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【虚空をつかむ】CL20-21グループB第2節 シャフタール−インテル マッチレビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回はCLグループステージ第2節シャフタール−インテルのマッチレビューです。

●スタメン

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・インテル
72分ラウタロ➡︎ペリシッチ
79分ビダル➡︎エリクセン
79分ダンブロージオ➡︎ダルミアン
85分ヤング✖︎➡︎ピナモンティ
・シャフタール
15分デンチーニョ✖︎➡︎タイソン
62分ホチョラヴァ✖︎➡︎マトヴィエンコ
88分マノラス➡︎パトリッキ

●前半−優位だった内容はいじるな?

キックオフから先ず目を惹いたのはインテルのボール非保持。バレッラがSBへのケアを強め、ダンブロージオも上がりサイドに面を作ってハメようとするアプローチです。開始早々から見られましたね。

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✔︎バレッラがSBへ圧をかける
✔︎ルカクもホチョラヴァのコースを切りながら詰める
✔︎アントニオがバレッラの背後でボールを引き出そうとするが上がったダンブロージオがカット

前からのプレスが突破されたら二次的なミドルプレスよりもセットが最優先。5-3のブロックを敷いて組織的守備に素早く移行します。

昨季ELの再現。

大差となったあの試合は個人的に攻撃よりも守備がハマった故のスコアと思っています。
シャフタールの基本スタンスは変わりありませんので引き続きのアプローチは納得ですね。勝ってるチームはいじるなならぬ、優位だった内容はいじるな、的な感じでしょうか。

ちなみにインテルは昨季っぽいボール非保持のおかげでいつもよりも走行距離を稼いでました(今回は昨季並みの走行距離)。

●前半−これぞ、今季

対してシャフタールのボール非保持は4-5(4-1-4)のブロックを非常にコンパクトに設定。

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✔︎ビルドアップの入口は放っておかれがち。
✔︎その分アタッカーたちのスペースを徹底的に潰す。

押し込まれた際はマイコンや両SHが最終ラインに降りて6-3になる場面も多発。

もう何回もこの表現を使用してますがシャフタールの守備って本当に真面目でお堅い!笑
ブラジル人選手所属の多さとかそのボール保持の形とかからはギャップを感じますよね笑

しかしインテルのボール保持も見事でした。特徴的だったのは3点。

ⅰ)シンプルなロングボールでの裏抜け
シャフタールのラインが高めなのでよーいドン!でツートップに競ってもらうシンプルな形。質的優位が活きるので効果的でしたね。決定機も何度かありました。

ⅱ)ダンブロージオの攻撃参加
お馴染みとなった右サイドからの崩し。そしてダンブロージオによるCB攻撃参加で5レーンを占有します。

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✔︎ダンブロージオがハーフスペース、ハキミがアウトレーンへ。
✔︎2レーンを埋めてくれるのでルカクが中央で勝負できる形。
✔︎ソロモンとコルニエンコの基準点を乱す効果も。

このシーンはブロゾヴィッチからハキミへのパスが長くなってしまいアントニオにカットされましたが…

ⅲ)バレッラの躍動
アントニオの振り向きざまを狙ってバレッラが即時奪回。ブロゾヴィッチとのパス交換から再度、右サイドアタックのスイッチを入れました。

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✔︎バレッラが即時奪回。ブロゾヴィッチに戻す。
✔︎その先にダンブロージオか降りて、ハキミを押し上げる。
✔︎見逃さず、バレッラはダンブロージオへ。
✔︎ハキミへ良いパスが出たがコルニエンコがタックルしラインの外へ。

前半は相変わらず右偏重ではありましたが、
①ボール保持の選手配置が整っている。
②だからネガティブトランジション時にスムーズに即時奪回へと移行できる。
③もし剥がされても献身的なプレスバックで組織的守備に移行できていた。
④自陣で奪ったら相手のハイラインをフィード1発という選択肢もある。
といった感じで正のスパイラルが起きていました。

