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【練度か鮮度か】セリエA 23-24 第4節インテルvsミラン プチプレビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回はとてもありがたいことにリクエスト記事!

現在無二の無敗ダービー!
vsミラン戦のプレビューです!

作業やスケジュールの都合で今回は書かない予定だったのですが、複数名の方から「楽しみです!(何故か僕がアップする前提)」的なお言葉を頂いたので、急遽キーボードをカタカタしました!

リソースに限りがあるので、”プチ”でお届け。

普段のダービープレビューはなるべく両チームが楽しめるような構成を目指していますが、今回はインテリスタがミランを予習する、単一視点に留めますm(__)m


●予想スタメン

・ミラン
最終ラインにエマージェンシー。
トモリがサスペンション、カルルが負傷離脱。今季、チャウはスタメンを確立していますが、ケアーは15分のみの出場。能力はもう疑いようがありませんが(クラブでの)シーズン初スタメン起用は気になりますね。
加えて、薄くなってしまった交代カードをどう切るかがポイントでしょうか。

・インテル
”3節まで”のベスメンが揃っていますが、代表戦はミランよりも出場している選手が多く、消耗が懸念されます。ミッドウィークにCLも控えていますから、スカッド面で決してインテル優位ではありません
また、中央CBは土壇場でアチェルビが優勢との予想。昨季公式戦で最も出場したCBなので信頼は揺るぎないですが、今季は公式戦初出場、かつ、ここまでデフライの出来が◎なのでこの一手は期待でもあり不安でもありますね

●ビルドアップに変化あり

今季ミランの最もキャッチ―な変化はビルドアップの根幹部分と主張します。

結論から言えば、右SBカラブリアが中盤化し、最終ラインが3バックに変形する設計です。

昨季は中盤△構成の4-2-3-1がメインシステム(3-5-2や4-3-3もやったけど)。

対して、今季は4-3-3の中盤▽構成。ここからカラブリアが一列上がり、クルニッチと2CH(ダブルボランチ)を組むことでビルドスタート。

3-2-2-3のような配置に

いわゆる『偽SB』ですね。

「なんで?急にどした?」って感じですが、考え方の源泉は昨季最終盤の進化が青写真と見ています。他サポの勝手な妄想だけれども。

すなわち、ベナセルのトップ下配置による効能の進化

ベナセルのトップ下は元々、対アンカー(というかロボツカ)用が由来かと思いますが、副次的に「中央にボールが収まることで、大外のレオンに時間と空間が生まれ、プレーの喜びを取り戻した」という効果が得られました。でもって、収穫はむしろこっちが大きい。

結局ベナセルの長期離脱で有耶無耶になってしまった感がありますが、ピオーリ監督は「中央でボールを持てるから、大外が輝く」をより高い次元でやりたかったんじゃないかな、と推察しています。

というわけで、中盤で効果的にボールを保持したい、運びたい→兵量を増加させよう→カラブリアに偽SBタスクを設定させよう、が一連なんじゃないかな。

その分、最終ラインのリソースは減りますがミランにはなんといってもメニャンという絶対的担保があります。

今季のミランを見ると「嗚呼、うちはオナナを失ったんだなぁ」と強く思いますね。ゾマーを悪く言う気は一切ありませんが、やっぱオナナはスペシャル過ぎた。

話を戻して、数的優位の中盤でボールを前進させ大外に瞬間火力を発揮させる土壌を生み出すこの設計は、今季プリシッチもブイブイ言わせている右の新しい機能性もあり、守り手はめっちゃ嫌そう。

ディテールにもこだわりあり。ピックアップしたいのは「テオ・エルナンデスの押し出し」

3-2-2-3の配置だとテオの爆発力が活かしにくいのがネックです。ソリューションは主に2点。

シンプルにメニャンで補填

先ずは単純明確、メニャンで補う手法。

最終ラインのハブ役になれる、サイドに散らせる、そして兵量を増やした中盤にスパッと付けれる。使い古された『11人目のフィールドプレーヤー』をここまで体現するかってスキルよ。今更取り上げるまでもないけど。

