見出し画像

【温め直したスープは】スーペルコッパ 決勝ナポリvsインテル レビュー

こんにちは!TORAです🐯

本日はスーペルコッパ決勝ナポリvsインテルのレビューです。


●スターティング

●前半-マッザーリの方策

マッザーリ天晴れ。

決勝というDead or Aliveの舞台でこれまでとは異なるナポリを出力し、そして有効的であったこと。

マッザーリ天晴れ。

ボール保持から見ていきましょう。

この試合における基本フォーメーション表記は3-4-3(3-2-2-3)でヨシと考えますが、保持は4-3-3表記がいいでしょうか。ただし、ディテール成分強め

✔︎最終ラインはマゾッキが降りる4バック、ただしマゾッキは高めベース
✔︎ポリターノは右IH(OH)化して、ゼルビンが大外ベース

インテルにとって厄介だったのはクヴァラツヘリアのいる左ではなく、右側

ポリターノとゼルビンは頻繁なポジションチェンジの上、前者は外に膨らんでハーフスペースを開ける動きも積極的。

そこにフリーランニングの達人ディ・ロレンツォがアンダーラップ。また、ディ・ロレンツォだけではなく、ロボツカやシメオネのユニットづくりも見事で、設計に王者の風格がありました。

覇王色の覇気にインテルはパニック。解説の細江さんも仰っていましたが、立ち上がりはスキャンではなく、焦りの色が見える悪い意味での首振りが印象的でした。

翻って、ボール非保持。

ここでも実に面白い企図が見られました。

ナポリはチャルハノールではなくバレッラを心臓部と設定したアプローチ。

✔︎クヴァラツヘリアは対面監視+背中パスコース切り
✔︎その上でカユステがバレッラを徹底マーク
✔︎チャルハノールはポリターノが主でロボツカがサブ。
✔︎ロボツカも上がってチャルハノールに付くケースも、その場合はCBが連動してムヒタリアンに付く
✔︎アチェルビが運ぶ場合はロボツカが見る

バレッラへのマークはガッチガチ。カユステは可動域と球際の強さが異常、裏返ってしまったとしてもリカバリーできる性能が光っていました。

良い意味で薄くなった再現性が売りの今季インテルにおいて、バレッラの第二心臓タスクは相対的に色濃いやり方なのでそこにフォーカスしてきたのでしょうか。

最もボールを許容されたのはアチェルビ、彼が運ぶ場合は基本的にロボツカが見ます。しかし、ここはそもそも、①中2日、②バストーニの負傷、③ナポリの左が厄介だったという合わせ技で序盤からガツガツ仕掛けることができずのポイント。

ここまでそろばんを叩いたかは分かりませんが、結果論、合理的で効果的でした。

もしも冒頭でナポリが先制し、そのまま逃げ切っていたらマッザーリ監督は大賞賛されていたでしょう。

●前半-慣れたインテルの反撃は

しかし、試合の流れの中でやり方を変えられる柔軟性と瞬発力が今季インテルのストロング。慣れた20分あたりから旗色が変わります。

ナポリの保持に対してはハイプレスという解答。

実質的に4バックとはいえ、これまでとは設計が異なるビルドアップ。やはり練度不足は否めず、ハイプレスに対して逃げ道を作れず、クヴァラツヘリアやカユステという個のレシーブに依存せざるを得ないシーンは決勝だけでなく、準決勝フィオレンティーナ戦でも悪目立ちました。

特に変化があったのはダルミアン

立ち上がりはマゾッキをケアしながらもエースであるクヴァラツヘリアを右CBパヴァールと『1対1+1』監視する、インテルが彼に課すお得意のタスクでしたが、ハイプレスが効果的となるとベクトルを前にマゾッキをマーク