尚、ここまで触れませんでしたが今回のインテル中盤は△ではなく▽と表すべきと思っていて、これはコンテ監督の対シャフタールプランでしょう。
最も期待したのは②のはずで、実際効果もありした。そしてこの効果を最大限に高めるための選手起用がバレッラ、そして右インサイドハーフという配置と考えています。

実際バレッラは上述の図解のように前半のキーになっていた右サイドにおいて攻撃、守備、ポジティブトランジション、ネガティブトランジション、4局面すべてで貢献度が高かったです。
あのボレーがネットに突き刺さっていれば今日は彼の日でしたね。

また、右ばかり取り上げてますが左のヤングも多くはない機会の中で好パフォーマンスを披露してました。股抜きドリブル見事でしたね。
テテ&ドドの推進力バツグンコンビに対応すべく、いぶし銀にバランスを取っていたのもGOOD。

と、このように前半は歯車が上手く噛み合ってました。個人的には今季のベストパフォーマンスですね。今季と昨季が上手くミキシングされた感じがとても好印象。

ただ、どうしてもネットが揺れなかった。

●後半−愚策

シャフタールのブロックは4-5が押し込まれることによって5-4や6-3に変化するイメージでしたが、後半は明確な5-4ブロックを形成してきました。

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✔︎ソロモンがLSBの位置に下がる。
✔︎中盤はそれに合わせて左にスライド。
※わかりやすいようにインテルの選手を抜いています。

前半のシャフタールはインテルの5レーン占有に対し誰が誰に行くのか?という約束事が少しふわふわしていたので最終ラインを明確に5枚にすることで整理した、という意図があったと推察します。
なぜ右のソロモンが降りたかはシンプルに右サイドのケアと見ていいかと。コルニエンコだけでなくソロモンも快速が売りらしいのでハキミや裏抜け対策の意味合いも兼ねてるんでしょう。

一方のインテルもおそらくコンテ監督の指示が入りました。▽から△へ、と言えるかは微妙なところですが、ビダルが中盤底気味に位置し、バレッラがトップ下(シャドー)に位置取りする機会があ明らかに増えます。狙いはフィードによる裏抜け。

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✔︎ソロモンとコルニエンコのチャンネルをバレッラが狙う。
✔︎ビダルが下がったのは被カウンター対策と配球係のため。

当然、裏抜けと一口で言っても狙いは様々ですがイメージはこの形かと。

これ自体は前半の項で取り上げた通り、良い形で決定機を作れていたので悪手ではないんですがコンテ監督が変に固執したのか、選手たちの焦りなのか定かではありませんがインテルの選手たち、特にダンブロージオとバレッラがトーンダウンしてしまいます。

ま、十中八九、原因はコンテ監督によるものかと考えています。両選手ともタスクが変わっちゃったことが原因でしょうね。特にバレッラはそのせいで持ち味が出なくなってしまった印象。
コンテ監督、何をどう指示したかは分かりませんが愚策でしたね。

悪い意味で限定された攻撃。

役割がクリアになったシャフタールにとっては追い風でした。
特にインテルの生命線である右側とマッチアップするソロモン、コルニエンコ、ホチョラヴァは各々のマッチアップ相手にやられてしまうシーンも散見されましたが、それでもよく喰らい付いていたと思います。そして何より気鋭のGKトルビンが神ががっていましたね。
そのやられちゃった時にラウタロがあとは押し込むだけ!という超決定機を外すなどインテルのやらかしも手伝い、時間が消化していくとシャフタールの低かった重心はさらに低くなっていきます。

●後半−無策

どうにも手応えを掴めず時間のみが経過し、迎えた72分、コンテ監督がようやく重い腰を上げます。
ペリシッチ、エリクセン、ダルミアン、ピナモンティ(ヤングが足を痛めた?筋肉疲労?により交代)を次々と投入します。
しかし、ジェノア戦と一緒です。ただ選手を変えただけ。

