぎて大外が空くインテルとは対称的、ベンフィカは絞りが弱い。
事実、ポルトの同点ゴールはそこを狙われた。
ベンフィカは撤退守備フェーズで人数は揃っていたが、大外で右SBマナファと右CHグルイッチが粘ったことでポケットが空くとマナファがニアにショートクロス。
飛び込んだ右SHぺぺーが胸で落としてウリベが豪快に合わせた。
・最終ラインのデュエル力
ポルトの中盤省略フィードにあたふたするシーンも散見。
逆転を許した失点もそう。
ぺぺがミドルゾーンで縦パスを遮断すると、すかさずガレーノへフィード。
中央に折り返したこぼれ球をタレミが流し込んだ。
失点シーンをただただ突っついているのではなく、この他にも縦パス一本で収められたり、空中で劣勢を強いられ相手有利にボールがこぼれたりなどの場面は目立つ。
シンプルに最終ラインのデュエル性能がちょっと怪しいのだ。
ロングボールを送って、ルカクがSB裏(CB横)に膨らむシンプルな形は火力が出るかもしれない。
まぁ今のルカクは火をくべる薪が少ないんだけれども…
また、デュエルに紐づいてCKの守備も強固に見えないイメージを持っている。
1st leg.は何といってもオタメンディ不在。久々にセットプレーでの得点を期待しちゃう。
・そもそもの最終ライン台所事情
ベンフィカはスタメン固定の色合いが濃いが、気がつけば4人中2人が1st leg.に出れないで決まりっぽい。
我が軍も今季の心臓チャルハノールと背心シュクリニアルが不在だが、お相手はユニットの半分以上が入れ替え+唯一、万全?なアントニオ・シウバは19歳(若っ!)と、この台所事情に対応できる経験値があるか?という状況。
より痛手なのはベンフィカかもしれない。
・その他
左SHアウルスネスに代わりネレスが起用されるかも?という報道も(ソースはいくつかありますが、信憑性は全く分かりません)。
ビルドアップにも貢献できるマルチなアウルスネスに対して、ネレスはゴリゴリ仕掛けてくるアタッカー。
これが戦術由来だとすると、
「ビルドアップはさほど苦労しないはず」
↓
「インテルは前から来なさそう、アウェイだし引きこもってのカウンターじゃない?」
↓
「なので崩しのフェーズを強化しよう!」
とか思われてそうですね。
この青写真を瓦解させるためにもハイプレス仕掛けたり、押し込む時間は欲しい。
インテルよ、勇気を示そう
以上!
目指せベスト4!
目指せファイナル!!
目指せビッグイヤー!!!
FORZA INTEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEER⚫️🔵
最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯
もしサポートを頂戴した場合はサッカーのインプットに使用し、アウトプットでお返しできるよう尽力いたします。