中盤が最終ラインに降りることで補填する

続いて、中盤が最終ラインに降りるパターン。基本的には底のクルニッチが降りるけど、ラインデルスが降りる場合も。この柔軟性が◎。

昨季もだけどミラン、というかピオーリ監督ってビルドアップの根っこの部分に柔軟性を持たせるのが本当に上手いと思う。

戦術面だけでなく、シンプルに個のパフォーマンスも設計を支えています。後で触れるけどラインデルスはバレッラ並みの走力があるので、長い距離を降りて、”からの復帰力”が素晴らし過ぎる。

得点力と3連勝というなによりの結果がフラッグでない殴り方なのだ。

●課題の輪郭はくっきりしている

3節時点で評判が高いインテルやナポリと比べると、輪郭がくっきりしている課題を抱えていると考えます。

ⅰ)ビルドアップは鮮度ゆえの課題

前項で新しいビルドアップの設計をべた褒めしといてなんですが、課題も存在します。

カラブリアの偽SB

偽SBとしましたが、現状を正確に記すなら「カラブリアがただ中盤でプレーしている」なんですよね(そうなりがち)。

つまり可変になっていない

この手のフローはポジショナルな動きで相手のプレスの基準点を乱すことで真価を発揮するんですが、カラブリアの場合、ただただ中盤に移動しているだけで対面の相手選手たちにポジショナルな困惑を与えているようには見えません。

まぁここは日々の積み重ねで改善していく問題かと思いますが、それを待ってくれずにダービーやCLグループステージはやってくるので、頑張らないとですね(根性論)。

ⅱ)最終ラインの不安をプレスが救えるか

主題であるビルドアップにまつわる話ではありませんが、課題という括りで取り上げたいのがこちら。

ミランの最終ラインは昨季途中からなんだかハマりませんね。

チームの組織戦術と個人戦術の歯車がハマっておらず、シームレスに個人の守備性能そのものにも悪影響を及ぼしてしまう。

インテルも昨季序盤に陥った事象なので(我が軍がより酷かったけど)、かなりシンパシーを感じています。

ローマ戦のトモリはまさにそれが顕在化してしまった退場かな、と。

その面で仮にトモリやカルルがいても、安定性のあるチャウと百戦錬磨のケアーのタッグはもしかしたら正解かもしれませんね。証明するのは結果でしかないけれども。

それは置いといて、今のミランは「いかに最終ラインの処理負担ゲージを溜めさせないか」が重要と考えています。

その為、高強度プレスによるゴリゴリなボール奪取はミランの十八番でありながらも、それ自体が現状を救う方策になっているように見えます。

しかしながら、公式戦は顔を覗かせていませんが、PSMではプレスがバラバラでむしろ最終ラインへの道を開通してしまう場面も。

具体的に中盤がちょいとイケイケ過ぎるんですよね。特にクルニッチ(というかアンカーの選手)。対面選手を追って前に出ていくがゆえに、ぽっかりスペースが空いて一気に突破される、みたいな場面は悪い意味での再現性がありました。

こんな感じ

元々ボールサイドを圧縮する色合いが濃く、対岸の大外選手を離しがちなので(その分ボールサイドの囲い力が強く、嵌められる)、中継地点を作られちゃうとクリティカルになりやすいのがミラン。

PSMでどんだけ酷くても本番で改善できていればオールOKですが、まだ序盤ということで不安は内包しているかもしれません。

●展望

本ダービーにテーマをつけるなら「練度vs鮮度」

CL準優勝という黄金体験をスカッドやプレーにしっかり反映できている感の強いインテル。

シーズンははじまったばかりですが、既に熟成味が強く、課題をクリアにしていくのではなく「これを継続できるようにする」が重点項目となっているほどです(それが一番難しいんだけど)。