ハード面はそりゃ交代策ですよ。ただソフト面はただの入れ替えで、意図や方略が内包されていたとは僕には思えません。
これを交代策と呼ぶのはちょっと違う気がします。

ジェノア戦では現在の核となる選手が入ったので改善されましたが、今回投入されたペリシッチやエリクセンはフィットが問題視されている選手です。難しい時間帯での途中交代。当然、プレゼンスを発揮できません。

手札がないのは分かりますがそれにしたって切り方は他にもあるのでは…?と思わずにはいられませんでした。

無策。

昨季のELではこの単語はルイス・カストロ監督が当てはまりましたが、今回はコンテ監督が肩替わりしました。

レアル戦でのジャイアントキリングを経て迎えた本試合。シャフタールにとって勝点1は御の字。
そのミッションは無事に達成されました。

・スコア
シャフタール0-0インテル

●雑感−コンテ監督を擁護

厳しい。
ボルシアMG戦に続き、勝って然るべき内容でした。
色々述べてきましたが、詰まるところ決定力不足!!この一言で全て説明できます。笑
決めるべきところで決めないとこうなりますよっていうサッカーあるあるですね。

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Caiey Graphicsによるゴール期待値。彼のロジックでは組織的なチャンスの質において0-2のスコアが妥当だったと読み取れます。

という訳で試合の雑感はこれで終了!笑

ここからはコンテ監督のおはなしを少し。後半の項で散々物申しておいてなんですが、ここで彼を少し擁護したいと思います。

勝てた試合を勝ち切れなかった。
CL2試合連続のドローで決勝トーナメント進出に早々の暗雲が。

試合終了後、Twitter上では厳しい意見が並びました。仰る通りだなーと思って拝見してましたが、中にはコンテOUT!今季は弱い!みたいなご指摘もあって。これに少し僕の意見をと思います。

流石に早計かも…?

ご指摘は誤りではないですが、コンテ監督が現在志向しているサッカーはインテルが追い求めては失敗し続けてきた(代表例はガスペリーニ)モダンサッカーの最先端と言って過言じゃないです。
でもって枠組み自体は出来てると思います。あとは選手が揃った上で中身をどれだけ突き詰められるか、どれだけ積み上げていけるのか(これが大変ですが…)。

個人的にその時代のモダンサッカーを実現できたインテルの監督って未だかつていないと思っています。三冠という偉業を達成したモウリーニョでさえ、その中身は当時のモダンサッカーとはかけ離れたリアリスティックなものでしたからね。
(コンテ監督はスパレッティという土台があるのを忘れてはいけませんが)

「なに?モダンじゃなきゃいけない訳!?」

いいえ。もちろん、そんな訳ではありません。
しかし欧州サッカー界の少なくてもこの10年はモダンサッカーがCLでも結果を残してるのが現実で、全世界から注目、模倣されるそのスタイルはブランディングにも多大な影響を与えています。

1試合1試合に対しての意見はあって然るべきです。それこそサポーターの醍醐味ですしね。しかしながら、やっているサッカーそのものに対する批判やそしりはちょっとまだ早いかなぁ…と思ったり。

けどまぁ、今季の目標はスクデットとCL決勝トーナメント進出(少しでも上へ)。現在の為に未来を犠牲にしたのは他ならぬコンテ監督ですので、このタイミングで改革とも呼べる戦術変更は驚きですし、結果が出なければ言われても仕方ない面もあるんですけどね。笑

個人的にはマッチレビューでの意見や指摘はしなければ、むしろレビュワーとしての意味がないと思っています。が、それとは別にコンテ監督が志向しているサッカーは正しいと思ってますし、最後の最後まで応援する姿勢は崩しません👍

以上です。

さて、CLの次節はいよいよレアル・マドリード戦です。現在1分1敗とグループ最下位に位置するスペイン王者は死に物狂いで来るでしょう。

インテルとしてもここらで勝点3を獲得しないといよいよ崖っぷち。
間違いなく死闘になりますね。

FORZA! FORZA!! INTER⚫️🔵

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