プレスで押し込めるとナポリの後ろに重たくなる課題がさらに浮き彫りに。

ダルミアンが前に出るのはパヴァ―ル、そして、最終防衛壁のデ・フライへの信頼を意味します。

39:55~、クヴァラツヘリアへの対応を駆け引きと我慢で耐えたデ・フライの対応はマーベラスでしたね!セリエA最優秀DFを受賞したときの彼でした。

一方、保持はナポリの戦略に乗っかるスタイル。

バレッラの最終ライン落ちをドラスティックに行い、徹底マークのカユステを引っ張り出します。中盤の強度担保である彼の穴は大きく、インテルはこの歪みが狙いでした。

チャルハノールがスライドすればポリターノが釣れ、インテル目線の左サイドが空く。ムヒタリアンのお引越しも同様。

となると、今度は左が空いて降りるラウタロを楔にディマルコが抉る。柔軟な左右のフックで効果的に前進できるように。

尚、後半冒頭はバレッラとムヒタリアンのポジションチェンジも多発。「カユステが厄介だからこそ、彼を狙った」、試合の流れの中で見つけた照準だったように思えます。

この戦術的応酬はファイナルの舞台に相応しく、非常に見ごたえある前半の源泉でした。スコアボードは動かずの膠着状態で後半を迎えます。

●後半-交代策ズバリ

HT。両チームに動きはありませんでしたが、主審交代のお知らせ

誰が誰に替わったのかは試合を振り返っても何故か分かりませんが、この影響は甚大で、試合全体に大きく影響を及ぼしました。

十中八九が「前半と基準が変わった」と言うのではないでしょうか。や、それこそ「前半と後半で別人がやってるでしょ」的な声も散見。

証拠こそないものの極東の両チームのファンから現地の有識者まで数多くの声が挙がりました。

そして、60分。残り30分以上を残して、ナポリのCFシメオネが2枚目のイエローで退場。

個人的にこのイエローは妥当だと言い切りますが、1枚目は厳しい、というよりも、1枚目を取るならチャルハノールは前半で2枚のカードをもらっても全くもって不思議ではないって感想です。ナポリファンはもちろんのこと、勝利したインテルファンもしこりが残りますね。

この際で言えば、カード累積のレギュレーションにも触れたい。

『カード祭り』となった後半。

スーペルコッパで発生したカードが、異なるコンペティションであるリーグ戦に引き継がれるという謎仕様は「ルール上しょうがないよね…」とは微塵も思えず、公平性ある理由をマジで知りたいです。ご存じの方がいらっしゃれば、本当にご教示頂きたい笑

単純に試合数が増え、さらにカードが出やすいトーナメントのてっぺん付近という環境。シンプルに不平等過ぎてマロッタリーグです。

加えて、リーグ戦の累積消化はスーペルコッパには引き継がれず。引き継ぎ理論ならチャルハノールの出場停止はスーペルコッパ準決勝のラツィオ戦となるべきかなと思うんですが…。

結果として次節リーグ戦はインテルがチャルハノールとバレッラ。ナポリは(オシメンがアフリカネーションズカップで不在なのに)シメオネが出場停止となりました。

…後半はどうしてもこのトピックスに矢印を向けてしまいますね。レビューだからといって無視できないかなと。これも試合の一部なので!

美しい前半はどこへ。主審交代策、ズバリです。

●後半-獅子奮迅

試合はその後「1人少なくなったがゆえに難しくなる」という”サッカーあるある”が事象化。

5-4のローブロックで鍵をかけたナポリの開錠にインテルは苦戦。

このシチュエーションだとクロスゲーのインテルはさらにその数を増やし、空中大殺法劇が繰り広げられますが、個人的にコレでいいと思っています。

この場面でのクロスは表であり囮だと考えていて、裏であり本命はクロスを囮にした中央突破やハーフレーン攻略、ポケット強襲

この観点で中に増兵するよりもサイドの出し手の怖さが必要と思っていて、ディマルコの交代は疲労を鑑みても「むー」と唸ってしまいました。

この焦点を比べるのはあまりに酷ですが、事実として、代わりに大外配置されたカルロス・アウグストはやはりディマルコのスペシャルクロスを模倣することはできず。

しかし、それでも左右に配球しじわじわと揺さぶったこと、右からもクロスを送ったこと、そして。

スーペルコッパの申し子、アレクシス・サンチェスの投入がラストピースで、マストピースでした。

ナポリの低重心でソリッドなブロックのライン間やブロック手前で刹那的なハブとして機能。短い時間で何度かチャンスを発芽させると、90+1分に見事、開花。

要はパヴァ―ルとのワンツーですが、あそこであの溜め方でパヴァ―ルのランニングに合わせる業はスギちゃんではなく、アレクシス・サンチェス。

温め直しの今季は本人にとってもファンにとっても、晴れないパフォーマンスがどちらかと言えば多いと言わざる得なかったですが、スーペルコッパ決勝という舞台で再び獅子が奮迅しました。スープは美味しかったのです。

結果として表を囮に、本命の裏で仕留めたインテル。脈絡あってこそのベネフィットは少しでも後半の浄化に貢献したのではないでしょうか。

そしてここぞ!で仕上げたキャプテンはこのゴールでレジェンド、ヴィエリのクラブ記録に並びました。このゴールで並ぶの、持ってますよねぇ…!

インテルが見事、3連覇&新フォーマット初優勝を達成!!!
おめでとう!!!インテル!!!

さぁ、次節は中盤スターティングの2枚を欠く、フィオレンティーナ戦。その先にリーグ折り返し直後とはいえ、今後に影響を与える天王山ユヴェントス戦。

アスラニタンとフラッテージは勝負どころですね。超がんばれ!

最後までご覧頂きましてありがとうございました🐯


この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

もしサポートを頂戴した場合はサッカーのインプットに使用し、アウトプットでお返しできるよう尽力いたします。