対するミランは殴り方そのものを変えました。

練度の側面では課題もありインテルには及ばないでしょう。しかし、彼らはフレッシュ。

まだ最序盤でスカウティングも深みを帯びていないでしょうし、何より代表ウィークで選手たちにそれを落とし込む時間がなかったはず。

近年のロッソネロは”ビッグウェーブに乗りやすいパリピ性質”もあるので、初見対応の難度に彼らのイケイケさがバッファで乗れば、練度を穿つ矛になるでしょう。

個人的なポイントは中盤。

どう刺し合って、どこに優位不利が生まれるかが重要。いや、どの試合だった重要なんですが笑、際立っているという意味で。

選手にフォーカスすると、言及したくなるのはやっぱり新戦力。

・ラインデルス
各所で絶賛されてますが、そりゃあ絶賛されるし、触れない訳にもいかないよねって選手。

オフザボールがめっさ凄い!と言われていて心から同感なんだけど、クルニッチと毛並みがちがうのがイイ。

具体的にクルニッチは文字通りの縁の下の力持ちなんだけど、ラインデルスは前進に重きがあって、ゆえに主役感があるんですよね。オフザボールに主役も助演もないんだけどw

それを支えるのが運動量

3試合連続12kmオーバーの走行距離はミラニスタの間で話題になっていると思うけど、真に注目すべきはスプリントの量ですね。

スピードを伴うオフザボールやデコイランは相手にもそのスピードを強要させるし、「付いていくか否か、マークを引き渡すべきか否か」みたいな判断の時間も奪う。価値が高いんです。

定量的に見ると、ラインデルスは3試合連続で1km以上のスプリントをし、開幕戦はなんと1.6kmを記録しました。

走行距離もスプリント量も両チームトップ

ピンと来ない人がほとんどだと思うけど、走行距離12kmよりもよっぽどレアリティある数字です。

走行距離とスプリント量の兼備はバレッラのお庭なんだけど、そこにズカズカ侵入してきた。バレッラでも3試合連続でこれくらいのスタッツを記録したのは正直覚えがないです。同時に「1シーズン走り抜ける?」の心配もあるけど。

●ロフタス=チーク
対照的に、どちらかと言えばオンザボールの色が濃い。

こちらもすでに声が上がっている通り、キャリー(運ぶドリブル)がバチクソにエグいですね。

やり方はバストーニ味があって、長身を丸めない姿勢の良さで「周囲を認知できてるよー」をアピール。引き付けてからの捌きもGOOD。

だもんで、マーカーがうかつに距離を詰めれない。その隙に最短最適距離でゴール方向にするする持って行っちゃう。これをミドルサード以上のエリアで出来るからずるい。

てな訳でまたしても定量的に見てみます。FBrefによると、プログレッシブなキャリーはチームトップの値

リーグで見ても中盤の選手ではルイス・アルベルト、コープマイネルスに次ぐ3位でした。尚、出場時間を鑑みれば、リーグでもロフタスチークがトップです(中盤ポジションでは)。

運ぶだけじゃなく、運んだ先のプレーも良く、ゴールに間接的に関わったプレーもチーム1位でした。

厄介な新戦力を獲得しやがったお隣さんですが、じゃあインテルはどう戦うべきでしょうか

というくだりで締めようと思ったのですが、すでに4,500字です。僕の記事は5,000字を目安にしているので、全然”プチ”じゃありませんでした

そこでキックオフ前に、X(旧ツイッター)でスペースを開いて、そこで意見を発しつつ、皆さまからもリプでご意見頂いてわちゃわちゃできればな、と考えております。

25時(深夜1時)キックオフなので、24:20くらいからスタートする予定です!予定ね、遅れたらすみません!

わいわい盛り上がって、よりミラノダービーを楽しめる会にしたい!ぜひご参加ください!

最後までご覧頂きましてありがとうございました🐯

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